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松坂大輔、久保裕也…崖っぷちから戻ってきた投手は強い!

2019 1/8 11:00勝田聡
松坂大輔
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ⒸYoshihiro KOIKE

松坂大輔、久保裕也と松坂世代のふたり

2018年シーズンに復活を遂げた選手といえば、やはり松坂大輔(中日)の名前があがるだろう。

2015年にMLBから日本復帰を果たし、ソフトバンクへと入団する。しかし、西武時代に見せた投球どころか、一軍での登板さえままならなかった。3年間在籍したソフトバンク時代、一軍での登板は2016年の1試合のみ。それも、順位争いに関係のないシーズン最終戦だった。ほぼノープレッシャーでの登板にもかかわらず、1回5失点(自責2)と散々な内容に終わっている。翌2017年は一軍登板することはできず、オフに退団。その後、入団テストを受け中日入団を果たした。

2018年シーズンの松坂は6勝4敗と最下位のチームながら2つの勝ち越し。カムバック賞を受賞した。試合での投球以外にも若手選手の手本となり、その他にもグッズ売上や観客動員といった部分でもチームに好影響をもたらしている。まさに「平成の怪物」が崖っぷちから蘇ったのだ。

今シーズン蘇ったのは松坂だけではない。同じ「松坂世代」の久保裕也(楽天)も躍動した。久保は2015年に巨人、2016年にDeNA、昨年は故障もあり楽天でそれぞれ戦力外通告を受けていた。すなわち、3年連続で契約更改ができなかったのである。

しかし、楽天と育成契約を締結し直して臨んだ2018年シーズン。久保はシーズン中に支配下登録を勝ち取り、25試合で防御率1.71を記録しみごとに復活。4年連続の戦力外通告を回避し、しっかりと2019年シーズンの契約更改を果たしている。

契約更改の席では「松坂世代最後のひとりまでやりたい」と力強い発言も見せ、2019年以降への意気込みも十分だ。

加治屋蓮、山田修義は貴重な中継ぎとして復活

松坂、久保といった「松坂世代」は1980年生まれ。2018年シーズンは38歳の年であり、アラフォーと呼ばれる世代でもある。筋力、動体視力といった力に衰えがくることは容易に想像できる。そのなかで素晴らしいパフォーマンスで健在ぶりを見せつけた。

それに触発されたのかは定かではないが、若い選手でも復活を遂げた投手は多い。

たとえば加治屋蓮(ソフトバンク)。2013年ドラフト1位で社会人野球のJR九州からソフトバンク入を果たした加治屋。社会人出身のドラフト1位ということで大きな期待を背負っていたが、昨シーズンまでの登板数はわずか4試合にとどまっていた。ドラフト1位といえども、4年連続結果がでなかったことで、立場は危うかったことだろう。

しかし、今シーズンは岩嵜翔、デニス・サファテといった試合終盤を任されていた投手が、軒並み故障で戦線離脱。その穴をしっかりと埋め、キャリアハイとなる72試合に登板。4勝3敗31ホールド、防御率3.38と崖っぷちから戻ってきたのである。加治屋の働きはクローザーの森唯斗と同じく、日本一2連覇に欠かせないものだった。

他には山田修義(オリックス)もそうだ。2009年ドラフト3位で敦賀気比高からオリックスへ入団した山田は2017年シーズンまでの8年間での登板は31試合。高卒とはいえ9年目の2018年シーズンに結果を残すことができなければ、戦力外となってもおかしくない状況だった。

そんな崖っぷちでもあった山田は8月に一軍登録されると、いきなりプロ野球タイ記録となる月間18試合登板を達成。以降も貴重な左の中継ぎとして起用され、2017年までの8年間で登板してきた31試合とほぼ同じ30試合登板を果たしている。

松坂は先発として復活したが、久保、加治屋、山田は中継ぎとして自身の持ち味を存分に発揮し、崖っぷちから舞い戻ってきた。2019年シーズンは一軍定着を果たし完全復活を目指す。