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浅村流出の西武、来季のキーマン「年俸5億男」メヒアの復活に期待

2018 12/3 10:05青木スラッガー
メヒア,ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

不動の3番打者・浅村の穴はどれほど大きいか

浅村、炭谷の主力2人がFA流出した西武。捕手はルーキー時代から打撃が売りだった森友哉が守備面でも順調に成長している。二塁手も外崎のコンバートで、「守り」に関しては2人の穴もなんとかなりそうだ。しかし打線においては、3番打者としてほとんど出場した浅村の代わりは簡単に解決しないだろう。

浅村の今シーズンは打率.310・32本塁打・127打点。総合的にキャリアハイといえる1年になった。打撃に限定して、その貢献度をセイバーメトリクスの指標「RC(Runs Created)」で表すと、108.30というスコアになる。

RCとは出塁能力と長打力をベースに、走塁能力も加味して様々な面から打者の得点を生み出す能力を評価する指標だ。この指標は、チーム全打者のRCを合計すると、チームの得点と近くなるような計算式となっている。浅村は西武のチーム得点792のうち、108.3点を個人で生み出したということである。

RCチームトップは秋山の127.53。47本塁打の山川が125.21で続き、少し離れて浅村は3番目。チーム3位といっても、RC100以上はMVP級とされ、それが3名もいるのは両リーグで西武だけ。浅村の108.30はパ・リーグ5位のハイスコア。この大きな損失をどうリカバリーするか。

西武の主力でこの3人に続くのは、森(83.91)、源田(80.29)、外崎(76.57)、中村(60.59)、栗山(48.02)、金子侑(29.26)となっている。

ここに含まれない打者で、本来の実力を発揮できれば、浅村に匹敵する大砲がいる。それはここ2年、苦しいシーズンを送っているエルネスト・メヒアである。

メヒアの復活にかかっている

2014年に来日したメヒアはいきなり34本塁打を放ち、パ・リーグ本塁打王を獲得。2年目は27本、3年目は35本と大砲として安定した活躍を見せていた。ただ、昨シーズンは19本。5年目の今シーズンは82試合に出場し9本。打率.212という成績だった。

メヒアの今シーズンのRCは22.25だが、RC最高だったシーズンは、35本塁打・103打点をマークした2016年の84.24。2014年もRC82.65を残した。一人で浅村の得点力をカバーできる可能性を持った存在である。

来シーズン、メヒアの出場機会は増えると予想される。今シーズンは指名打者のスタメンを森に奪われがちだったが、炭谷の退団で、森が指名打者を務める機会は減るだろう。そこで、指名打者はある程度の成績をキープする限り、ほかに良い選手がいてもメヒアが最優先となるはずだ。なぜなら、球団はメヒアにとてつもなく大きな投資をしているからだ。

メヒアの年俸は5億円。2017年からの3年契約だ。今シーズンの浅村(2億1000万円)と比べ物にならず、報じられている楽天の契約と単年ベースでは同額。球団からすれば、30本塁打くらいは打ってもらわないと困る選手である。

メヒアが主軸にどっしり座って活躍してくれると、攻撃面以外でも良いことがある。

メヒアが浅村の穴を埋めるだけの打撃を見せてくれれば、今の西武なら、あと3つの外国人枠を投手に回すことができる。今のところ、メヒアのほかに外国人打者は西武にいない。しかし浅村離脱による攻撃力低下が思った以上に深刻化すると、シーズン中でも外国人打者の補強に迫られるかもしれない。メヒアの復活は、投手力の強化にもつながるのだ。

メヒア自身も5億円の複数年契約が切れる来シーズンは、今後の野球人生のために重要な1年となる。「契約最終年の力」で、今シーズン果たせなかった日本一へ西武を導いてくれるだろうか。