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戦力が整いながらも4年連続Bクラスとなったオリックス

2019 1/5 15:00勝田聡
福良監督
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ⒸSPAIA

3位争いをするも夏場以降に失速

1996年から20年以上もリーグ優勝から遠ざかっていたオリックス。2014年にあと一歩で優勝に迫る2位となったが、それ以降はBクラスが続きクライマックスシリーズへの出場もできていない。

昨シーズンも序盤から躓いた。開幕カードでソフトバンクに1勝2敗と負け越すと、4月上旬から5連敗を喫してしまう。しかし、5月は15勝10敗、6月も11勝9敗2分と2カ月連続勝ち越し。交流戦でヤクルトに次ぐ2位に入り、パ・リーグでは最高勝率となったのが大きかった。

その勢いもあり、前半戦終了間際にはソフトバンク、ロッテとともに3位を争っており、久々のクライマックスシリーズも射程圏内だった。しかし、後半戦開始早々から8連敗を喫してしまいCS争いから脱落。その後も浮上することはなく4位でシーズンを終えている。

オリックス成績表

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各数字を見ると防御率3.69はリーグ1位となっており、投手陣は頑張ったことがわかる。先発投手陣では新外国人のアンドリュー・アルバースが離脱したものの9勝2敗、防御率3.08と結果を残すと、西勇輝も負け越しているが10勝13敗と2桁勝利を達成し規定投球回に到達している。

金子千尋(4勝7敗)、山岡泰輔(7勝12敗)、ブランドン・ディクソン(4勝6敗)と負け越したが、いずれも防御率は3点台となっており、極端に悪かったわけではない。また、山本由伸、増井浩俊と終盤の投手も安定していた。その他には山田修義、比嘉幹貴といった中継ぎも結果を残している。打線とのかみ合わせが良ければ、上位にいてもおかしくない投手陣だったのである。

一方の打線は全体的に低調だった。3年目の吉田正尚は打率.321、26本塁打、86打点と結果を残しており、交流戦でもMVPも受賞し奮闘。しかし、その他ではステフェン・ロメロの25本塁打が目立つ程度だった。Tー岡田、クリス・マレーロはともに不発に終わっている。

西勇輝、金子千尋と先発が流出

このオフ、福良淳一監督が退任しヘッドコーチだった西村徳文新監督が就任した。ロッテで監督を務めた際は就任1年目(2010年)に3位から日本一を勝ち取り、下剋上を成し遂げた。オリックスでも同様の手腕に期待がかかっている。

しかし、就任早々流出が相次ぎ苦しい戦いとなりそうだ。まず、FA宣言をした西勇輝が阪神へと移籍。また、金子が減額制限を超えた減俸を受け入れず、自由契約を選択。その後、日本ハムへの入団を決めた。先発の柱2本が抜ける前途多難なスタートとなっている。野手では小谷野栄一が引退。中島宏之が金子と同じく減額制限を超える減俸を拒否し、自由契約から巨人への移籍を決めた。先発の柱だけではなく、まとめ役となりうるベテランもチームを去ってしまう。

気になる補強だが、現時点では今季マイナーで23本塁打を放っているジョーイ・メネセスと西の人的補償で阪神からやってきた竹安大知とふたりだけ。補強に動いていないわけではない。FA宣言した浅村栄斗の獲得にも乗り出していたが、交渉の席につくことすらできなかった。

注目のドラフトでは小園海斗(報徳学園高→広島)の抽選を外したが、同じ高校生の遊撃手である太田椋(天理高)を獲得。将来の遊撃手候補として大きな期待がかかっている。1位では小園、太田と将来性を重視したが、2位以下では即戦力となりえそうな大学生、社会人の選手を多く指名している。

2位では攻撃型捕手の頓宮裕真(亜細亜大)を指名。捕手で指名しているが、三塁へコンバートされることが前提だ。小谷野、中島とベテランの抜けた穴を埋めることに期待がかかる。

3位以下では荒西祐大(ホンダ熊本/3位)、富山凌雅(トヨタ自動車/4位)、左沢優(JXーENEOS/6位)と3人の社会人出身投手を獲得。1年目から先発、中継ぎとして一軍起用が濃厚となっている。7位では大学日本代表にも選ばれていた中川圭太(東洋大)を指名。PL学園高出身ということで話題を呼んだ。二塁のポジション争いに加わることに期待がかかる。

そして5位では高校時代は「二刀流」だった宜保翔(未来沖縄高)を獲得。プロでは根尾昂(大阪桐蔭高→中日)のように内野手に専念することとなりそうだ。

FAや外国人選手の補強で大きく動いていないが、ドラフトでは大学生・社会人出身の選手を多く指名した。もちろん未知数ではあるが、社会人出身の選手が多く活躍しているチームということもあり、1年目から期待がかかる。