広島で飛躍を遂げた右腕
今季も圧倒的な強さでリーグ3連覇を果たした広島。その投手陣の柱となったのが、5年目の大瀬良大地だ。リーグ2位の182イニングを投げて防御率2.62と抜群の安定感を見せ、最多勝と最高勝率の2冠を獲得。今回は、そんな飛躍を遂げた右腕を探っていく。
まず念頭に置きたいのが、今季から「二段モーション」が解禁されたことだ。NPBでは野球規則に基づいて2006年から不正投球としていたが、今季から国際基準に合わせて規制が緩和された。
これを受けて、大瀬良は二段モーションを取り入れ、走者がいない場面では一度ためをつくってから投球するフォームに変更。そのかいあってか、今季は無走者時の被打率が.214と、規定投球回到達者ではリーグトップの成績を残した。
改良を加えた新フォーム『二段モーション』
走者がいない場面での大瀬良の投球を、さらに掘り下げてみよう。注目したいのが、大瀬良の生命線ともいえるカットボールだ。今季は走者がいない場面における投球の32%をカットボールが占めており、前年の24%から大幅な増加を見せた。
そして、今季はこのカットボールでバットに空を切らせる場面が格段に増えた。投球に占める奪空振りの割合は19.5%と、前年の11.2%から大きく上昇。要因の全てではないにしろ、二段モーションの導入が好影響をもたらした可能性も考えられる。
改良を加えた新フォームで、精度の高いカットボールを多投した今季の大瀬良。結果として、走者がいない場面ではおよそ打者4人に1個というハイペースで三振を奪い、これが優れた被打率にもつながっていた。
本人も「軸足にしっかり体重を乗せることを意識しやすくなった」と、手応えを語る二段モーション。頼れるエースへと進化した背番号14が、チームをリーグ4連覇と悲願の日本一へ導くことを期待したい。
企画・監修:データスタジアム、執筆者:川畑 賢太郎