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その人気に迫る!ロッテのスーパーレディースデーに男ひとりで行ってきた!【後編】

2018 7/7 13:00勝田聡
ロッテ,スーパーレディースデー,Ⓒ勝田聡
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イベント限定スイーツは完売多数!

6月23日にZOZOマリンスタジアムで行われたロッテ対西武の一戦。この試合でロッテは「スーパーレディースデー」を開催した。あいにくの雨ではあったが、多くのファンが訪れたこの企画。男性ではあるが筆者がひとりで潜入してきた。その様子と千葉ロッテマリーンズ広報室に人気の秘密を伺った。今回はその後編となる。

この日は試合開始前から雨が降っている。そのためだろう。スタンドよりも屋根のあるコンコースに多くのファンは集まっていた。そこにはさまざまな飲食店が立ち並んでいるが、この日はやはりイベント限定のニューを多くの人が求めていた。チラシにも完売と書かれていることから、その人気の高さがわかるだろう。

スーパーレディースデー

Ⓒ勝田聡


これはイベントレポートだ。筆者ももちろんピンクのユニフォーム姿の女性ファンに混じって食してきた。購入したのは「タイガのLOVEパフェ」だ。マリーンズのヘルメット型容器に雪見だいふく、ホイップクリーム、フローズンストロベリーがトッピングされている。球場スイーツを久々に食べ、平沢から愛をもらったところで来場しているファンの声も聞いてみた。

まずはじめに筆者と同じく「タイガのLOVEパフェ」を食べている女性に声をかけてみる。

──球場にはよく来られるんですか?
女性ファン:月に3回くらいは来てますね。仕事場が海浜幕張なので残業がなければ18時半には球場ついています。

──ふだんから球場でスイーツを食べてますか?
女性ファン:ふだんはあまり、というかほぼ食べないですね。どちらかというと、お酒を飲んでることが多いんです。仕事帰りなのでスイーツと言うよりはやっぱりお酒ですよね。今日はデーゲームと言うことと、応援している平沢君のオススメだからかなぁ(笑)

なるほど。スイーツが売れているのはデーゲームということも影響しているのかもしれない。ナイターでお酒を飲みながらというよりは、デーゲームでソフトドリンクと一緒にといった感じなのだろう。また、応援している選手のオススメやプロデュースはやはり人気となるようだ。

ピンクリボン活動も実施

試合開始直前に女子プロ野球・埼玉アストライアの川端友紀と加藤優による始球式が行われ、いよいよ球場のボルテージは上がってくる。あいにくの雨でカッパを着るファンが多く、スタンドがピンクに映えないのは残念だ。それでも、マリーンズファン特有の応援コールはスタジアム全体に響いている。

雨が降るグラウンドでのなかで、ひときわ目を引いたのがピンク色のベースだ。この日はピンクリボン活動(乳がん撲滅と早期検診などを推進する活動)も同時に実施されていたのである。メジャーリーグでは母の日に行われている、この活動をロッテはスーパーレディースデーにあわせて実施したのだ。試合前には井口資仁監督、鳥越裕介ヘッドコーチが募金活動も行っている。


【井口監督・鳥越ヘッドがピンクリボンの募金活動を】

さて、試合はマイク・ボルシンガーが西武に3点を先制される嫌な立ち上がり。しかし、3回裏にこの日一軍に昇格した井上晴哉のグランドスラムで4-3と逆転に成功する。その後、激しい雨の影響で5回表が終了した時点でコールドゲームが成立。4-3でマリーンズが勝利している。多くの女性ファンへ勝利を届けることができた。試合終了後のイベントは中止になってしまったものの、勝利の瞬間を目にしたことでファンの気持ちは晴れたのではないだろうか。

その帰りがけにも女性ファンの声を拾ってみた。

──雨でしたがイベントは楽しめましたか?
女性ファン:楽しめましたよ。かわいいユニフォームをもらえたし、試合も勝ったし、よかったです。雨で中止になったらやりきれないですもん、2時間以上かけてきたので(笑)

