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大型補強がなかったDeNAは既存戦力の底上げで今季に臨む

2019 1/7 11:00勝田聡
東克樹,ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

先発陣の不振で4位に低迷

一昨年のDeNAはペナントレースで3位ながらクライマックスシリーズ(CS)を勝ち抜き、日本シリーズへと出場を果たした。その中心メンバーは残り、なおかつ、守備の名手である大和を阪神から補強。また、即戦力左腕として呼び声の高かった東克樹をドラフト1位で獲得し、上位争いを期待されていた。

しかし、ことはそううまく運ばない。開幕から6試合で1勝5敗とスタートダッシュに失敗。その後、8連勝で盛り返し、3月・4月は13勝11敗で2つの貯金を作り上昇気流に乗ったかのように見えた。だが、5月は五分だったものの、6月から3カ月連続で月間負け越しを喫してしまう。その結果、最終盤まで3位以上の可能性は残っていたが、追い上げはかなわずCS出場を逃した。

DeNA成績表

ⒸSPAIA

各数字を見ると、181本塁打はリーグトップ。本塁打王を獲得した、ネフタリ・ソト(41本塁打)、日本の4番・筒香嘉智(38本塁打)、宮﨑敏郎(28本塁打)、ホセ・ロペス(26本塁打)と20本塁打超えカルテットの破壊力は抜群だった。一方でチーム打率.250、572得点はともにリーグ最下位。本塁打以外で得点を積み重ねることができなかった。

投手陣では規定投球回に到達したのが新人の東ひとりだけ。石田健大、今永昇太、濵口遥大といった左腕は軒並み苦しんだ。先発陣の不振は深刻で「7回の男」として開幕した井納翔一も最終的には先発に配置転換されたほど。

8回、9回を投げるスペンサー・パットン、山﨑康晃そして三嶋一輝、三上朋也、砂田毅樹といった中継ぎ陣は揃っていただけに、ローテーション投手陣が誤算だった。

大型補強はなく外国人選手の残留に全力

4位という成績を受けアレックス・ラミレス監督の去就も注目されたが、結果的に1年契約で留任となった。

1月6日時点では4位からの巻き返しに向けた補強は大きく動いておらず、FA選手、新外国人選手獲得の動きはない。しかし、本塁打王のソト、主軸のロペスと外国人野手ふたりは残留。セットアッパーのパットン、そして貴重な左腕であるエドウィン・エスコバー、そしてエディソン・バリオスと投手陣と次々に契約を行った。今季の戦力となった外国人選手たちをつなぎとめることに成功した。

FAでの補強はなかったが、12球団合同トライアウトから中井大介(巨人)、入団テストから古村徹(BC富山)とふたりを獲得している。両選手ともどちらかと言うと、主軸ではなくサブ的な役割を与えられそうだ。

ドラフトでは小園海斗(報徳学園高→広島)の抽選を外したが、即戦力候補の上茶谷大河(東洋大)を1位で獲得した。ここ数年のドラフト1位は1年目から結果を残しているだけに、上茶谷にも同様の活躍を求められそう。

2位では伊藤裕季也(立正大)を獲得。パンチ力のある二塁手、そして主将として大学野球最後の大会となる明治神宮大会でチームを優勝に導いた。DeNAの二塁手は固定できていないポジションだけに、1年目からチャンスはありそう。すでにラミレス監督はソトを二塁で起用する方針を語ったが、覆させるような働きを見せたい。

3位では即戦力候補として大貫晋一(新日鐵住金鹿島)を指名している。ドラフト後に行われた社会人日本選手権でも好投を見せており、ローテーション位争いに加わるだろう。

大卒、社会人と上位で指名し4位では高卒の投手として勝又温史(日大鶴ヶ丘高)を獲得。5位では益子京右(青藍泰斗高)と高校生捕手を指名している。6位にはBC新潟の内野手・知野直人を指名した。全体的にバランスのよい指名となっている。

ここまでの動きを見ると、大型補強はない。実績のある外国人選手、そして不振だった選手の復活で今シーズンを乗り切ることになる。巨人、阪神と大型補強を進めるなか、既存戦力の底上げで優勝争いに加わることができるだろうか。ラミレス監督4年目のシーズンに注目したい。