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「昇竜復活」へ……田島・又吉・岡田らリリーフ陣の「復活」が再建の鍵

2019 1/20 07:00青木スラッガー
岡田俊哉,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

リリーフ陣に大きな課題を残した昨季

『昇竜復活!WITH BLUE』。2019年の中日が掲げたスローガンだ。奇をてらったと言えなくもない個性的なスローガンを掲げる球団も多い中、中日はストレートなメッセージに落ち着いた。与田剛監督の新体制を迎えてユニフォームも新しくなる今季こそ復活を遂げ、6年続くBクラスを脱却となるだろうか。

昨季の中日は野手陣が優秀な結果を残したものの、投手力に大きな課題を残した。投手有利のナゴヤドームを本拠地としながら、12球団ワーストのチーム防御率4.36を記録。特に救援防御率が4.93と、リリーフ陣の不振が勝敗に大きく響いた。

勝ちパターン継投を期待された3人がプロ入り以来最大の不振

田島慎二は2012年のプロ入り以来中継ぎ投手としての貢献が続いていたが、2016年に17セーブを挙げてクローザーとして台頭。2017年はリーグ2位の34セーブを挙げ、球団で2013年の岩瀬仁紀以来となる30セーブ達成した。しかし、昨季は30登板で防御率7.22、15セーブにとどまり、逃げ切り継投の計算が立たなくなってしまった。

セットアッパーとして田島までつないできた又吉克樹も昨季は苦しい1年になった。2014年のプロ入りから4年連続50登板を果たし、2017年は9試合で先発も務めた鉄腕。昨季は40登板で防御率6.53とプロ入り以来初めての不振に陥った。

開幕時のセットアッパー候補であった谷元圭介も結果を残すことができなかった。序盤戦で打たれ、一軍登板は5月11日の巨人戦が最後。プロ入り以来最少の8登板でシーズンを終えた。2009年に日本ハムへ入団し、2017年には通算100ホールドを達成するなど活躍してきた谷元。その実績を買われ、2017年途中にトレードで中日に加入したが、以降はリリーフエースに君臨した日本ハム時代の状態から遠ざかっている。

勝ちパターン継投を期待された3人ともがプロ入り以来最大の不振に陥るとは、さすがに予想できない展開だった。

若手の台頭も目立ったが……

昨季の中日投手陣でプラス面を挙げるとするなら、上記の実績のある投手たちに不振が重なった分、若手に多くの出番が回った。

ドラ1の鈴木博志はいきなり53登板を果たし、3年目の佐藤優も夏場からリリーフで好投して今季はクローザーを争う立場になる。先発では大卒2年目の笠原祥太郎が17先発で6勝、高卒2年目の藤嶋健人も8先発で3勝と台頭。高卒ルーキーの3人は(2位・石川翔、4位・清水達也、6位・山本拓実)全員が一軍のマウンドを経験している。

また、火の車だったリリーフ陣を立て直すため、ドミニカ出身の外国人左腕・ロドリゲスを7月に獲得。26登板で防御率2.30と救世主の働きをみせた。ロドリゲスは現時点で正式な契約が発表されていないが、残留が濃厚とみられており、彼の加入は怪我の功名といえるかもしれない。

ただ、オフの補強にあまり積極的な姿勢が見られなかった。外国人投手のロメロを獲得したものの、ほかにドラフト以外での補強はない。チーム最多13勝のガルシアが阪神に流出し、マイナスの方が大きいという見方が強いだろう。

そんな状況でチームが昇るには、やはり昨季不振だったリリーフ陣の「復活」のほかにない。

大きな課題を残したリリーフ陣も、選手個々の実績は決して他球団に劣らない。昨季は防御率5点台だった福谷浩司、岡田俊哉も過去に防御率1点台の好成績を残したことがあるリリーフだ。名前だけなら豪華なメンバーが揃っている。

田島、又吉、谷元、福谷、岡田。全員がかつての輝きを取り戻せば、12球団屈指のリリーフ陣が出来上がるだけに、希望的観測に過ぎないが、ここに大きな期待を寄せたい。