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坂本不在に苦しむ巨人 吉川尚輝にかかる期待

2018 7/25 11:23勝田聡
吉川尚輝,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

坂本の故障で遊撃には吉川尚

前半戦を2位で折り返した巨人は、後半戦開幕カードとなった阪神戦で3連勝を飾る好スタートを切った。しかし、続く広島戦でまさかの3連敗。首位・広島との差は「8」となり、優勝へ向け苦しい状況となっている。その巨人だが、連勝中に大きなアクシデントがあった。攻守の要である坂本勇人が肉離れにより戦線離脱してしまったのだ。坂本が離脱した7月17日以降は遊撃に吉川尚輝、二塁に田中俊太と中井大介を起用しているが、戦力ダウンは否めない。

吉川尚にとっては大きなチャンスとなる。2016年ドラフト1位で中京学院大から巨人に入団した吉川尚だが、昨年は春季キャンプ前にコンディション不良のため三軍スタートに。一軍争いに加わることなく、開幕を二軍で迎えることになった。5月に一軍昇格を果たすも結果を残すことはできず、二軍へ逆戻りすることになる。その後、シーズン最終盤に一軍で初安打を含む猛打賞を記録し、今シーズンへの期待値が高くなっていた。

今シーズンは「2番・二塁手」で開幕スタメンを掴み、現在85試合で打率.237、3本塁打、23打点を記録。打撃面では首位打者争いを繰り広げている坂本には遠く及ばないものの、広い守備範囲を武器に守備面でチームに貢献している。 そして坂本の故障で二塁から遊撃に守備位置を変え、チームの危機を救う役割を担うことになった。プロとアマでは違いがあるとはいえ、大学時代の守備位置は遊撃手だったということを踏まえれば戸惑いも少ないだろう。坂本不在のチームを盛り立てていきたいところだ。

坂本・山田哲はチャンスを掴み日本を代表する選手へ

主軸選手の故障で若手が抜擢されることは決して稀なことではない。今回故障した巨人の坂本も同様、デビュー2年目に「8番・二塁」で開幕スタメンを果たし、二岡智宏が故障した翌日からは守備位置が遊撃へと変わった。このチャンスで結果を残した坂本は、今や巨人だけではなく日本を代表する遊撃手へと成長したのだ。

他のチームでも同じような例はある。今シーズン3度目のトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁以上)へ向け、驀進中のヤクルトの山田哲人がそうだ。2013年に当時のレギュラー二塁手だった田中浩康(現・DeNA)が不振に陥った際、抜擢されたのが当時21歳の山田だった。その後、結果を残した山田はレギュラーに定着し、翌シーズンからめざましい活躍を見せるようになったのだ。

チームにとって主力選手の故障はかなりの痛手となるのだが、出番を伺っている若手選手からすればチャンス到来とも言える。監督をはじめとした首脳陣に実力をアピールすることで、ポジションを奪い獲ることも不可能ではないからだ。

吉川尚が坂本や山田哲のように結果を残すことができれば、坂本を三塁などその他のポジションへコンバートすることもありえるだろう。結果としてそれがチームの世代交代にも繋がるのである。

これまで「若手が育たない」といった声も多かった巨人。しかし、今シーズンは岡本和真が結果を残し阿部慎之助からレギュラーを奪うことで、その声をはねのけた。吉川尚も岡本やかつての坂本のように確固たるレギュラーの地位をものにできるだろうか。そのためにも後半戦で結果を残したい。

※数字は2018年7月24日終了時点