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パ・リーグ盗塁王争いが過熱 西川・源田・中村の三つ巴同級生バトルに

2018 9/9 11:00青木スラッガー
野球ヘルメット,ⒸShutterstock.com
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パ・リーグ盗塁王レースは西川、源田、中村の三つ巴に

パ・リーグの盗塁王争いが過熱している。9月8日終了時点で、西武・源田壮亮が33盗塁、日本ハム・西川遥輝とロッテ・中村奨吾が32盗塁と熾烈な争いを繰り広げている。

昨シーズンの盗塁王レースを制したのは西川だ。ルーキーの源田と終盤戦にデッドヒートを繰り広げ、最終的に39盗塁で源田を2個上回り、僅差で自身2度目のタイトルを手に入れた。

今シーズンも両者は序盤から競うように盗塁を量産。昨シーズンのパ・リーグ30盗塁以上は西川と源田のみで、他に盗塁王候補がいるとすれば、ロッテ・荻野貴司や西武・金子侑司くらいというのが開幕前の大方の予想だっただろう。

ところが、ふたを開けてみれば、昨シーズン11盗塁の中村という思わぬ対抗馬が出現。今シーズンロッテ不動の3番・二塁手に定着し、オールスターにも初出場した中村の躍進で、盗塁王レースは三つ巴の展開を迎えている。

西川の成功率は圧倒的だが、試合日程では中村が有利か

盗塁王,西川遥輝,源田壮亮,中村奨吾,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

パ・リーグ盗塁王を争う3人の今シーズン成績は上の通り。盗塁企図数も見ると、西川が抜群の成功率を誇っていることがわかる。

西川は6月に史上75人目となる通算200盗塁を達成した。現在通算214盗塁。通算の成功率は.866で、これは通算200盗塁以上の選手で歴代トップとなる。初めて盗塁王を獲った2014年は43盗塁11盗塁死(成功率.796)。2度目の昨シーズンは39盗塁5盗塁死(成功率.886)と、盗塁の「質」を年々高めてきている。

2000年以降、9割以上の成功率で盗塁王を獲ったのは2002年オリックスの谷佳知(41盗塁4盗塁死・成功率.911)、2016年ヤクルトの山田哲人(30盗塁2盗塁死・成功率.938)のみ。2016年山田が盗塁王として歴代最高の成功率となる。西川にはこの記録更新にも期待したいところだ。

西川には負けるが、源田の成功率もかなり優秀だ。しかし盗塁王獲得に向けては、ひとつ懸念事項が生じている。開幕から不動の2番打者を務めていた源田だが、8月後半から1番を任された後、9月4日の日本ハム戦で今シーズン初となる9番の打順に入った。同日、西武は5番や6番を打っていた外崎修汰が故障で登録抹消。その影響もあって打順が変動している。今後も源田の9番出場が増えるようなら、盗塁王争いは少し不利になってしまうだろう。

3人の中で成功率は最も低いが、一番有利なのは残り試合数の多い中村かもしれない。現時点の予定では、10月の試合数はロッテが一番多い(ロッテ5試合、日本ハム3試合、西武4試合)。すでに順位が確定している可能性も高く、チーム状況によっては、失敗を気にせずガンガン走りまくれる展開が最終盤に待っているかもしれない。

盗塁王争いの3人は同級生。スピードスターが多い92年世代

3人のプロ年数はそれぞれ違うが、今シーズン26歳になる1992年生まれ(源田は1993年2月)の同級生である。智弁和歌山高出身の西川は甲子園で活躍し、高卒で直接日本ハムへ。天理高で甲子園に出た中村は、早稲田大を経てドラ1でロッテ入りした。大分商で甲子園出場とならなかった源田は、愛知学院大からトヨタ自動車を経て昨シーズンに西武入りしている。

不思議とこの世代の選手にはスピードスターが多い。3度目のトリプルスリーとセ・リーグ盗塁王をほぼ「当確」としている山田も1992年生まれ。24盗塁で西川らに次いでパ・リーグ4位タイの外崎、まだレギュラーではないが球界トップクラスの快足で知られる広島・野間峻祥も同じ世代だ。

同級生の間柄では、互いにライバル心も強いはず。今年、源田と中村は圧倒的な盗塁成功率を誇る西川に競り勝つことができるだろうか。三つ巴のパ・リーグ盗塁王レースから目が離せない。

※成績は2018年9月8日終了時点