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投打の軸が故障するも選手層の厚さでカバーし2連覇達成!広島東洋カープ

2017 11/17 15:13mono
ホームベース
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2017年の広島東洋カープ

【2017年シーズン成績】
順位:1位
勝敗:88勝51敗4分
勝率:.633
打率:.273(1位)
本塁打数:152本(1位)
得点数:736点(1位)
盗塁数:112盗塁(1位)
防御率:3.39(3位)

2016年に1991年以来25年ぶりとなるセ・リーグ優勝を飾った広島東洋カープ。2017年シーズンも変わらぬ強さを見せてくれた。2位の阪神タイガースに10ゲームの差をつけ2連覇を達成したことからも強さは際立っていたと言えるだろう。
ゲーム差だけを見ると盤石にみえるが、決してそんなことはなかった。開幕投手を務めたジョンソン選手は不調で離脱。『神ってる男』こと鈴木誠也選手はシーズン中盤に負傷し、投打の軸を欠いた状態で戦っていたのだ。

しかし、鈴木選手が離脱後、主に4番を務めることの多かった松山竜平選手が9月に月間MVPを獲得。シーズン途中から先発に抜擢された薮田和樹選手が15勝(3敗)をマークするなど、チーム全員で故障者の穴を埋め優勝を勝ち取ったといえるだろう。
2年連続の日本シリーズを目指して戦ったクライマックスシリーズ・ファイナルステージは、横浜DeNAベイスターズ相手に先勝したものの4連敗を喫し敗退してしまう。1979年、1980年以来37年ぶりとなる2年連続の日本シリーズ進出はならなかった。

ケガで離脱のジョンソン選手の穴を薮田和樹選手が埋めた!

投手陣を見てみると先発、中継ぎともに中心となるべき選手が離脱してしまった。まず、戦列を離れたのが開幕投手のジョンソン選手だ。
開幕戦で4回途中7失点(自責5)の乱調で敗戦投手になると、調子は上がらず4月5日に登録抹消。交流戦で復帰したものの7月後半に再度離脱してしまう。6勝3敗と3つの貯金を作ったものの、沢村賞投手としては物足りない1年となってしまった。
中継ぎ陣では抑えの中﨑翔太選手が右側腹部の違和感で4月上旬から1カ月以上にわたり離脱。開幕からおよそ10日間で守護神不在となってしまったのだ。
しかし、中﨑選手の穴を今村猛選手が埋め新守護神へ定着。中﨑選手が戦列復帰後も8月中旬までは抑えの座を守り抜いた。

明るい話題となったのは薮田選手だ。シーズン開幕から中継ぎ起用されていたが、交流戦から先発へ転向すると6連勝(中継ぎ登板時含め7連勝)を記録。その後も勝ち星を積み重ね15勝(3敗)をマークした。
2016年シーズンにパ・リーグ制覇を果たした北海道日本ハムファイターズの増井浩俊選手と同じく、先発転向によって成績が好転したパターンとなった。

【主な投手成績】
薮田和樹選手
38試合/15勝3敗3H/防御率2.58

野村祐輔選手
25試合/9勝5敗/防御率2.78

中﨑翔太選手
59試合/4勝1敗10S25H/防御率1.40

2年連続で『タナ・キク・マル』が引っ張った野手陣

2016年シーズン、チームを引っ張った『タナ・キク・マル』こと田中広輔選手、菊池涼介選手、丸佳浩選手が健在。鈴木誠也選手、エルドレッド選手、新井貴浩選手、松山竜平選手と中心選手も主軸として活躍した。
そのなかで、もっとも貢献度の高かったのは丸選手だろう。丸選手は全試合、中堅で先発出場を果たし打率.308、23本塁打、92打点を記録。本塁打、打点はキャリア最高の数字となった。
また、出塁率+長打率で求められる打撃指標であるOPSも.903で鈴木選手、筒香嘉智選手(DeNA)に続きリーグ3位。田中選手、菊池選手が出塁し丸選手が返すパターンでリーグトップの736得点をマークしたとも言えるだろう。

鈴木選手はシーズン序盤に新井選手から4番を実力で奪い打率.300をマーク。ケガで離脱したことでシーズンを通しての活躍はできなかったものの、チームの柱として貢献したことはまちがいない。
2017年シーズン、ブレイクした選手のひとりが安部友裕選手だ。シーズン序盤に三塁のレギュラーを確保すると、最後まで首位打者争いを繰り広げ打率.310をマーク。田中選手、菊池選手、丸選手とおなじ1989年生まれの逸材がまた現れた格好だ。

【主な野手成績】
丸佳浩選手
143試合/打率.308/23本塁打/92打点

鈴木誠也選手
115試合/打率.300/26本塁打/90打点

安部友裕選手
123試合/打率.310/4本塁打/49打点

2018年シーズンに向けて

2年連続、日本シリーズ進出はならなかったが、リーグ制覇を果たすことができた広島。主力選手の引退などはなく2018年シーズンも上位争いを繰り広げることが濃厚だ。その上で、次世代の戦力を整えていくことが常勝軍団を作る上で重要になってくる。
野手では西川龍馬選手・野間峻祥選手、投手では岡田明丈選手・薮田選手といった若いメンバーの更なる飛躍が必要となるだろう。
また、捕手は2016年ドラフト4位の坂倉将吾選手、2017年ドラフト1位の中村奨成選手と『打てる捕手』候補が揃ってきた。チーム内の競争で切磋琢磨し、會澤翼選手、石原慶幸選手らから一軍捕手の座を奪う活躍が求められる。

比較的若いチームだがチームの精神的支柱はやはり新井選手だ。成績はもちろん、盛り上げ役として、そしてまとめ役としてチームを引っ張っていくことに期待したい。
西川選手・岡田選手といった若手に『タナ・キク・マル』、鈴木選手といった中堅、そしてベテランの新井選手が上手くかみ合うことで球団史上初のセ・リーグ3連覇が近づくだろう。


《関連データ》チーム別 打撃リーダーズ


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