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ZOZOマリン改修のロッテ 鍵となる「グラウンドボーラー」の存在

2018 12/7 07:00青木スラッガー
各球団データ投手
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ⒸSPAIA

改修されるZOZOマリンスタジアム、被本塁打が増える心配は?

ロッテの本拠地球場、ZOZOマリンスタジアムの工事が進み、得点増加へ期待が高まっている。最大で外野フェンスを4メートル前に出し、ファウルゾーンも狭くするという大掛かりな改修で本塁打増加が見込まれる。

しかし、近年ロッテは順位が低迷し、長打力不足も課題となっていることもあってか、ファンの間ではネガティブな声も飛んでいる。

「打たれる本塁打ばかりが増えてしまうのではないか」という意見だ。

確かに、今までアウトになっていた外野フライがスタンドインするようになってしまい、味方の本塁打が増えても、結果的に打ち負けてしまう展開が多くなる心配はある。

被本塁打の危険性が増す2019シーズン以降は、フライをあまり打たれず、ゴロでアウトを稼ぐことのできるタイプの投手が重宝されるようになる。いわゆる「グラウンドボーラー」と呼ばれる投手のことだ。 では、2018シーズンのロッテ投手陣の打球傾向はどうだっただろうか。

ロッテ投手・打者の打球傾向

ゴロとフライの打球傾向を示すものとして、「GB/FB」という指標がある。フェアゾーンに飛んだ打球のうち、ゴロの総数をフライの総数で割ったもので、数字が大きいほどゴロの比率が高い投手(打者)になる。この指標を元に、今シーズンのロッテ投手陣の打球傾向を見ていく。

なお今回はデータ算出の都合上、交流戦を除いたレギュラーシーズンでの数字とさせていただく。簡易的なデータとなるが、おおまかな傾向を読み取っていきたい。

手元の資料ではチーム投手全体のGB/FBは以下のようになる。

各球団データ投手

ロッテのGB/FBの値は12球団で7番目。ゴロが多いわけではないが、フライを多く打たれているわけでもなかった。一方、打者のデータは以下の通り。

各球団データ打者

打者はGB/FBが12球団で11番目の低さだった。これは、少し意外な結果ではないだろうか。今シーズンのロッテは、チーム本塁打(78)、チーム三振(888)で両リーグ最少。三振・本塁打が際立って少ないとなると、大振りによる空振りやフライアウトは厳禁のチーム方針で、コンパクトに当てにいっているようなイメージが湧く。 しかし、実際はフライ打球の比率が高かった。このデータからは打撃面において外野フェンスが近づくのは好材料といえるだろう。

新加入ボルシンガーが圧巻のグラウンドボーラーぶり

GB/FBが平均的だった投手陣は、グラウンドボーラー特性の高い投手が、どれだけ活躍してくれるかが鍵となりそうだ。先発投手陣のデータは以下のようになっている。

先発

やはり注目は、今シーズン新加入で13勝をマークし、最高勝率のタイトルを手にしたボルシンガーだ。手元で動く速球系のボールを有効に使いゴロアウトの山を築いた。こういったデータを見ずともその投球ぶりは印象深かっただろう。被本塁打率も低く、来シーズンの柱となってもらいたい存在だ。

シンカーを操る石川歩は9イニングに1本程度の被本塁打があるものの、GB/FBがボルシンガーと同程度。大きく投球クオリティが変わる心配が少ないのではないだろうか。先発投手で最もゴロ率が高かったのは、ルーキーの渡邉啓太だ。イニングが少なく、偶然の要素が含まれているかもしれないが、ゴロ投手の素質があるのなら貴重な存在となる。

多くのイニングを投げた酒居知史、二木康太、有吉優樹はフライ傾向が高い結果になった。来シーズンの投球内容に変化を加えてくるのか気になるところだ。

リリーフ

リリーフは左腕の松永昂大のゴロ率が高く、今シーズンは40イニングで1本しか本塁打を許さなかった。来シーズンも頼れるリリーバーとなりそうだ。特に被弾を許されない場面で、相手の左右にかかわらずピンポイントで投入できそうである。

20イニング以上投げたリリーフは全体的にゴロ傾向が高い結果になった。ブルペンの柱である益田直也もゴロ傾向の方が高い。その中で、フライアウトが多いクローザーの内竜也は重要な役割を担うだけに、被本塁打が増えないか注視したい。