ベテラン左腕が引退
12日、巨人の杉内俊哉が現役引退を発表した。杉内は2001年にドラフト3位でダイエー(現・ソフトバンク)に入団。入団2年目から10勝を挙げる活躍を見せ、2005年には18勝4敗、防御率2.11の成績を残し、最多勝、沢村賞のタイトルに輝くなど活躍を続けた。通算勝利数は現役投手では2位となる142。奪三振に至っては2位の涌井秀章の1589を大きく突き放す2156を記録した。
まさに球界最高レベルの左腕と言っていい杉内だが、2015年に右股関節の手術を受け、2017年には左肩痛を発症するなど近年は故障に苦しんだ。2016年から2018年まで一軍登板はなく、最後は自ら現役を退くことを決めた。
球史に名を残す投手たちにも引けを取らない通算成績
怪我による引退が惜しまれる杉内だが、彼が残した通算成績は現役投手と比較した場合はもちろん、歴代の投手と比較した場合にも傑出している。
例えば通算勝率。杉内は142勝77敗で勝率.648を記録している。これは歴代4位となる数字だ。1位から3位までは右腕であるため、左腕に限るとなんと歴代1位となる。杉内は球史に名を刻む左腕といえる。
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ちなみに歴代勝率として認められるのは、通算投球回が2000回に達した投手のみである。ダイエー・ソフトバンク時代に杉内と並び称された和田毅は1654回2/3で基準に達しておらず、ランキングには入らなかったが、勝率.656と杉内よりも上位にランクインする成績を残している。和田もこの2年故障に苦しんでいるが、この勝率のペースで今後も活躍出来れば、通算勝率で杉内と争うことになる。二人の名前がトップ10にランクインすれば、昔からのホークスファンにとっては嬉しいだろう。
さらに、通算勝率の記録に加えて、杉内は奪三振の記録も注目すべきものがある。通算奪三振数は2156で歴代通算14位だが、2091回1/3を投げているため、奪三振率は9.28。1イニング一つ以上の三振を奪っている。通算奪三振歴代トップ10のなかにイニング以上の三振を奪った投手はおらず、トップ100にまで幅を広げても野茂英雄(1051回1/3、1204奪三振)しかいない。こちらも球史に残る記録と言っていい。
200勝には届かなかったが、このように他の記録面で爪痕を残した杉内。引退後については未定との報道だが、コーチに就任するのであれば、杉内に追いつき、追いこすような後任を育成することに期待したい。
※数字は2018年9月24日終了時点