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大谷には負けん!菅野・菊池らメジャー挑戦を狙うエースたち

2018 5/25 16:24青木スラッガー
菅野智之ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

菊池雄星も今オフメジャー挑戦?

1995年の野茂英雄氏から2016年ドジャースに移籍した前田健太まで、22年間続いた日本人選手のメジャーデビューは2017年にいったん途切れた。しかし、2018年は二刀流で躍進する大谷翔平だけでなく、平野佳寿、牧田和久と計3人が同時にメジャーデビュー。大谷らに続き、次に海を渡るのは誰になるだろうか。

今オフのメジャー挑戦が「既定路線」とも見られているのは、西武の絶対的エース・菊池雄星だ。花巻東高校時代から強いメジャー志向を持ち、ドラフト前にはメジャー8球団の関係者が面談に来日するなど、米球界からの注目度は後輩の大谷に負けないくらい高かった。

プロ入り後初めて2桁勝利をマークした2016年オフ、球団に改めてメジャー挑戦の意向を伝えた。決意新たに臨んだ2017年は自己最多の16勝を挙げる大躍進。2018年もしっかりとした成績を残せば、オフのポスティング移籍は確実といわれている。

高校3年時の2009年から、今オフ9年ぶりに予想される米球界の菊池争奪戦。序盤戦から彼の登板試合にはメジャー各球団の関係者が集まり、日本史上最速左腕を注視している。

「奪三振マシーン」則本の投球にメジャースカウト陣が熱視線

パ・リーグには、菊池と同じように登板試合のバックネット裏を騒がせる投手がもうひとりいる。メジャーのスカウト陣が投球を見守るのは、昨季メジャー記録に並ぶ「8試合連続2桁奪三振」を達成した楽天・則本昂大。
今季でプロ6年目を迎える本人の口から直接はっきりしたメジャー志向が語られたことはないが、実は来オフにも海を渡る可能性がある。現在3年契約の2年目で、この複数年契約が終了する2019年オフに、ポスティング移籍について則本と球団で話し合うことになっているのだ。

プロ8年目のメジャーデビューは、現在ヤンキースで活躍する楽天の前エース田中将大と同じタイミングだ。前例がある以上、則本本人が希望すれば来オフのポスティング移籍は球団にすんなり受け入れられるのではないだろうか。

メジャー志向表明の菅野・千賀には「ポスティング容認の壁」が

他球団を見わたすと、所属球団の「ポスティング容認」がメジャー挑戦への高い壁になりそうな選手もいる。選手を入札にかけた前例がなく、ポスティング移籍を認めていないのは巨人とソフトバンク。巨人・菅野智之、ソフトバンク・千賀滉大という両球団のエース投手が、昨オフに初めて将来的なメジャー挑戦の意向を明らかにした。

菅野と千賀といえば、昨年のWBCで主戦投手として世界を相手に戦った2人だ。準決勝・アメリカ戦では菅野が先発して6回1失点、千賀はその後を受けて2イニングで4者連続を含む5奪三振。大リーグのスター軍団を圧倒する投球を披露した。メジャー志向の芽生えは、この経験が大きかったのだろう。

両エースはWBCの舞台で、メジャーリーガー相手に自分の投球が通用することを証明した。しかし前述のように所属球団の事情から、2人のメジャー挑戦は最短9シーズンかかる海外FA権取得を待ってという形になる可能性が高い。

海外FA権行使によるメジャー挑戦可能な時期は、最短で菅野が32歳の2022年、千賀が30歳の2023年。ポスティング移籍を容認してもらえない場合、メジャー行きの切符を掴むまでまだまだ長い時間を要する。

千賀に期待される「史上初の育成出身メジャーリーガー」

菅野と千賀のメジャー挑戦に関する報道を追ってみると、菅野は「絶対的な力をつけて文句なく行けるように」とイベントの場で将来的な希望を明かしただけだが、千賀は契約更改でポスティング移籍を直訴した。千賀には「早く行きたい」という、より強い意志が感じられる。

両者は、プロ入りまで対照的な経歴を歩んできた。菅野は東海大学4年時に日本ハムの1位指名を拒否し、1年間の浪人生活を経て巨人入り。実力だけでなく、指名拒否の経緯や原辰徳監督(当時)の甥であることも含めてアマチュア球界で大注目を集め、鳴り物入りでプロの世界に足を踏み入れた。

蒲郡高校から直接プロ入りした千賀は、高校時代まったくの無名選手だった。育成指名4位というドラフト順位がそれを物語る。育成契約から這い上がって、球界を代表する投手にまで登りつめたのだ。

そんな千賀のメジャー挑戦は、育成からスタートする選手たちに希望を与えるだろう。育成契約出身からメジャーデビューを果たした日本人選手はまだ誰もいない。千賀はこの壮大なシンデレラストーリーを実現させることができるだろうか。