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日米通算成績で振り返る松井稼頭央の功績 歴代2位535二塁打と5位2705安打

2018 10/29 11:55青木スラッガー
>松井稼頭央,ⒸSPAIA
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史上最高のスイッチヒッターの「日米通算成績」

スター選手の引退が相次いだ今シーズン。野手陣で一番の大物といえるのが西武・松井稼頭央だ。ひとつの区切りを迎えたところで、改めて史上最高のスイッチヒッターの「日米通算成績」に注目する。

松井稼の大きな功績のひとつが、日本人内野手にメジャー挑戦の道を切り開いたことだ。MLBでのプレーは7シーズン。630試合分もの成績が積み重なった。NPB成績と合算し(日米通算)、NPB通算記録ランキングに組み込んでみると、いくつかの部門がかなりの位置にランクインする。

日米通算はあくまで「参考記録」の扱いだ。公式には数字が残らず、ファンの間でもイチローの安打記録を除けば、あまり話題にならない。

だが、息の長さこそが松井稼の選手としてのすごさではないだろうか。メジャーで怪我を負って帰ってくる選手も多い中、日本球界復帰後、30代後半まで遊撃手として活躍。その功績を日米通算成績から振り返ってみたい。

盗塁数は歴代7位 成功率ではイチローとともに突出

盗塁

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まずは、松井稼が「スピードスター」と呼ばれるゆえんでもある盗塁から見ていく。日米通算盗塁数は歴代7位の465個を記録。

内訳はNPB17年で363個、MLB7年で102個。日米通算では荒木雅博(378個)、NPBだけでも本多雄一(342個)と、同じく今年引退した韋駄天たちを上回っているのはさすがの一言。さらに注目すべきは成功率の高さだ。

通算盗塁成功率.826は、45連続盗塁成功のア・リーグ記録を持つイチロー(成功率.825)をも、今シーズン終了時点では上回る。400盗塁以上では、広瀬叔功(成功率.829)に次ぐ歴代2位。広瀬は1977年引退と、まだ投手のクイックが確立していない時代の選手のため、近代プロ野球で松井稼はイチローと並んで突出したランナーであったといえる。

MLBでは7シーズンで成功率.850(102盗塁18盗塁刺)と、さらに優秀な数字を残した。日本球界復帰後も8シーズンで成功率.851(57盗塁10盗塁刺)を記録。年齢的に身体能力の衰えを避けられない中、洗練された盗塁技術でキャリア終盤まで成績を伸ばしていった。

二塁打は歴代2位 三塁打とともに10位以内は貴重な存在

安打・得点

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次に、打撃部門に目を移すと、松井稼が通算成績上位にランクインしているのは、安打・二塁打・三塁打・得点の4部門だ。

日米通算2705安打は歴代5位と、4位王貞治の2786安打に迫る数字を残した。渡米前は2度の最多安打を獲得し、7年連続で打率3割、170安打以上をマークするなど抜群の安定感でヒットを量産。西武在籍10年で1433安打をマークした。

MLB時代は常にレギュラーではなかったこともあり、安打数のペースは落ちてしまったが、日本球界復帰後は楽天1年目からシーズン100安打以上を5年連続で達成。メジャー帰り後も長く活躍したからこそ、これだけの上位に入ることができた。また、安打で出塁後もその快足を飛ばしホームへ数多く生還しており、得点においても日米通算で歴代8位となる1395得点を記録した。

二塁打・三塁打

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日米通算記録で、最も高順位にランクインしているのが二塁打数。「ミスターツーベース」と名高いPL学園の先輩・立浪和義をも抑えて、歴代2位となる535二塁打を稼いだ。

さらに、三塁打でも歴代7位となる85三塁打を記録。二塁打・三塁打ともに歴代10位以内に入っているのはイチロー、福本豊、松井稼の3名のみ。ライナー性の打球で外野手の間を破る好打と、球界トップクラスの俊足を兼ね備えていたからこその記録といえる。

二遊間のプレーヤーとして際立つ成績

出場試合数

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出場試合数

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最後にどれだけの試合に出場したのかを見ていく。出場試合数が歴代11位、打席数は7位で、打数は4位に入った。ここでも歴代上位に食い込んでおり、数多くの試合に出場し、打席に立った選手のひとりであったことがわかる。ここで上記の表を改めて確認すると、松井稼と他の選手との違いに気が付く。

松井稼の上にも下にも、二遊間のプレーヤーは立浪和義しかいない。その立浪も30歳を過ぎたあたりからは三塁手がメインポジションだった。これは前述の盗塁を除いた他のランキングについても同様だ。

松井稼は楽天4年目となる39歳まで遊撃を守った。どちらかというと守備力重視の選手が多く、また寿命も短い二遊間というポジションで活躍し、その中で歴代上位の打撃成績を残した。スイッチヒッターとして、そして遊撃手として、松井稼が球史に残るプレーヤーであることは誰もが知るところだ。日米通算成績を確認することで、改めてその功績の偉大さがわかった。

稀代の名遊撃手として年代問わず多くのファンに愛された松井稼頭央。名実ともに、歴代最高の遊撃手であることは間違いないだろう。はたしてこれだけの成績を残す遊撃手は今後出てくるのだろうか。