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出塁率トップの丸、セ界一王超えなるか 柳田は3人目の4連覇挑む

2018 7/31 11:43勝田聡
広島東洋カープ,丸佳浩,ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

昨シーズンは柳田悠岐と田中広輔が受賞

現在のプロ野球において打撃タイトルといえば、首位打者、最多本塁打、最多打点を思い浮かべる人が多いだろう。この3タイトルは、同一年度に獲得することで三冠王と呼ばれることもあり、知名度は抜群だ。

しかし、NPBで定められている打撃タイトルは他にもある。最多安打、最多盗塁そして最高出塁率だ。最多盗塁、最多安打は報道も多いが、なぜか最高出塁率だけは影が薄い。ちなみに昨シーズンにおいては、セ・リーグは広島の田中広輔(.398)、パ・リーグはソフトバンクの柳田悠岐(.426)が同タイトルを獲得している。柳田は3年連続3度目の受賞だった。

公式では落合、非公式では王が最高記録を樹立

両リーグともに現行の規定となった1985年以降を見ると、シーズン最高記録は落合博満(ロッテ)が1986年に記録した.487となっている。自身3度目の三冠王を獲得した年だ。101四球(うち敬遠19個)と強打者だけに勝負を避けられることも多く、この記録に結びついたと言える。

現行の制度となる前には王貞治(巨人)が1974年に.532(※現行の計算式に当てはめた場合)を記録しており、非公式ではあるが歴代最高となっている。この年の王も落合同様に三冠王を獲得した年であり、158四球(うち45敬遠)はともに現在もプロ野球記録だ。

落合、王の記録を見てもわかるとおり、四球をどれだけ選ぶことができるのかが、このタイトル獲得の鍵となる。

丸は歴代最高記録達成なるか

今シーズンの両リーグにおける出塁率ランキングを見ると、セ・リーグは.492で丸佳浩(広島)、パ・リーグは.458で近藤健介(日本ハム)がトップを走っている。四球数は丸が75個でリーグトップ、近藤が57個でリーグ2位とともにリーグ上位だ。丸に至っては10試合以上の故障離脱がありながらもトップとなっており、その凄さがよくわかる。また落合の保持している1985年以降の最高記録である.487を上回るペースで出塁を続けており、その更新にも期待がかかる。

ちなみに3年連続で最高出塁率を獲得している柳田は.4145でリーグ3位。四球数は34個とトップ10に入っていない。昨シーズンはリーグトップの89四球を選んでいただけに、今シーズンはモデルチェンジを図り、安打で出塁率を稼いでいる格好だ。過去に4年連続で同タイトルを獲得したのは落合(1985年〜1988年※1987年からは中日に所属)、トーマス・オマリー(阪神/1992年〜1995年※1995年はヤクルトに所属)のふたりのみ。史上3人目の快挙達成に挑む。

打撃三部門(本塁打、打率、打点)と比べると影が薄い出塁率。しかし、今シーズンは現行制度における歴代最高記録を塗り替える可能性がある。歴史的瞬間を見届けるためにも、出塁率に注目していきたい。

※数字は2018年7月29日終了時点