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イースタン三冠王も狙える巨人・和田恋 一軍再昇格を勝ち取れるか

2018 9/18 14:30勝田聡
バッター,ⒸShutterstock.com
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一軍は厳しい戦況も、二軍は優勝目前の巨人

9月に入りプロ野球も終盤戦に突入し、セ・リーグでは広島が優勝まで秒読み態勢となっているが、2位以下は大混戦だ。とくに3位の巨人から最下位の阪神まではわずか1.5ゲーム差。どのチームにもクライマックスシリーズ(以下、CS)出場のチャンスがある。

昨シーズンCS出場を逃した巨人は今シーズンも厳しい戦いが続いている。3位をキープしているものの、決して安泰ではない。4位以下の3チームとは1.5ゲーム差しかなく、また、阪神は雨天中止が多く巨人よりも10試合消化が遅い。終盤の逆転劇もありえそうな雰囲気である。

崖っぷちに立たされている巨人だが、ふと二軍に目を移すと優勝が目前に迫っている。イースタンリーグにおいて69勝39敗3分と圧倒的な強さを誇り、2位のヤクルトに9.5ゲーム差をつけているのだ。9月18日現在でマジックは「1」となっており、優勝まで秒読み態勢なのである。

そのチームを引っ張っているのが、高卒5年目の和田恋だ。

圧倒的強さの二軍を引っ張る高卒5年目の和田恋

2013年ドラフト2位で指名された和田は昨シーズンまでに一軍の出場は「0」。今シーズンも開幕は二軍スタートとなかなか結果を残せずにいた。しかも1年後輩にあたる岡本和真(2014年1位)が、前半戦から大ブレイクを果たしたことで焦りもあっただろう。

二軍では例年以上に打ちまくり、6月半ばまでの成績は打率.351、11本、51打点と結果を残していた。清宮幸太郎(日本ハム)や村上宗隆(ヤクルト)といった大物ルーキーたちとともに、打撃3部門のランキングでいずれも上位につけていたのである。

その活躍が認められ、6月15日に晴れて一軍昇格。同日にプロ初打席も経験。初スタメンとなった6月23日のヤクルト戦では初安打も記録し、大きな一歩を踏み出したのである。しかしそれ以降、快音は響かず再び二軍で汗を流している。

二軍降格以降、若干打率を落としたものの、これまでに打率.304(リーグ3位)、18本塁打(同1位)、86打点(同1位)は誇れる数字だろう。リーグ首位打者の巨人・松原聖弥の.314も射程圏内に捉えており、イースタンリーグで三冠王を狙えるほどの成績を残している。

過去にイースタンリーグの三冠王は2人しかしない。1977年の庄司智久(巨人)、2000年・2001年のコーリー・ポール(西武)である。二軍とはいえ、打撃三部門でタイトルを獲得するのは並大抵のことではない。和田も今シーズン、三冠王という勲章を手に入れ、来シーズンのレギュラー奪取に繋げたいところだ。

内外野守れる和田、今季の再昇格はあるか

和田は外野手登録だが、今シーズンは外野(76試合)と一塁(56試合)双方で出場している。過去には内野の全ポジションを守った経験があり、起用法がひとつでないのも強みだ。

巨人の一軍を見ると、外野は重信慎之介が頭角を現しつつあるが、陽岱鋼、アレックス・ゲレーロ、亀井善行、長野久義と若手は不在だ。また、一塁は岡本和真、三塁はケーシー・マギーと長打力のある選手がいるものの、マギーの去就は不透明。仮に一塁・岡本、三塁・和田という起用ができれば魅力ある打線になる。

このように内外野どちらでも和田がスタメンを奪うことができれば、巨人の若返りはさらに加速する。昨年を振り返ってみると、シーズン終盤に吉川尚輝が一軍に昇格。最終戦で猛打賞を放ち大きくアピールした。現在は故障で離脱しているが、開幕から二塁を任されてきた。そこに辿りついたのは、昨シーズン終盤に結果を残したことが決して無関係ではないはずだ。

和田も二軍で結果を残しているだけに、今シーズン中の再昇格を果たし、来シーズンへ繋がる活躍をしたいところだ。

※数字は2018年9月17日終了時点