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パ・リーグMVPはどうなる?山川・浅村・秋山・柳田で大混戦か

2018 11/14 07:00青木スラッガー
野球ボール,ⒸShutterstock.com
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パ・リーグMVP展望 下剋上達成チームからの選出は過去になし

CSで勝ち上がったソフトバンクが日本シリーズを連覇した2018年のパ・リーグ。シーズンで最も活躍した選手を記者投票で選出する「最優秀選手」(以下MVP)候補をピックアップする。広島・丸佳浩が大本命とみられているセ・リーグに比べ、パ・リーグは候補をひとりに絞れない混戦模様といえるのではないだろうか。

MVPは基本的にリーグ優勝チームから選出されるものだ。日本シリーズで敗れた場合も含めて、CSでリーグ王者を倒す、いわゆる“下剋上”達成チームから選出されたことは過去に一度もない。10年ぶりのリーグ優勝を飾った西武からの選出があくまで基本線となる。

その西武は「山賊打線」と呼ばれる破壊力抜群の野手陣で打ち勝ってリーグ王者に登りつめた。特に功績が大きかったのは山川穂高、浅村栄斗、秋山翔吾の3名だ。

山川・浅村・秋山の西武勢で三つ巴か

成績としても、印象度合いとしても最もインパクトのある活躍を残したのは主砲の山川か。全試合4番出場し、打率.281・47本塁打・124打点でダントツの本塁打王を獲得。優勝争い大詰めの9月に10本塁打を放つなど、大一番での貢献も目立った。

山川を上回り、打点王を獲得したのが浅村だ。山川の前で3番を打ち、打率.310・32本塁打・127打点。得点圏打率.369、満塁時は10打数6安打1本塁打21打点と、勝負強い打撃で強力打線をけん引した。守備でも負担の大きい二塁手をしっかりこなし、また主将としてチームを引っ張ったことも評価の対象となるだろう。

3人の中でトップの打率を残したのは秋山だ。打率.323・出塁率.403・107得点とトップバッターとして百点満点の仕事を果たし、なおかつ24本塁打・82打点とクリーンナップ並みの打撃成績もマークした。OPS.937は山川(.985)には負けるが、浅村(.910)を上回る数字だ。

本塁打は主砲山川、打点と勝負強さは浅村、打率や出塁能力は秋山と、3名それぞれに別分野でのアピールポイントがある。この中からどの選手が選ばれてもMVPの妥当性はありそうだ。しかし、ひとりを予想するとすれば、やはり“野球の華”であるホームランで圧倒的な数字を残した山川ということになるだろうか。

また、大穴という扱いにはあるが、526補殺で遊撃手のシーズン補殺記録を更新した源田壮亮も候補には挙げておきたいところだ。いぶし銀の活躍にどれだけ票が集まるか注目である。

柳田も候補に 西武勢の混戦でチャンスあり

西武勢以外の候補となると、可能性がありそうなのはソフトバンクの柳田悠岐だ。打率.352で首位打者を獲得し、36本塁打・102打点もマーク。夏場ごろまでは三冠王達成の可能性も残していた。OPS1.092は西武の上記3人を大きく上回り、総合的に判断すると、成績としては柳田がパ・リーグで今シーズン1番の打者だったといえるのではないだろうか。

繰り返しになるが、CS制度による下剋上達成チームからのMVP選出は過去に例がない。2位以下のチームからMVPが選出されるのは、最近では2013年に60本塁打を放ってプロ野球記録を更新したヤクルト・バレンティンのように、ほかに比べられる選手がいないくらい抜きんでた成績を残した場合だ。この傾向を踏まえると、柳田の実績は素晴らしいが、西武の野手陣と全く比較できないほどではなく、MVP選出は難しいのではと思われる。

しかし、今シーズンのパ・リーグがややこしいのは、西武にMVP級の選手が3名もいることだ。先に述べたとおり山川、浅村、秋山と同格の選手がおり、西武勢で票が割れる可能性がある。一方、西武勢以外では柳田のほかにこれといった選手は見当たらない。西武の3人は一人ひとりのポイントがあまり伸びず、柳田と僅差の争いになることも考えられそうだ。

票が割れつつも本塁打王の山川がMVPになると予想するが、浅村・秋山・柳田が選ばれても全くおかしくはない。近年まれにみる混戦模様なだけに、11月27日の結果発表が楽しみだ。

パ・リーグ 主なMVP候補

ⒸSPAIA