日本ハムファン、男性ファンの反応も良好
まさにピンク一色となったタカガール♡デー。ホークスファンの女性にはもちろん大盛況だろう。それは2日間で5万5千人を超える女性ファンが来場していることからも明らかだ。来場したファンからも声を拾ってみたが、肯定的な意見ばかりだった。それはホームのホークスファンだけではない。ビジターとなる日本ハムファンの女性も同様だった。
Ⓒ勝田聡
スタンド全体が全体がピンクで埋まる
北海道まで遠征に行くという日本ハムファンの女性3人組は
「ユニフォームが可愛い。これをもらうためにビジター応援席じゃなく、三塁側の指定席を購入した」
横浜から2泊3日の遠征にやってきた社会人1年目の女性も
「どうせ遠征で来るなら、可愛いユニフォームをもらえる方がいい」
ユニフォームのかわいさに惹かれてビジター応援席ではなく、内野のチケットを購入した日本ハムファンも多くいたようだ。
球団としてビジターチームのファンからもこのような好意的な声が上がっていることは把握しているのだろうか。
──ホークスファン以外からも支持されていたのはご存じでしたか?
井上氏:ライトなファンでも来やすい球場(球団)ということもあり、うっすらとではありますが、聞いていました。
──ビジターのファンからも支持される、その秘訣はなにかあるのでしょうか。
井上氏:ホークスのファンでなかったとしても、球場のお客様には変わりありません。ホークスというよりは「ドームとしてのおもてなし」を考えており、ビジターファンの方にも喜んでもらえるような施策を行っています。野球だけじゃない演出を考えていますね。
また、男性ファンにも話を聞いた。
今年88歳になるという年間シート保持者の男性は
「わしはここ5年くらい毎日来とるけど、華やかでいいね〜」
とご満悦の様子。
球場内で声を聞く限り、ホークスファンの女性のみならず、男性ファン、そしてビジターチームである日本ハムファンまでが魅了されていることがよくわかる。これも、数年かけてイベントを育ててきた成果なのかもしれない。
新規よりリピーターが多いのは普段のサービスに由来?
球場内を歩いてみても「初めて野球観戦に来ました! 」といったファンを見かけることはなかった。もちろん、初観戦の方もいるだろう。しかし、圧倒的にリピーターの方が多いということは間違いない。
タカガール♡デーをきっかけとして初めて野球観戦に来た「新規」の女性より、「リピーター」として再び球場に訪れたファンが多いのではないだろうか。
──聞き取りをしたところリピーターのファンが多かったのですが、実数もやはりそうなのでしょうか?
井上氏:リピーターの方が多いですね。コアなファンが多いんです。もちろん、通常時に新規の方が足を運んでくれるような施策も行っています。
──その施策とはどのようなものなのでしょうか?
井上氏:福岡市に転入届を出すとチケットがもらえるような仕組みがあるのです。これは、市役所と連動して行っています。ただ、結局は新規でもリピーターでも球場に来てみて楽しいのかどうかなんです。あくまで、野球がベースにありますから、野球に興味がなければリピーターになってもらうのはむずかしいです。その上でおもてなしなどの最大限の工夫を行っています。今後も接点がない人へのアプローチは続けていきます。
行政と連携し通常時に足を運んでもらえる仕組みを作っている。そこで興味を持ってもらい、リピーターとなっていくのだろう。
今後、イベントはどのように進化していくのか?
女性向けイベントを行っているのはホークスだけではない。他の球団も名称こそ違うが、様々なイベントを行っている。そのなかで、ホークスとしてのどこが強みなのだろうか。また、これだけのイベントにするためには苦労もあったはずだ。そのあたりのことも伺ってみた。
──今でこそ大盛況のイベントですが、苦労した点もあるのではないでしょうか?
井上氏:「普段、野球に興味がないけど行ってみよう」という誘いを促す部分に苦労しました。野球に興味がある人はスポーツ新聞を読んだりするが、興味がなければ読まないのでスポーツ新聞に載せても届かないし、響かないんです。野球に興味がない人とそもそも接点がないですからね。
──また、他球団も同様に様々な女性向けイベントを行っていますが「ここは負けない」というポイントはあるのでしょうか。
井上氏:年度が終わったと同時に次のことを考えていますね。ホークスは同じことをしないんです。今年はカフェとタイアップをしてタカガールスイーツを提供したりもしました。その他にはユニフォームのデザインをして投票してもらう取り組みもしている。「他の球団よりも先に始めたファンサービス」という点が負けないポイントと言えるのではないでしょうか。
──来年以降も新しい企画があると考えていいのでしょうか?
井上氏:常になにか新しいことをしたいと思っています。ホークスのポリシーとして「前年と同じことはしない」というものがあるのでそうなるでしょう。再来年には、全館がエンターテインメントとなっているビルがヤフオクドームの横に立つんです。そうすれば、野球がわからなくても楽しめる場所を提供できるようになるのではないでしょうか。
井上氏の話を聞き、今回のタカガール♡デーや鷹の祭典といったイベントに限らず、通常の試合でも来場するファンを大切にしていることが改めてよくわかった。「また来たい!」と思ってもらえるように、ホームだけでなくビジターのファンへも「おもてなし」をしていることがこのような大盛況に繋がっているのだろう。
来年はどのような企画を考えているのだろうか。「前年と同じことをしない」という言葉だけで期待が大きく膨らんでいく。1年後を楽しみに待ちたい。