2016年ドラフトで人気だったのは田中正義ら大卒投手
2016年ドラフトで注目を集めたのは、大卒投手だった。初回入札で田中正義(創価大→ソフトバンク)を5球団、柳裕也(明治大→中日)を2球団が指名。ハズレ1位では佐々木千隼(桜美林大→ロッテ)に5球団が競合した。
しかし、ここまでの2年間を見ると結果を残したのはドラフト時の人気投手ではなく、野手に偏っている。ルーキーイヤーとなった昨シーズン新人王も野手だった。
セ・リーグでは京田陽太(日大→中日2位)、パ・リーグでは源田壮亮(トヨタ自動車→西武3位)と新人遊撃手がそろって新人王を受賞した。両リーグともに野手が新人王に輝いたのは、1996年の仁志敏久(巨人)と金子誠(日本ハム)以来21年ぶり のことだ。ハズレ1位でDeNAに指名された濵口遥大が10勝6敗、防御率3.57と結果を残したが、ドラフトで人気が集中した田中は登板なし。佐々木は4勝7敗、防御率4.22、柳は1勝4敗、防御率4.47と物足りない成績に終わっている。
この中から将来活躍する投手陣が現れるかもしれない。しかし、現時点では野手陣が一歩リードしている。
<2016年ドラフト1位>
西武:今井達也(作新学院高)
ソフトバンク:田中正義(創価大)
日本ハム:堀瑞輝(広島新庄高)
オリックス:山岡泰輔(東京ガス)
ロッテ:佐々木千隼(桜美林大)
楽天:藤平尚真(横浜高)
広島:加藤拓也(慶応大)
ヤクルト:寺島成輝(履正社高)
巨人:吉川尚輝(中京学院大)
DeNA:濵口遥大(神奈川大)
中日:柳裕也(明治大)
阪神:大山悠輔(白鴎大)
期待度が高い大山悠輔
京田、源田のふたりは守備がともに遊撃手ということもあり、大きな話題になった。守備の負担が捕手に次いで2番目に大きいと言われる遊撃手でレギュラーを獲得するのは至難の業だ。
ポジションこそ一塁、三塁と負担は小さいが、ここまで順調に成長している大卒の野手がいる。大山悠輔(白鴎大→阪神1位)だ。ドラフト時に阪神は佐々木を指名するとの報道が多かった。しかし、ふたを開けてみれば大山の一本釣り。大学日本代表の4番だったとはいえ、ドラフト1位の初回入札で指名されると予想していた人は少ない。
その大山に与えられた背番号は「3」。即戦力内野手、そして将来の主砲としての成長が期待されていた。しかし、ここまでの2年間でレギュラー獲得や、フルシーズン出場はかなわなかった。規定打席に到達していないことはもちろん、1年目は100試合の出場にも届いていない。
とはいえ、2年目として大山はまずまずの成績を残しているのだ。チーム事情が異なるとはいえ、日本を代表する大卒選手たちと比べても出場試合数が多く、期待の高さがよく分かる。
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確固たるレギュラー獲得、飛躍の年となるか?
名選手たちの1年目、2年目と比べても、大山の成績は見劣りしない。今シーズン、パ・リーグの本塁打王に輝いた山川穂高(富士大→2013年西武2位)は、2年目まで一軍出場はわずか15試合、本塁打は2本だった。
日本最強打者と言っても過言ではない柳田悠岐(広島経済大→2010年ソフトバンク2位)も開花手前だった。
大山は2年目となった今シーズン、試合数や打撃成績を飛躍的に向上させ、終盤には三塁のレギュラーに定着した。今シーズンまではレギュラーを獲りにいく立場だったが、来シーズンは追われる立場となる。
即戦力として期待されていた大卒選手たちも、開花までには時間を要する。大山も柳田や秋山ら大卒で活躍する先輩たちに続いて、覚醒できるだろうか。チーム内での地位を盤石なものとし、さらなる飛躍を遂げる来シーズンに期待がかかる。
※数字は2018年シーズン終了時点