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王者広島勢か、偉業達成の山田・菅野か……セ・リーグMVPを予想

2018 11/13 07:00青木スラッガー
野球ボール,ⒸShutterstock.com
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セ・リーグMVPは丸が大本命か

11月のプロ野球はストーブリーグが盛り上がりをみせている。FA宣言した選手の動向から目が離せないが、この時期にもうひとつ気になるのが、月末に発表される「最優秀選手」(以下MVP)の行方だ。今回は広島が3連覇を飾ったセ・リーグの候補選手をピックアップする。

MVPについて簡単におさらいすると、シーズンで最も活躍した選手を記者投票により両リーグひとりずつ選出するものだ。ルールとしてはチーム順位に制約はないが、基本的にはリーグ優勝チームから選出される。

まずは基本線の広島勢から、最も目立った活躍を残した選手を考える。やはり大本命は昨シーズンMVPの丸佳浩ということになるだろう。チームトップの39本塁打と97打点をたたき出し、打率も.306をマーク。シーズン記録で歴代4位タイの130四球を選び、同8位の出塁率.468もインパクトは非常に大きい。ゴールデングラブ賞にも選ばれたが、中堅手の守備も含めて、総合的な貢献度は絶大だ。

2年連続MVPとなればプロ野球史上9人目。セ・リーグのみでの連続MVPとしては巨人・藤田元司、王貞治(2年連続を4回)、巨人・ラミレスに続いて史上4人目の快挙となる。

鈴木、大瀬良も対抗馬に

チーム内で、丸の対抗馬には4番打者の鈴木誠也が一番手に挙がる。チームトップの打率.320、チーム2位の30本塁打と94打点をマーク。MVPはあくまでレギュラーシーズンの功績を評価するものだが、日本シリーズの3本塁打は印象度として多少は票を左右するか。しかし、成績を比べるとOPS(丸1.096、鈴木1.057)も含めて丸が一段階上といえる。

先発投手の大瀬良大地も候補に挙げていいだろう。エース格としてリーグ最多タイの15勝をマーク。防御率2.62、クオリティスタート(6回3失点以上)は両リーグトップ21回と安定感抜群の働きをみせた。丸・鈴木は故障で20試合近く欠場しており、大瀬良はシーズンを通してローテーションを守った点がプラスに考えられる。

そのほかは、上記3人に比べるとややインパクトに欠けるものの、大車輪の活躍だったリリーフ2人も名前を挙げておきたい。クローザーの中﨑翔太は68登板で32セーブをマーク。9月末のリーグ優勝決定まで無敗で9回のマウンドを守り抜いた。

育成契約から5月に支配下昇格した左腕のフランスアは、47登板で防御率1.66、19ホールド。本格的に一軍で投げはじめたのは6月からだが、8月にプロ野球記録タイの月間18登板を果たすなど、大事な時期にフル回転でブルペンを支えた。リリーフのMVPは過去に例が少なく、選出の難易度は高くなるものの、両リリーフの貢献度は非常に大きかったといえるだろう。

偉業達成の山田、菅野にMVPの可能性は

広島勢以外からとなると、野手はヤクルト・山田哲人、投手は巨人・菅野智之に絞られてくるのではないだろうか。

山田は打率.315・34本塁打・33盗塁で自身2年ぶり3度目のトリプルスリーを達成。プロ野球史上で唯一トリプルスリーを2回達成していた男が、さらにその回数を伸ばした。

菅野は15勝・防御率2.14・200奪三振で投手三冠。そのほかにリーグトップの10完投・202投球回などで沢村賞選考基準の7項目オールクリアとなり、史上5人目の2年連続沢村賞に選出された。40年ぶりの8完封も凄まじい記録である。

冒頭で述べた通りMVPはリーグ優勝チームからの選出が基本線。しかし圧倒的な成績を残して勝率2位以下のチームから選出されたことが2000年以降では3例ある。2008年楽天・岩隈久志、2013年ヤクルト・バレンティン、2014年オリックス・金子千尋だ。

投手の2人はいずれも沢村賞。岩隈は21勝・防御率1.87・勝率.840で投手三冠。金子は16勝・防御率1.98で投手二冠。バレンティンは60本塁打を放ってプロ野球記録を更新したシーズンである。

山田、菅野の記録はどのように判断されるか。2016年に2年連続のトリプルスリーを達成したときの山田は、あまりMVP選考で票は集まらなかったが、「3回目」となると印象は違う。菅野の成績も2008年岩隈、2014年金子に匹敵するものだろう。

リーグ優勝チームで貢献度の高い丸を大本命に予想するが、山田の記録の重み、菅野の圧倒的な成績も軽く見ることはできない。2人にどれだけの票が集まるのかも注目だ。

セ・リーグ 主なMVP候補

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