──そんなに遠くからいらっしゃってるんですか?
(女性ファン)千葉出身なんですが、就職して今は横浜に住んでるんです。千葉に住んでいた大学生のときから福浦選手を応援していて、ファン歴は10年くらいですね。

──毎年、レディースデーに来られてるんですか?
女性ファン:3回目だと思います。2時間かかるのでナイターはむつかしいですし、イベントや特典配布のある土日祝日のデーゲーム狙いなんです。

──もしかして、そのTシャツは?
女性ファン:よく気づきましたね(笑)。そう、レディースデーでもらったTシャツですよ。試合の日はこれを着てくるんです。横浜周辺ではやっぱり見かけませんね(笑)

勝利したからなのか、お酒が入っているからかはわからないが、饒舌に答えてくれた。マリーンズ広報室のコメントにあった「根付いている」というのはこういうことなのだろう。インタビューした女性ファンは千葉ではなく横浜在住だったが、街で過去のTシャツを着用しているのだ。

ファンの高い関心を誇る人気企画は他にもある

スーパーレディースデーは途中コールドになるような天候にもかかわらず、25,107人ものファンが来場した。現時点で詳細な男女比は発表されていないが、女性比率は高い印象だ。

こういったイベントの集客や企画に関して千葉ロッテマリーンズ広報室に改めて取材を行った。

──観客の男女比はどのくらいなのでしょうか。
広報室:ふだんは男性70%、女性30%と男性のお客様がかなり多くなっています。しかし、過去のスーパーレディースデーでは最高で47%も女性のお客様が来場されました。今シーズンはそれを超える50%に目標を設定しています。

──マリーンズはスーパーレディースデーに限らずイベントや企画を多くやられている印象です。最近では「謎の魚」でムーブメントを起こしていると思うのですが、ボツ案もかなりあったのではないでしょうか。
(広報室)謎の魚にいたるまでのボツ案は30から40はあったのではないでしょうか。

──40個も企画があったんですね。重要視したのはどのようなところだったのでしょうか。
広報室:広報内のアドバイスで「ファンが自由に想像できるように」というものがありました。そのために、なんのキャラクターかわからないような形になったのです。また、キャラクターを構成する要素を外見、動き、性格、接触、能力の5つの要素と仮定し、 それぞれにインパクトのある尖った要素を盛り込む事を意識しました。

──たしかに「謎の魚」は尖ってますね。ちなみに、ボツになった案にはどのようなものがあったのでしょうか。
広報室:実は、たい焼きからあんこが飛び出るという案が最後まで残ってました。

──「謎の魚」がもしかしたら「あんこが飛び出したたい焼き」と言う可能性もあったんですね。
広報室:そうなりますね(笑)

──実際、「謎の魚」はインパクトもありますし、その他のマスコットとも棲み分けができますね。
広報室:お客様へのホスピタリティ部分ではマーくん、リーンちゃん、ズーちゃんが担ってくれているので「そうじゃないキャラクター」をテーマに作ったのです。

──棲み分けができているとは言うものの、かなり尖っているのでファンの反応に不安はありませんでしたか。
広報室:デビュー直前まで、本当にこれで大丈夫なのか、非常に心配ではありました。しかし、 球場に初登場した際の「悲鳴(笑)」を受けて、 インパクトのあるキャラクターが誕生したんだと実感できましたね。 このような反応は過去に聞いたことありません(笑)。今では、「きもちわるい」は誉め言葉に感じています。

「謎の魚」が「あんこが飛び出したたい焼き」となっていたかもしれないというのは驚きだ。マリーンズは今回取り上げたスーパーレディースデーや謎の魚の他にも、広報カメラ、ウォータースタジアムなど様々な企画を行っている。もちろん裏側には当然たくさんのボツ案もある。

その「産みの苦しみ」を経て人気イベント(企画)に成長させてきたと言えるだろう。これからも、マリーンズの企画に注目していきたい。