両リーグトップ132盗塁を記録した西武
パ・リーグクライマックスシリーズ(CS)はソフトバンクが日本ハムとのファーストステージを勝ち上がり、西武とのファイナルステージに進んだ。シーズン最終盤まで首位を争った2チームによる頂上決戦。打力を売りとする両チームの対戦となり、打ち合いの展開も予想されるが、西武の「足攻」と、それをソフトバンクがどれだけ防げるかというのも見どころのひとつとなるだろう。
主砲の山川穂高や浅村栄斗を中心とする重量打線でパ・リーグを制した今シーズンの西武だが、機動力も両リーグ最多792得点をたたき出す大きな武器となった。
チーム盗塁132個は両リーグトップで、成功率73パーセントも上位の成績。源田壮亮(34盗塁)、金子侑司(32盗塁)が30盗塁以上を達成し、9月の丸々一か月を離脱した外崎修汰も25盗塁。不動のリードオフマン秋山翔吾も15盗塁と4人が2桁の盗塁を成功させている。
西武の足攻を待ち受ける「甲斐キャノン」
西武の足攻を待ち受けるのは、“甲斐キャノン”の通り名がすっかりお馴染みとなった強肩捕手の甲斐拓也だ。正捕手の立場を確立し、オールスターにも初選出された今シーズンは両リーグで唯一の4割超えとなる盗塁阻止率.447をたたき出した。
シーズンでは44盗塁(3盗塁刺)と圧倒的な成功率で盗塁王を獲得した日本ハム・西川遥輝を2回刺し、CSファーストステージでもその強肩が光った。第3戦で初回に盗塁を試みた西川を刺し、日本ハムの出鼻をくじく。また第2戦でも初回、西川が中途半端に飛び出したところを一塁に矢のような送球で仕留め、盗塁王に仕事をさせなかった。
西武もシーズン中は甲斐の強肩に手こずった。西武の対戦相手別チーム盗塁数は対ソフトバンクが唯一20個を割り13個。源田ら2桁盗塁の4人もソフトバンク戦では源田2盗塁(3盗塁刺)、金子侑3盗塁(2盗塁刺)、外崎3盗塁(1盗塁刺)、秋山1盗塁(2盗塁刺)にとどまった。
さらに甲斐が捕手のときは源田1盗塁(3盗塁刺)、金子侑2盗塁(2盗塁刺)、外崎2盗塁(1盗塁刺)、秋山1盗塁(1盗塁刺)で、西武の俊足ランナーたちの天敵となっている。
甲斐が西武を圧倒「4連続盗塁阻止」の離れ業も
シーズン最終盤には甲斐が西武の俊足ランナーたちを圧倒し、“甲斐キャノン”の威力を野球ファンにとどろかせたシーンもあった。
実質的に最後の天王山となった9月半ばの首位攻防3連戦。17日の3戦目で2回に金子侑がヒットで出塁すると、続く秋山の打席で盗塁を試みるがこれを阻止。この回は四球で出塁した秋山の盗塁も刺し、さらに3回に源田、6回に再び金子侑も封殺。1試合で4連続盗塁阻止という離れ業をやってのけた。
西武は大勝してカードは3連勝。ここでリーグ優勝は決定的となったが、以降の対戦でも甲斐相手に源田ら4人の盗塁企図はゼロ。盗塁に関しては苦手意識を残してシーズンを終えることとなった。
ソフトバンクはシーズン終わりからCSファーストステージにかけて投手力が安定している。西武の最強打線も公式戦から遠ざかっている状況では、エンジンがかかるのに多少の時間を必要とするかもしれない。
その中では機動力が大きな武器となるが、辻発彦監督は天敵の甲斐相手に盗塁を仕掛けていくだろうか。その時、甲斐は再び西武の俊足ランナーたちをシャットアウトできるか。
パ・リーグ頂上決戦は、塁上の攻防に注目だ。