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楽天・内田は山田哲人、鈴木誠也クラス?「本塁打率」でみる未来の主砲候補

2018 10/25 07:00青木スラッガー
ⒸShutterstock.com
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大谷のメジャー挑戦で話題になった「本塁打率」

今シーズン、打者として順調すぎるメジャーデビューを飾ったエンゼルスの大谷翔平は、ある指標が「すごい」と度々メディアで話題となった。本塁打を1本打つのにどれだけの打数を必要としたかを表す「本塁打率」のことだ。

114試合・326打数で22本塁打をマークした大谷の本塁打率は「14.82」。これはメジャーリーガーの本塁打数トップ層と同レベルで、500打数で30本、600打数で40本に到達するペースとなる。将来的には「日本人初の本塁打王」も夢ではない--。それほどまでの希望を、大谷はこの指標を通して日本の野球ファンに与えてくれた。

ならば、日本球界にも大谷のように、打席数は少ないが、本塁打ペースは主砲クラスという若手ホープはいないのか。今シーズンの打者成績を本塁打率から振り返ってみたい。

各チーム主砲たちの本塁打率は……

まずは、どれくらいの本塁打率をマークすれば長距離砲として活躍する可能性があるのか、改めて確認しておく。

2018年本塁打ランキング,ⒸSPAIA

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今シーズン両リーグ最多47本塁打の西武・山川穂高が本塁打率「11.51」、セ・リーグ本塁打王のDeNA・ソトは本塁打率「10.15」。30本塁打以上で最も本塁打率が低いのは西武・浅村栄斗の「17.66」だった。

本塁打率をフル出場の目安となる500打数に換算すると、「10.00」=50本、「15.00」=33本、「20.00」=25本、「25.00」=20本、「30.00」=17本(小数点以下は四捨五入)となる。本塁打率20台なら長距離砲としての素質はあり、10台までいくと打数次第で30本塁打超えの可能性も出てくる。

楽天・内田、ソフトバンク・福田が主砲クラスの本塁打率をマーク

それでは今シーズン本塁打率が高かった打者を見ていきたい。まだ大砲としてブレイクしていない打者をピックアップすることが目的なので、本記事では「100打席以上」「20本塁打以下」を対象に、またNPB以外の海外プロリーグを含めシーズン20本塁打以上をマークした実績のある打者は除いて本塁打率ランキングを作成した。

2018年条件付き本塁打率ランキング,ⒸSPAIA

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この条件でトップの数字を残したのは、楽天の5年目・内田靖人だ。本塁打率「14.75」は前述の今シーズン30本塁打以上をマークした選手の中で、30本塁打の広島・鈴木誠也(14.07)、34本塁打のヤクルト・山田哲人(15.41)の間の位置に入る。

内田は昨シーズンまで通算2本塁打だったが、今シーズンは12本塁打を放った。初の2桁本塁打達成と、本数としても飛躍があった中で、500打数換算なら30本塁打を超えるこの本塁打率は注目に値するだろう。9月はスタメンに定着して月間6本塁打といい形でシーズンを終えており、来シーズンは年間を通してスタメンを勝ち取れるか期待がかかる。

もうひとり、本塁打率10台を記録したのは少し意外な選手。ソフトバンクのスーパーサブ、福田秀平が本塁打率「16.86」と、32本塁打を放った松田宣浩とほぼ同じ数字だった。今シーズンは128打席でキャリアハイの7本塁打。

選手層の厚いソフトバンクでは途中出場がメインとなり、代走・守備固めのスペシャリストというイメージが強い福田だが、一度レギュラーとしての活躍も見てみたいものだ。

清宮をはじめ、将来有望な大砲候補が多い日本ハム

内田のほかに、若手野手として注目すべきは日本ハム勢だろう。「おにぎりくん」こと横尾俊建、ゴールデンルーキー清宮幸太郎、2013年ドラ1の渡邉諒が500打数換算で20本以上となる本塁打率をマークした。

また日本ハムはランキングの条件に当てはまらなかった選手でも、捕手の清水優心が「28.57」(7本)、外野手の淺間大基が「29.33」(3本)とまずまずの本塁打率だった。いずれも現状は低打率がネックだが、一発の魅力のある若手野手が非常に多いという印象だ。

特に清宮はファームでは別格の成績を残した。182打席160打数でイースタン2位タイの17本塁打。本塁打率「9.41」となり、500打数換算で53本塁打というペースだ。ファームの成績とはいえ、やはり並みのルーキーではない。

そのほかに若手で期待の打撃をみせたのはDeNAの2年目・佐野恵太。5本塁打で500打数換算20本となる本塁打率「25.20」を残し、大器の片りんをのぞかせている。

今シーズン、西武の主砲として大ブレイクした山川は、半分ほどの出場試合数だった昨シーズンも本塁打率「10.52」という抜群の数字を残していた。そこで生まれていた「フル出場なら本塁打王クラス」というファンの期待を見事実現させた形となる。

今回取り上げた本塁打率が優秀な大砲候補たちもこれからレギュラーを勝ち取り、アーチを量産していけるだろうか。来シーズンは山川に続くような躍進を期待したい。