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投打の主力流出したオリックス 山﨑颯、榊原、頓宮ら若手の台頭に期待

2019 1/21 07:00勝田聡
榊原翼,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

オフの補強は思ったように進まず

オリックスの2018年シーズンは夏場まで3位争いに加わっていたが終盤に失速。3位の日本ハムから8ゲーム差の4位に終わっている。これで2015年から4年連続でBクラス。その責任を取る形で福良淳一監督が辞任し、西村徳文ヘッドコーチが監督へと昇格することとなった。

西村体制で臨む2019年シーズンだが、思い描いていたようなストーブリーグを過ごせなかった。大型補強として、FA宣言した浅村栄斗(西武→楽天)の獲得に乗り出したが、交渉の席に着くことすらできず撤退。またFA宣言した西勇輝(オリックス→阪神)の残留交渉に失敗。さらには中島宏之、金子千尋(現・弌大)が制限を上回る減額(年俸1億円以上は40%以上)を受け入れずに自由契約を選択し、中島は巨人、金子は日本ハムへそれぞれ移籍した。

11月下旬に右の長距離砲候補であるジョーイ・メネセス、年明けに196センチ右腕のタイラー・エップラーの両外国人を獲得したが、バリバリのメジャーリーガーといった大物選手ではない。

このように主力の流出が多く、外国人選手を2名補強したものの大きな上積みが見込める状態ではないのが現実だ。しかし、逆に言うと若手選手にとっては大きなチャンスとなる。

榊原、山崎颯の3年目右腕コンビに期待

まずは、投手陣から見ていこう。金子、西が抜けた投手陣の穴は間違いなく大きい。2人で14勝20敗と勝敗だけを見ると、借金が6つあり大きく感じないかもしれない。

だが、西は投球回数162.1回、金子は100回と合計262.1回を投げ、ともに防御率は3点台をキープしている。オリックスの総投球回数1292.2回の約20%を防御率3点台で1年間を埋めるのは至難の業だろう。

現時点でのローテーション候補は山岡泰輔、アンドリュー・アルバース、そして新外国人のエップラーあたりだろうか。2018年は不振だったブランドン・ディクソンもいるが、外国人枠の兼ね合いがある。エップラーや野手のメネセス、クリス・マレーロ、ステフェン・ロメロらと争うことになりそうだ。

また、2018年シーズンは中継ぎとして起用されてきた山本由伸、黒木優太、吉田一将らも先発での調整を行うという。実績のある中継ぎ投手が先発へ配置転換されることは決して珍しいことではない。しかし、先発候補だった若手選手たちにとってみれば、首脳陣を見返すためにも奮起したいところだ。

このような状況の中、期待したいのは山﨑颯一郎だ。ファームでは5勝7敗と2つの負け越しがあったものの、リーグ最多となる100.1回を投げており、先発としての期待度は高い。BB/9(27個アウトを取る間にいくつの四球を与えるかを示す数値)は5.29と制球に不安はあるが、3年目の今年は一軍デビュ−を果たしたいところ。身長190センチの長身から繰り出される角度のある球で初白星を目指す。

育成から這い上がり、シーズン終盤に5試合の登板を果たした榊原翼も面白い存在だ。初勝利こそ挙げられなかったものの、2018年シーズン最後の登板となった10月4日のソフトバンク戦では、6回2安打無失点、8奪三振と好投を見せた。

その他にも社会人出身の2年目右腕・K-鈴木が控えている。2018年シーズンは「一軍の壁」に阻まれたが、山本や黒木、吉田一らに先発枠を譲るのではなく争いたいところだ。

中島、小谷野の穴を埋める若手野手は

野手では中島に加え小谷野栄一が現役を引退しチームを去った。これによって中島の251打席、小谷野の258打席と2人で合計509打席分が空白となる。

どれくらいの「空き」かというと、遊撃手のレギュラーである安達了一の打席数514とほぼ同数。つまり、2人の退団で(2人のポジションは異なっており、単純比較はできないが)およそレギュラー1人分の打席数が空いたことになる。

そこで期待されているのが、ドラフト2位の頓宮裕真(亜細亜大)だ。大学時代は捕手を中心に守っていたが、プロでは三塁への転向が既定路線。右の長距離砲候補としてベテラン2人の穴を埋めたいところだ。

また高卒3年目となる岡崎大輔にも注目したい。ファームではチーム最多となる281打席に立ち、打率.230を記録。ルーキーイヤーの打率.156から改善が見られている。遊撃手としてプロ入りしたが、内野は全ポジション守れて万能性は高い。2018年に一軍出場はなかったが、このチャンスを活かすためにも、春季キャンプ、オープン戦と開幕前にアピールしたいところだ。

このようにオリックスは投手、野手ともに若手には大きなチャンスがある。ベテランや主力が抜けたことをきっかけに若手が一軍定着、さらにはレギュラーをつかみ取ることに期待したい。

※数字は2018年シーズン終了時点