「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【ドラフト2018】法大中山、明大渡辺はどんな選手? 昨年入団選手と成績を比較

2018 11/2 11:00勝田聡
バッター,ⒸShutterstock.com
このエントリーをはてなブックマークに追加

中山翔太はスラッガータイプとして期待

10月25日に行われたドラフト会議。事前公表や報道の通り、根尾昂(大阪桐蔭高→中日1位)、藤原恭大(大阪桐蔭高→ロッテ1位)、小園海斗(報徳学園高→広島1位)、太田椋(天理高→オリックス1位)ら将来性豊かな野手が1位で指名された。

一方、大学生野手に目を向けると、全国的な知名度のある東京六大学からは中山翔太(法政大→ヤクルト2位)、渡辺佳明(明治大→楽天6位)の2名が指名を受けた。

中山翔太(法政大→ヤクルト2位)は、大学4年間で11本塁打を放ったスラッガータイプの大砲候補だ。座右の銘が「筋肉は一日にしてならず」となっており、趣味は筋トレ。そのパワーの源となる筋肉は凄まじい。交渉権を獲得したヤクルトは山田哲人、ウラディミール・バレンティンに続く長距離砲が不在なだけに、パワーをアピールし一軍定着を狙いたい。

そしてもうひとりが、横浜高を長きにわたって率いていた渡辺元智監督の孫にあたる渡辺佳明(明治大→楽天6位)だ。在学中は偉大な祖父の名前が先行していたが、大学日本代表にも選出されており、今秋のリーグ戦では打率.420で、首位打者に輝いている。6位指名ではあったが、1年目からレギュラー争いも期待できる選手だ。

ここまで彼らの成績を紹介してきたが、それがどの程度のものかを測るために、1年前に同じ東京六大学からプロ入りをはたした岩見雅紀(慶応大→楽天2位)、熊谷敬宥(立教大→阪神3位)の成績と比較してみる。

東京六大学・通算成績

ⒸSPAIA

中山と同じくパワーが売りだった岩見は、東京六大学において歴代3位となる21本塁打を記録した生粋の長距離打者だ。豪快な1発に目を引かれてしまうが、通算打率.292は中山の.306と近い。

俊足堅守が売りの熊谷は、打率こそ.220と物足りないが、盗塁数は22とさすがの数字を残している。岩見、熊谷の成績と比べることで、中山、渡辺がどのような選手かイメージしやすくなるはずだ。

岩見は一軍の壁に苦しみノーヒット

プロ入り1年目成績

ⒸSPAIA

スラッガー候補として入団した岩見は今シーズン、一軍で12試合に出場したが、快音を響かせることができなかった。本塁打だけでなく、安打すら放つことができず「一軍の壁」に跳ね返された。二軍ではスラッガーの宿命なのか三振が多い。しかし、打率.284、14本塁打と全体的な数字は決して悪くない。来シーズンは確実性を上げ、一軍での実績が欲しい。

一方の熊谷は足でみせた。二軍で打率1割台だったが、盗塁ランキング4位に入る23盗塁を決めている。一軍でも19試合に出場し、初安打、初盗塁を記録した。大学時代同様にプロでも打撃面で苦しんでいるが、すでに初安打を記録したことは心強い。また、プロでのサンプル数は少ないが、大学、二軍、一軍と打率は大きく変わらない。どのレベルでも対応できるタイプとみることもできる。来シーズンからはその対応のレベルを上げ、打撃面での向上を図りたいところだ。

東京六大学で本塁打を量産した岩見が一軍では大きく苦労している。中山はその壁を乗り越え、長距離砲として開花するのか、それとも打撃スタイルを変えて臨むのか注目したい。また、渡辺は最後のリーグ戦で首位打者を獲得した勢いをプロでも持続したい。

もちろん、大学時代の成績がプロでの結果に直結するわけではない。しかし、ひとつの目安にはなるだろう。中山、渡辺は1学年先輩の岩見、熊谷が苦しんだ「一軍の壁」を乗り越えることができるだろうか。ふたりの動向に注目したい。

※数字は2018年シーズン終了時点