源田・金子・外崎を中心に「機動力」も武器とする西武
圧倒的な破壊力が話題の西武打線だが、西武野手陣の武器は強打だけではない。もうひとつのストロングポイント「機動力」も、首位キープを支えている大きな要因である。
6月10日終了時点で、西武は両リーグトップとなるチーム盗塁数69を記録。塁に出れば足でかき回し、強打と機動力の相乗効果で12球団トップの得点を生み出している。
特によく走っているのが源田壮亮、金子侑司、外崎修汰の俊足3人衆だ。それぞれ19(源田)、18(金子)、13(外崎)と二桁盗塁を決め、合計50盗塁。チーム盗塁数の大半を3人で占める形となっている。
西武俊足3人衆は「スーパーカートリオ」に匹敵!?
「盗塁しまくる3人組」といえば、往年のプロ野球ファンには、かつて快足でその名をとどろかせた大洋ホエールズ(現DeNA)の「スーパーカートリオ」が思い出されるのではないだろうか。
スーパーカートリオとは、1980年代の大洋で活躍した高木豊氏、加藤博一氏、屋鋪要氏の俊足打者3人組のこと。全員が大洋に揃ったのは1983年からで、近藤貞雄監督が彼らを上位に並べる打線を組んだ1985年にこのトリオ名が定着した。
その年、3人は合計で148盗塁を記録。前年盗塁王の1番・高木氏が42盗塁、2番・加藤氏が48盗塁、屋鋪氏は3番ながらトリオ最多の58盗塁を決め、プロ野球史上類を見ない走りまくる上位打線が結成された。
同一チーム内でシーズン40盗塁以上を3選手が同時に達成したのは、プロ野球の歴史の中でこのときの大洋のみ。高木氏らを超える機動力ユニットは未だ球界に出現していない。
しかし、今年の西武俊足3人衆はこの記録を脅かす存在になってきた。ここまでの試合で、スーパーカートリオに匹敵する勢いで盗塁を量産している。
スーパーカートリオ以来「トリオで40盗塁超え」が狙えるペース
源田・金子・外崎は、ともに不動のレギュラーとしてスタメンに名を連ねている選手。残り全試合に出場を果たすと仮定して、それぞれ1試合あたりの盗塁ペースをシーズン成績に換算すると、以下のような数字になる。
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2017年37盗塁で盗塁王まであと2つに迫った源田、2016年53盗塁で盗塁王を獲得した金子はともにシーズン40盗塁後半のペースでここまで盗塁を重ねている。2017年に自身最多となる23盗塁を記録した外崎も、これから次第で40盗塁超えを狙えそうだ。
3人合計の盗塁ペースでは、シーズン換算で130近くとなる。大洋で高木氏らが活躍した当時はシーズン130試合制だったため、単純な比較はできないものの、スーパーカートリオが残した148盗塁超えも不可能な数値ではない。
新スピードトリオの愛称は?
スーパーカートリオというネーミングには、1970年代から1980年代にかけてのスーパーカーブームが定着の背景にあったが、西武俊足3人衆にも何かオリジナルの愛称がほしいところだ。
西武球団は、毎回ユニークなキャッチフレーズが好評となっている「選手日程ポスター」の5月度で俊足3人衆をピックアップした。ポスターで3人は「超高速トリオ」と命名され、「唯我独走」「青の三連星。(ブルースリー)」というキャッチフレーズも登場している。
しかし今年の西武野手陣といえば、野性味あふれるラインナップから「山賊打線」のニックネームがすっかり定着している。そこで、塁を盗む彼らに「盗賊3人衆」「盗賊トリオ」「盗賊団」などというのは……少々過激すぎるだろうか?