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西武が12球団唯一の単独指名 例年と戦略変えた球団も ドラフト会議パ・リーグ編

2018 10/26 16:00勝田聡
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西武は即戦力投手松本を一本釣り

10年ぶりのリーグ優勝を果たした西武は、即戦力投手・松本航(日体大)の一本釣りに成功した。他11球団が人気高校生を指名するなかで唯一の単独指名。2位では、大谷翔平(エンゼルス)を彷彿とさせる長身右腕の渡辺勇太朗(浦和学院高)を指名し、上位で即戦力と素材型の大器をバランスよく獲得したといえる。松坂大輔(現・中日)や涌井秀章(現・ロッテ)、現エースの菊池雄星など、高校生投手の育成には定評があるだけに、渡辺がどのような成長を遂げるか注目したい。

ドラフト会議,2018年,広島カープ,結果

ⒸSPAIA

中位、下位では高校生、大学生、社会人とバランスよく指名。3位の山野辺翔(三菱自動車岡崎)は、浅村栄斗がFA宣言した場合の二塁手候補にもなりそうだ。西武にとってお馴染みの富士大からは、佐藤龍世を7位で指名している。

ソフトバンクは即戦力投手を5人指名

近年は高校生を多く指名してきたソフトバンクだが、今年は本指名の7人中、高校生は2人だけと戦略に変化が見られる。

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1位は公表通り小園海斗(報徳学園高)に入札するも抽選を外し、再入札でも辰己涼介(立命館大)を抽選の末獲得できなかったため、再々入札で即戦力投手の甲斐野央(東洋大)を指名。今シーズンは守護神のデニス・サファテとセットアッパーの岩嵜翔の離脱で苦しんだだけに、その部分を補強した形だ。

その他にも2位、4位、6位・7位で大学生や社会人投手を指名しており、投手陣の立て直しに力を入れている。また、3位では高齢化してきている内野陣のテコ入れとして、スラッガー候補の野村大樹(早稲田実)を指名。三塁を守る松田宣浩の後継者として育てたいところだ。

日本ハムは甲子園を沸かせたスターを獲得

日本ハムは根尾昂(大阪桐蔭高)の抽選を外した直後の再入札で、「カナノウフィーバー」を巻き起こした吉田輝星(金足農高)を指名した。ハズレ1位ではあるが、人気投手の一本釣りに成功。その後も野村佑希(花咲徳栄高)、万波中正(横浜高)、柿木蓮(大阪桐蔭高)と甲子園で活躍した選手を次々に指名し、会場を沸かせた。

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3位で即戦力候補の生田目翼(日本通運)を指名したが、高校生主体のドラフトとなっており、来シーズンというよりその先を見据えた指名となった。甲子園のスターだったダルビッシュ有(現・カブス)や中田翔、大谷翔平(現・エンゼルス)を一流選手へと育てた実績がある日本ハム。そういった球団から指名されることは、選手にとっても心強いだろう。

昨年指名された清宮幸太郎含め、ドラフトで指名された高卒選手たちがどのような成長を見せるか楽しみだ。

オリックス1位は太田打撃投手との親子鷹

小園を抽選で外したオリックスが再入札したのは、同じ高校生遊撃手で太田打撃投手の息子である太田椋(天理高)だった。今後は同じチームで優勝を目指すことになる。

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2位には打撃に定評のある捕手・頓宮裕真(亜細亜大)を指名した。チームは若月健矢を育成中なだけに、どのように起用していくか注目される。早い段階でのコンバートもありそうだ。7位で指名した中川圭太(東洋大)は現在休部中のPL学園高出身。ドラフトで名前を呼ばれた最後のPL戦士となるかもしれない。

ロッテは今年も1位で高校生野手

ロッテは、3球団競合となった藤原恭大(大阪桐蔭高)をみごと引き当てた。2015年の平沢大河、2017年の安田尚憲、そして藤原とここ4年で3名の高校生野手を指名したことになる。

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一方、2位、3位には大学生の即戦力投手を指名し、来シーズンへの備えも抜かりはない。6位で千葉県出身の古谷拓郎(習志野高)、7位で井口資仁監督と同じ国学院久我山高出身の松田進(ホンダ)と縁のある指名も行っている。

目玉となる高校生野手の獲得を続けているだけに、その育成に注目したい。甲子園を沸かせた選手たちが幕張で躍動する姿に期待がかかる。

楽天1位は大学ナンバー1外野手の辰己

藤原の抽選を外した楽天が再入札したのは辰己涼介(立命館大)だった。再び重複となったが、石井一久GMは当たりくじを引きガッツポーズ。大学生ナンバー1外野手として評価されており、来シーズンの外野レギュラー争いは激しさを増すだろう。楽天は今シーズン、田中和基がブレイクしただけに辰己もそれに続けるか注目だ。

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2位で指名した捕手の太田光(大阪商大)は、嶋基宏の後釜として育てたいところ。6位指名で横浜高を長らく率いていた渡辺元智監督の孫にあたる渡辺佳明(明治大)は、日本代表にも選ばれており、今秋のリーグ戦でも打率.420と首位打者をほぼ確実なものとしている。プロでも大学通算打率.314の実力を見せたいところだ。