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「代打の切り札」としての畠山和洋にかかる期待

2019 1/17 07:00勝田聡
バッター,ⒸShutterstock.com
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圧倒的存在感を放った高橋由伸

年が明け2週間以上が過ぎ、気付けば1月も半ば。2月1日のキャンプインまで遂に1ヶ月を切った。

国内外様々な場所で自主トレに励んでいる各選手たちは、開幕一軍、さらにはスタメンやローテーションとそれぞれの役割を目指していくことになる。だが、選手全員が一軍入りを果たし、レギュラーになれるわけではない。当然、守備固めや代走など、サブ的な役割を担うことになる選手もいる。

そのサブ的な役割のなかで花形的な存在となるのが「代打の切り札」だ。その実績によっては「代打の神様」と呼ばれることもあり、試合終盤の空気を変える可能性を秘めた存在である。

2018年は、原口文仁(阪神)が代打打率.404(57打数23安打)と驚異的な成績を残したことで話題に。少し前だと、高橋由伸(巨人)や前田智徳(広島)が主軸打者として活躍後の晩年に、代打として結果を残してきた。

特に2015年が最後のシーズンとなった高橋は、代打打率.395(38打数15安打)で、まだまだ相手チームにとって驚異的ともいえる存在だった。試合終盤にネクストバッターズサークルに背番号「24」が見えると、球場からは大歓声が上がった。

このように試合展開とは関係なく、「代打の切り札」がその日一番の盛り上がりとなることは決して珍しいことではない。

畠山和洋には4番で培った勝負強さがある

球界全体を見渡しても、現役晩年の高橋のように代打でありながら、球場の空気と試合展開を一気に変えることのできる選手はそう多くない。

近年のヤクルトでは、今シーズン限りで退団となる鵜久森淳志や大松尚逸といったベテラン選手が切り札的存在だった。戦力外からチームに加わるというドラマを持ち、劇的な殊勲打を放ったこともある二人は、代打登場の際も球場を大きく盛り上げた。

そして2019年、(神宮球場限定かもしれないが)そういった存在になりうる選手がヤクルトの畠山和洋だ。2000年ドラフト5巡目で専大北上高からヤクルトへ入団。8年目となる2008年に頭角を現すと、主軸打者へと成長。2015年のリーグ優勝時には4番としてチームを支え、打点王のタイトルを獲得している。しかし、その後は故障との戦いが続き、この3年間は満足できる結果を残せていない。

故障だけでなく37歳になる2019年は年齢的な問題もあり、長いシーズンをギュラーとして活躍し続けるのは酷ともいえる。そう考えると、「代打の切り札」に専念する選択肢も当然浮かび上がってくる。契約更改の席ではスタメンを目指すという前置きはあったが、「代打にシフトする日がくるとは思う」とコメントしており、本人にもその意志はある。

2018年シーズンは47回の代打起用に対し、打率.289(38打数11安打)、2本塁打、12打点の成績を残しており、心強い存在の畠山。12打点は原口の18打点、阿部慎之助(巨人)の17打点に次ぐ数字であり、4番として培ってきた勝負強さをいかんなく発揮した。

2018年までの登場曲がノリのよい『黄金魂』(湘南乃風)であったこともあり、曲の最後にあわせ「はったっけー」とコールをするのが定番になっていた。これによって、より一体感を生み出すことができたはず。突然に変更が行われることも多い登場曲。今シーズンも同じものを使用するかは不明だが、長年登場曲を変更していない畠山は、おそらくそのまま継続すると思われる。

球場の空気と試合の流れを変え、チームを勝利に導く代打・畠山に期待したい。

※数字は2018年シーズン終了時点