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長野の移籍で広島外野陣は柔軟な対応が可能に

2019 1/12 15:00勝田聡
長野,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

丸佳浩の人的補償が長野久義に

仕事始めも多かったであろう1月7日、プロ野球界に大きなニュースが駆け巡った。FA権を行使し、広島から巨人へと移籍した丸佳浩の人的補償が長野久義と発表されたのだ。

いまさら説明する必要はないかもしれないが、長野は2009年ドラフト1位で巨人入団。それまでに2度の指名拒否もあり、ようやく念願かなっての入団となった。2010年のルーキーイヤーからレギュラーを確保すると、打率.288、19本塁打、52打点の成績を残し新人王を受賞する。翌2011年には打率.316で首位打者、2012年には173安打で最多安打のタイトルを獲得するなど、順調にステップアップした。以降もレギュラー格として安定したプレーを見せ、2018年も規定打席未到達ではあるが、116試合に出場し打率.290、13本塁打、52打点の成績を残している。

巨人に入団し9年間で放った安打は1271本。現在34歳という年齢から考えると、野手の勲章である2000本安打も決して不可能ではないほどの実績を誇っている。

長野は球団を通じて「3連覇している強い広島カープに選んでいただけたことは選手冥利に尽きます。自分のことを必要としていただけることは光栄なことで、少しでもチームの勝利に貢献できるように精一杯頑張ります」とコメント。広島でもレギュラーを奪い、チームに貢献することを誓っている。

長野の移籍は巨人にとっては戦力面のみならず、心理的な面でも影響を及ぼしそうだ。一方の広島は丸の穴を埋める意味では最適に近い補強となった。

長野通算成績表

ⒸSPAIA

長野の加入で様々なオプションが可能に

さて、移籍先となる広島外野陣の顔ぶれはどのようになっているだろうか。右翼には鈴木誠也がおり、中堅・左翼の両ポジションは現時点で確固たるレギュラーは不在。中堅は野間峻祥と下水流昂、左翼は一塁と併用を含め松山竜平、サビエル・バティスタが争うこととなる。

また、三塁を中心とした内野で起用をされていた西川龍馬も秋季練習では外野の練習を行っており、レギュラー争奪戦に加わることとなりそうだ。丸が退団したとは言え、いずれも一軍で結果を残したことのある選手たちばかり。そこに長野が加われば、大幅な戦力ダウンとなることはないだろう。

2108広島シーズン成績表

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長野は右翼、中堅の両方を守っているが右翼には鈴木がいるために、現実的には丸が守っていた中堅のポジションを争うこととなりそうだ。2018年シーズンに丸が不在だった際、中堅を守っていた野間が当面のライバルとなる。守備、走塁面では野間に軍配があがるもの、実績、経験では長野に一日の長がある。また、右打ちの長野に対し、野間は左打ちだ。相手投手によって先発起用を変えてくる可能性もありそうだ。

また、野間は左翼での出場も可能。松山やバティスタといった長距離砲を一塁で起用し、スタメンから外れた選手を「代打の切り札」として起用することもできる。長いペナントレースを戦っていくには、このようなオプションが多いに越したことはない。

これまでも中堅ではないが左翼、一塁を松山やバティスタ、そして新井貴浩、ブラッド・エルドレッドらをローテーションしながらシーズンを戦ってきている。ベテランの体調や故障などにも気を配りながら、緒方孝市監督はレギュラーを固定せずに柔軟な起用をすることとなるかもしれない。

セ・リーグ4連覇へ向けて考えると、丸が抜けた穴を最小限に食い止めたのは非常に大きい。実績のある長野が若いチームのなかでどのように起用され、輝いていくのか注目したい。