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丸・藤原獲りを「阻止」せよ!大混戦の阪神中堅手レギュラー争い

2018 9/2 13:00青木スラッガー
バッター,ⒸShutterstock.com
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梅野・糸原・北条のレギュラー定着で固まりつつある「内野の要」

セ・リーグ2位以下の団子状態を抜け出せずにいる阪神だが、内野手陣は要の「二・遊」固定が進み、将来的な常勝軍団化へ明るい兆しも見えてきた。

一方、正捕手には昨シーズン112試合出場の梅野隆太郎が定着した。「梅ちゃんバズーカ」と呼ばれる強肩はリーグトップの盗塁阻止率.322を記録。打撃も打率.247、8本塁打、OPS.712と、8番打者として優秀な成績を残している。

二塁手は鳥谷敬コンバートで開幕したものの、中盤戦から開幕遊撃手の糸原健斗がポジションを奪取。ルーキーの昨年から、それなりの守備を見せていた糸原だが、今シーズンは打撃が飛躍。打率.283に出塁率.390をマーク、現在は切り込み隊長に定着している。

後半戦からは、2016年レギュラー格だった北條史也が遊撃手スタメンに戻ってきた。6月からの出場で、53試合、打率.328。「大谷・藤浪世代」の高校ナンバーワン遊撃手が、いよいよ打撃覚醒を予感させている。糸原との1・2番コンビは今のところしっかり機能しているといえるだろう。

センターライン確立へ……最後のピースは「中堅手」

3人には内野の要として、守備にはもっとレベルアップを期待したい。だが、一定の打力があるという点で、20代半ば(梅野27歳、糸原26歳、北條24歳)とまだ若いため、1度レギュラーを掴めば長くチームの中心になれる可能性がある。

金本知憲監督体制となって3年目。就任1年目の指揮官は、開幕前のスローガンに「超変革」を掲げた。その象徴となったのが、積極的な若手起用だ。ルーキーの高山俊や5年間の育成から這い上がった原口文仁を抜擢するなど、実績が少ない若手にどんどんチャンスを与え、チームに新しい風を吹き込み改革を図ろうとした。

内野の要が固まりつつある今シーズン、野手陣の世代交代は着実に前進している。「超変革」実現へ、最後のピースとなるのはセンターラインの最後方「中堅手」だ。

守備の良いセンターラインを確立することの重要性は、広島の現状からもよくわかる。絶対的な正捕手に石原慶幸がいたところ、菊池涼介、田中広輔の二遊間、中堅手に丸佳浩と打てて守れる盤石のセンターラインを築いたことで強くなった。外野が広い甲子園をホームにする阪神としては、守備の良い中堅手が必要だ。

中堅手はレギュラー候補乱立。誰にでもチャンスがある

阪神の外野陣は左翼手・福留孝介、右翼手・糸井嘉男の両翼が打線の中心としてもチームをけん引する。今のところ、その間を守る中堅手に、これといったレギュラーがいない。候補となる主な外野手は以下のメンバーだ。

■髙山俊
41試合 打率.183 1本塁打 14打点 OPS.464

■江越大賀
22試合 打率.167 1本塁打 1打点 OPS.472

■伊藤隼太
69試合 打率.267 1本塁打 12打点 OPS.759

■中谷将大
59試合 打率.239 3本塁打 18打点 OPS.646

■俊介
71試合 打率.217 2本塁打 14打点 OPS.530

■ナバーロ
38試合 打率.270 2本塁打 14打点 OPS.695

開幕スタメンを勝ち取ったのは2016年新人王の髙山だ。しばらくは1番打者に起用されたが、打率1割台と不振で現在は二軍調整。髙山がレギュラーを外れてからは、他の選手が代わる代わる中堅手に入る状況が続いている。最も守備で信頼できるのはベテランの俊介だが、最近は前半戦に代打で結果を残した伊藤隼のスタメンも増えてきた。

大成したときの期待値がもっとも高く、首脳陣がスタメンに固定したいのは中谷だろう。昨シーズン20本塁打とブレイクした右の大砲。捕手出身でスローイングが良く、守備範囲も広い方で名手になれるポテンシャルを秘めている。しかし打撃でアピールできず8月27日で登録抹消となり、一軍の中堅手レギュラー獲得レースから外れてしまった。

丸・藤原獲りの可能性も……若手外野手たちが正念場

あと一ケ月少しとなった今シーズン。たくさんの選手にチャンスがある状況は、いつまで続くのだろう。セ・リーグナンバーワン中堅手といえる広島の丸がFA権を取得。「タナキクマル」のようなセンターラインを築くため、「マル」をそのまま持ってこようと球団が動くことも十分考えられる。

高校生ドラフト候補には、大阪桐蔭・藤原恭大という俊足強肩強打の注目中堅手もいる。、オフの大補強へフロントを走らせないためにも、中堅手候補たちにとっては非常に重要な期間だ。中堅手レギュラーを勝ち取れるのか、それともレギュラー不在で終わり、丸や藤原獲りへ動くことになるのか。「残る外野の一枠」であり「センターライン最後のピース」でもある中堅手をめぐり、若手外野手たちのポジション争いが正念場を迎える。

※成績は9月1日終了時点