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巨人では大舞台に強かった長野・内海 若いチームで貴重な「日本一」経験者

2019 1/12 07:00青木スラッガー
ヘルメット,ⒸShutterstock.com
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貴重な「日本一」経験者

衝撃的な結末となった巨人の人的補償2人。FA加入する炭谷銀仁朗の補償で内海哲也が西武に、丸佳浩の補償で長野久義が広島に移ることとなった。

内海はエース菊池雄星が抜けた先発ローテーションの一角、長野は丸に代わる外野手・中軸打者として、それぞれチームのウィークポイントを埋める救世主となれるのかに注目される。戦力的な面だけでなく、ここまで中心選手として巨人を引っ張ってきた「経験」も、若手が主体の西武・広島にとっては大きな財産となるだろう。

広島は大ベテランの新井貴浩が引退し、エルドレッドも退団。今季で35歳を迎える長野は、石原慶幸や赤松真人に次いでチーム内3番目の高齢野手となる。一方、37歳を迎える内海は西武で最年長だ。新天地では「外様」という立場になるが、巨人でも若手に慕われる姿が印象的だった2人にはリーダー的な役割が期待される。

もうひとつ注目したいのが、ベテラン2人が持つ「日本シリーズを制した経験」だ。生え抜きが戦力の大半を占める広島には、日本一経験のある選手が昨季途中加入の曽根海成、今オフ加入の菊池保則の2人しかいない。2008年の日本シリーズで巨人を破った西武も、当時から主力メンバーだった野手の中村剛也と栗山巧は残っているが、投手陣の日本一経験選手はゼロである。

昨年はリーグ王者に立つも、ポストシーズンで涙を飲んだ西武と広島。対して両チームを倒したソフトバンクは2011年以降で5度目の日本一となった。経験の面でソフトバンクにはアドバンテージがあるが、そこに立ち向かっていくにあたり頂点を知る選手の加入は大きく、内海・長野の両選手共に大舞台での強さは十分だ。

2012年日本シリーズは内海がMVP、長野も2本塁打で優秀選手賞

日本シリーズに4度出場し、2009・2012年の日本一を経験した内海。9登板で5勝1敗・48投球回・防御率2.25という抜群の日本シリーズ通算成績を残してきている。近年は2桁勝利から遠ざかり、エースを張った一時期のような活躍からは遠ざかっている。しかし、そんな大舞台での貢献があったからこそ、衝撃的とはいえファンも今回の人的補償を受け止められたのだろう。

これからチームメイトとなる中村・栗山と対峙した2008年(対西武)は第3戦に先発し、6回途中3失点の投球で日本シリーズ初登板初勝利を挙げた。2009年(対日本ハム)は王手をかけた第6戦、先発の東野峻が負傷降板したことにより初回2死から緊急登板。6回途中までを無失点に抑えて日本一決定試合の勝ち投手となっている。

エースの立場で迎え、第1戦を任された2012年(対日本ハム)は2先発で2勝0敗・15投球回・防御率1.20と完璧な投球でシリーズMVPに選出。2013年(対楽天)もリリーフ1登板を含む3登板で15投球回・防御率1.20と、この2年間のシリーズはほとんど打たれていない。

長野は日本シリーズ出場2度で、内海とともに2012年の日本一を経験。2012年は第2戦で初回に相手先発・武田勝から先頭打者本塁打を放ち、日本一を決めた第6戦でも再び武田勝から一発を放つなど、6戦連続安打をマーク。トップバッターとして打率.375・出塁率.444・2本塁打のシリーズ成績を残し、優秀選手賞に選出されている。

楽天に敗れた2013年は打率.269・出塁率.367だったものの、チーム全体が田中将大ら楽天投手陣に抑え込まれた巨人打線の中で、打率はトップ。1勝2敗で迎えた第4戦では5打席5出塁、3打数3安打3打点の活躍で勝敗をタイに戻す勝利に貢献しており、大事な局面で仕事をしてきたという印象が強い。

果たして、新天地でも大舞台で輝く姿が見られるか。日本シリーズで内海と長野が対戦となれば熱い展開だ。