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立ち直ったG菅野智之 投球はどう変わった

2018 5/9 11:30勝田聡
巨人,菅野智之,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

2試合連続でのらしくない投球

昨シーズン17勝5敗、防御率1.59の成績を残し沢村賞を受賞した菅野智之(巨人)。今シーズンの開幕から2戦は調子が上がらず苦しんだものの、3戦目以降は昨シーズン同様に結果を残しはじめた。一体投球内容のどこが変わったのだろうか?

3月30日に行われた開幕戦でマウンドに立った菅野智之(巨人)。対する阪神の先発はランディ・メッセンジャー。両チームのエースが対峙することもあり、投手戦が予想されていた。
だが、菅野は2回に福留孝介、3回には大山悠輔に一発を浴びてしまい、さらには7回にウィリン・ロサリオの適時打を許し、7回5失点でマウンドを降りることになった。

球界を代表する投手とはいえ菅野も人間である以上、調子の悪いときもある。誰もが、そう思っていた。
「次の試合では立て直してくる」と。

ところが中6日で迎えたヤクルト戦の初回に2点を失うと、6回までに5失点(自責4)を喫してしまう。昨シーズンとは異なり、2試合連続で結果を残すことができなかった。テレビや現地観戦した多くのファンも肩を落としたことだろう。

しかし、3戦目から見違えるような投球を見せはじめる。開幕から2戦で13回を投げ10失点(自責9)だったが、3戦目から6戦目までにおいては34回を投げ3失点となり、6.23まで跳ね上がった防御率も2.30まで回復した。

フォークを増やし昨季の投球割合に近づく

2戦目までと、それ以降でなにが変わったのか。球種で紐解いてみる。
多くの報道でもあったとおり2戦目までは新球であるシンカーを使用していた。投球割合にして3%だ。そのシンカーを3戦目以降は封印し、フォークの割合を3%から7%へ増やした。
また、ストレート(30%から33%)、カットボール(4%から17%)へと増加。一方でスライターは30%から23%へと減少している。

2018年:1・2戦目球種別投球割合

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シンカーを封印しただけでなく、その他の球種の配分にも変化が加わった。この投球割合は昨シーズンの投球割合に近い。使用する球種が昨シーズンと同じになったため、組み立てを戻したのだろうか。
1試合で約100球を投じるとすると、シンカーの投球数は約3球だ。わずか3球の変化でこれほどまでに結果が変わってくるのである。

対左右で見てみると、左打者に対してはシンカーを封印しフォークが増え、右打者に対してはカットボールが大きく増加している。左右の打者に対しても攻め方を変化させているのだ。/

2018年:1・2戦目対左右打者・球種別投球割合

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菅野が昨シーズンまでの投球を取り戻したのはシンカーの封印だけではなく、その他の要因もあるはずだ。しかし、この配球の変化が大きな影響を与えたことは間違いない。
不調に陥ると年間を通じて調子を取り戻せない選手が多い中、開幕から3戦目で修正してくるのは「さすが」といったところだろう。

菅野が昨シーズン同様、もしくはそれ以上の結果を残すことができるのか、今後の投球スタイルにも注目していきたい。

※数字は2018年5月6日終了時点