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中日から両リーグ最多7名が規定打席に到達。レギュラー固定は吉か凶か

2018 11/2 07:00青木スラッガー
バッター,ⒸShutterstock.com
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レギュラーの証「規定打席」到達が両リーグ最多だった中日

シーズン443打席。レギュラーの証ともいえる「規定打席」に届いた人数が、今シーズン最も多かったチームは中日だ。レギュラー固定を貫いた戦いは、来シーズンに吉と出るか、凶と出るか。

借金15の5位で、Bクラスは6年連続に伸びた中日。1年を通じて厳しい戦いが続いたが、野手陣には明るい兆しがあった。チーム打率.265は優勝した広島をも上回ってリーグ2位。本塁打はリーグ5位の97本にとどまったものの、決して貧打のチームではなかった。

高橋周平、福田永将が初の規定打席へ到達

来日3年目の一塁手・ビシエドは打率.348で首位打者を獲得し、26本塁打、99打点でチーム三冠王。二塁手は高橋周平が7年目で初めて規定打席到達。11本塁打、69打点と強打の二塁手へ近づいた。

三塁手でも福田永将が初めて規定打席へ届き、13本塁打、63打点を残した。遊撃手は昨年新人王の京田陽太だ。打撃は昨シーズンより苦しんだが、今シーズンも定位置を守り抜き、遊撃手として両リーグトップの守備率.991をマークしている。

外野は中堅手・大島洋平、右翼手・平田良介と不動の2人に、スイッチヒッターのアルモンテが新加入。左翼手として打率.321、15本塁打、77打点と抜群の成績を残し、ゲレーロの抜けた穴を見事に埋めた。

大島は打率.274とやや物足りなかったものの、57打点はキャリアハイだった。大躍進の1年となったのは平田だ。自身最高の打率.329を残し、一時は首位打者争いに参戦。売りは長打なのか打率なのか、どっちつかずとも取れた今までの打撃から吹っ切れたかのように、アベレージヒッターとして新たな才能を発揮している。

チーム全体の本塁打こそ多くはなかったが、平田、ビシエド、アルモンテと打率3割2分以上が3人。あとは大島の復調と、高橋、福田のもう一伸びさえあれば、リーグで一、二を争う強力な打線となる。

前回の規定打席到達7人は2008年 レギュラー固定の功罪は……

規定打席に到達したのは以上の7人。捕手以外の野手全員がシーズンを通して活躍した、両リーグで唯一の例となった。さらに、守備率など守備成績の対象となる「規定試合」(野手=95試合、捕手=72試合)は、野手7名に加えて捕手の松井雅人も到達。全ポジション規定試合到達も今シーズンは両リーグで中日だけだった。

ただし、規定打席・試合の到達人数が多いことは、チームにとって諸刃の剣でもある。レギュラーを固定することで安定した働きが期待でき、ひとりひとりが経験を蓄積させていくことができるというメリットは大きい。しかし、同時に不動のレギュラーが故障や不振で出られなくなったときのリスクも負うことになる。

そのレギュラー固定による負の側面がもろに出てしまったのが、ここ数年の中日といえるだろう。落合博満監督時代、チームは黄金期を迎えていた一方で、レギュラー陣の高齢化と、その後継者が育っていないことは度々指摘されていた。

中日の規定打席到達7人は2008年が最後。以降の規定打席到達人数は2011年に一旦3人まで減った後、2012年に6人となったが、ここから年々少なくなっていき、昨シーズンは退団したゲレーロを含めて3名。落合時代のベテランレギュラーが優秀だったあまり、世代交代のタイミングを逃したという印象はぬぐえなかった。

来シーズンこそ『燃えよドラゴンズ!』を

そこから、ようやく野手陣が固まってきた。ビシエド、アルモンテは残留濃厚との報道が出ている。彼ら強力助っ人を含めた7人で、再び強竜打線を築いていけるだろうか。

打線といえば、落合監督時代は「一番荒木が塁に出て 二番井端がヒットエンドラン」でお馴染みの『燃えよドラゴンズ!』は2014年バージョンが最後となっている。

この球団歌は成績が良かったシーズンにそのときのメンバーで新バージョンが出る傾向にある。リーグ優勝を果たせば、必ず新バージョンが発表される。7人がスタメンのパートに入った新作を聴いてみたいところだ。