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残りわずかとなったPL戦士 現役OBは福留、前田健太ら5名を残すのみ

2018 10/31 07:00青木スラッガー
前田健太,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

PL学園出身、東洋大・中川圭太がドラフト指名

今年のドラフト会議もさまざまなドラマが生まれた。話題のひとつが、久々に聞く名門校出身選手の指名だ。オリックス7位指名の東洋大・中川圭太。PL学園高校の出身である。

中川の指名が話題を呼んだのは、彼がPL学園最後のプロ選手となってしまうかもしれないからだ。かつては常時20人ほどのOBを球界に送り込み、総勢81人ものプロ選手を生んだ高校野球球界の雄も現在は休部中。プロ野球界で活躍するOBもすっかり少なくなってしまった。

今シーズンは、歴代OBの中でもトップクラスの功績を残した松井稼頭央が引退。ドラフト会議終了時点では、現役のPL学園OBは残り6名だったが、10月30日に緒方凌介が戦力外通告を受け引退の意向を示している。

最年長41歳の福留孝介は頼れる主軸

OBたちの最近の活躍をみると、置かれた立場はさまざまだ。

現役OB最年長である阪神・福留孝介は、さすがの活躍ぶりだ。メジャー帰り後は故障の影響もあり暫く苦しんだが、阪神3年目に20本塁打を放ち完全復活。そこから今シーズンまで4年連続でOPS.800以上をマークし、41歳を迎えてもなお頼れる主軸として君臨している。国内の現役OBで最も充実しているのがこの福留となるだろう。

ロッテから楽天にFA移籍し、3年目の今江年晶も今シーズンは奮闘した。移籍後の2シーズンは故障がちでフルには働けなかったが、今シーズンは127試合で打率.276・10本塁打をマークし、4年ぶりの2桁本塁打も達成。ロッテ不動の三塁手だったころの姿に戻りつつある。17年目のシーズンを終えて、通算安打は1661本。PL学園8人目の名球会入りもみえてきている。

広島の小窪哲也は近年出場機会が少なくなってきた。だが、代打での勝負強さはチームでもピカイチで、今シーズンは17試合の出場ながら打率.308をマーク。広島は右打ちの三塁手が小窪の他にコレといった選手がおらず、また来シーズンからは新井貴浩が引退して右の代打枠もひとつ空く。まだまだ一軍主力に返り咲ける余地はあり、ここらでもう一花咲かせたいところだ。

戦力外から這い上がった吉川大幾

20代では阪神・緒方凌介と巨人・吉川大幾の2人のみとなっていたが、それも1人になる可能性が高い。

緒方は生き残りへの正念場だった6年目の今シーズン、オープン戦でソフトバンク・サファテからバックスクリーンへ豪快な一発を放つなど猛アピールをみせたが、2シーズン続けて一軍昇格なしに終わった。ただ、阪神の中堅手は現在レギュラーがおらず、ウィークポイントとなっていた。俊足強肩を活かした守備を武器に、来シーズンの一軍定着に可能性もあるかに思われたが、10月30日に戦力外通告を受け、今シーズン限りでの引退の意向を示している。

吉川は中日の戦力外から這い上がり、巨人で内野のユーティリティプレーヤーとして一軍で存在感を発揮している。今シーズンは中日時代から通じて自身最多の97試合に出場。代走・守備固めを中心になんでもこなす貴重な役割を果たし、特に走塁面では失敗0で自身最高の7盗塁を記録し、新たな武器もみせ始めている。

PL4人目のメジャーリーガーとして奮闘する前田健太

国内の現役OBは以上の5名。もうひとり、海外で活躍しているのが、福留、松井稼、桑田真澄に続いてPL学園4人目のメジャーリーガーとなったドジャース・前田健太だ。

元広島エースのメジャー挑戦も今シーズンで3年目となった。チーム事情でレギュラーシーズン終盤まで先発ローテーションをまわり、終盤戦からポストシーズンにかけて、セットアッパーという難しい役割を2シーズン続けてこなしている。デビューから3年で37勝はもっと評価されるべきだろう。

人数が少なくなった中でも、やはり存在感のある選手が残っている印象だ。今、東洋大の中川は「最後のPL戦士」としてしきりに取り上げられている。しかし、本当に球界からPLの血が消えてしまうのはあまりにも寂しい。いつかくるかもしれないPL学園復活の日まで、中川を含め、PL戦士たちにはまだまだ現役でがんばっていてもらいたいところだ。