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プロ野球各チームのSNS活用比較!SNSに力を入れている球団は?

2017 11/10 12:24kero
ⒸShutterstock.com
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スポーツ観戦は今は「ながら視聴」が主流

インターネット、SNSが発達した現代は、テレビで観戦しながらネットを利用したり、携帯端末で情報を収集したりと「ながら視聴」をする人も多いのではなかろうか。SNSを利用し、試合の途中経過や選手・チームのプレー内容に関する情報をリアルタイムの動画を含め、配信している球団も少なくはない。テレビの前にいなくとも大きなタイムラグなく試合の動画を閲覧することもできる。

また、球団のSNSの積極的活用により試合のない時やシーズンオフ期間中も、選手の情報や交流イベントの告知、球団からの情報を頻繁に発信することにより、より細やかなファンサービスが行える結果となっている。

Facebook公式ページを覗いてみると、ファンと球団側のコミュニケーションの密度(発信の頻度)や球団のファンサービス、コミュニケーションの傾向がわかる。
ここでは「いいね!」の数や他各SNSのフォロワー数を球団ごとに比較してみた。(2017/9/29 SPAIA調べ)ファンクラブの会員数を比較するよりも、より広範囲なファン層の傾向や規模がつかめるのではないだろうか。
今回は、筆者の独断によって各球団のSNS分析をしてみた。

※YouTubeの公式アカウントを持っている球団もあるが、出そろってはいないので、フォロワー数比較をここでは割愛する。

SNSユーザーの年齢層と利用率

年齢別SNS利用率を見てみよう。

SNSの利用率及び実名利用率

(出典) 総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」SNSの利用率及び実名利用率(平成27年)

総務省による過去1年(平成27年度)のSNS利用率調査ではLINEが(37.5%) 、Facebook(35.3%)、Twitter(31.0%)となった。Instagramは調査時(平成27年度)今のようなブームではなかったが、現時点ではInstagramの利用率は大きく数字を伸ばしていることと推測される。それでも、日本ではLINEの利用率が最も高い。

SNSの利用率及び実名利用率

(出典) 総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」SNSの年代別利用率(カッコ内は実名利用率)

SNSの年齢別利用率を比較すると、20代が最多となり、年齢層が上がっていくにつれ減っていく傾向にある。
Facebookについてはやはり20代の利用率が最も高いが、30代、40代の利用率も低くない。
Twitterユーザーの年齢層は、20代以下の利用率が一番多くなり、30代以降ではユーザー数は縮小していく。Instagramに関しても、同じ傾向だ。
LINEにおいては、20代が圧倒的にその利用率を誇るが、30代、40代の利用率も比較的高い。

これらのことを踏まえて、球団別のフォロワー数を比較してみよう。

FB、Twitterに強い阪神、インスタ&LINEに強い日ハム

各SNS媒体のフォロワー数を多い順にランキング化してみた。(セ・パ)

【Facebookいいね!数比較】
1. 阪神タイガース     354,061人
2. 読売ジャイアンツ    304,474人
3. 日本ハムファイターズ  284,023人
4. 楽天イーグルス     181,015人
5. DeNA横浜ベイスターズ  158,047人

【Twitterフォロワー数比較】
1. 阪神タイガース      1,097,521人
2. 日本ハムファイターズ    734,198人
3. 福岡ソフトバンクホークス  718,363人
4. 中日ドラゴンズ       655,022人
5. 千葉ロッテマリーンズ    623,556人

【Instagramフォロワー数比較】
1. 日本ハムファイターズ    119,000人
2. 読売ジャイアンツ      91,400人
3. 阪神タイガース       82,200人
4. 福岡ソフトバンクホークス  75,800人
5. 楽天イーグルス       59,400人

【LINEともだち数比較】
1. 日本ハムファイターズ    209,425人
2. 福岡ソフトバンクホークス 174,511人
3. 楽天イーグルス       165,092人
4. 東京ヤクルトスワローズ   132,065人
5. DeNA横浜ベイスターズ    112,552人

全球団が全ての公式SNSアカウントを持っているわけではない。また、SNSを全てのファンが利用するわけではないので、人気やファン数を単純に比較するものではない。
広島東洋カープが公式アカウントを一切持っていないように、Instagramの公式アカウントがない球団、LINEの公式アカウントを持たない球団など、球団により方針はまちまちである。ここでは、公式アカウントを有する球団のみでの比較となる。

セ・リーグ比較 阪神がFB&Twitterフォロワー数最多

次に、セ・リーグの球団別に見ていく。

【阪神タイガース】
Facebook  354,061人
Twitter 1,097,521人
Instagram 82,200人
LINE なし

セ・リーグでのFacebookいいね!数、Twitterフォロワー数の最多は現時点では阪神タイガースだ。
投稿内容は試合速報、スタメン先発の告知、グッズ紹介やプレゼント、ファン感謝デーの告知など掲示板的な役割である。投稿頻度は高い。
また、ユーザーからのコメントには愛のあるつっこみが多いのも特徴だ。インスタグラムにアップされる写真は試合中の姿や練習風景、他にも球場の風景や背番号だけなど、気軽に撮れるような内容が多い。

【読売ジャイアンツ】
Facebook 304,474人
Twitter 191,130人
Instagram 91,400人
LINE 80,406人

Facebookのいいね!数が30万人を越えているが、Twitterのフォロワー数が比較的少ないのがファンの規模を考えると意外である。
Facebook、Twitter共に投稿の頻度は高く、写真、動画、など両SNSの投稿内容はほぼ同じとなっている。他二軍の試合速報なども一軍と同じラインでアップされる。幼稚園訪問などの活動報告もあり、その内容の幅は広い。
インスタグラムはそのまま野球カードになりそうな、正面を向いて笑顔でポーズをとっている写真が多く見られる。

【DeNA横浜ベイスターズ】
Facebook 158,047人
Twitter 14,741人 (DeNA Sports全般)
Instagram なし
LINE 112,552人

Facebookの内容としては試合告知や登板予定の選手の紹介が多く、内容はそれほどバラエティーに富んでいるとはいえない。試合途中の写真は少なく、速報的側面は弱い。
しかし、投稿記事の言葉は熱くドラマチックに盛り上げる言葉が多く、ファンもそれに呼応するようにチームと一喜一憂し、温かい応援のコメントが多い。

また、ベイスターズは球団専用の公式Twitterアカウントがない。その代わりにDeNAスポーツ全体としての公式Twitterアカウントが存在する。これは、野球チームだけでなく、DeNAはランニングクラブ、車いすバスケットボールチームなど企業が所有するスポーツチーム全般のツイートとなる。しかしベイスターズの試合速報は即時投稿される。
ベイスターズは公式Twitter、Instagramがない代わりにYouTubeに力を入れているようだ。(ここではフォロワー数比較の対象にいれていない)動画はまるで映画のように編集され、ドラマチックなものが多い。球団の姿や活動がここでも見ることができる。

【中日ドラゴンズ】
Facebook 140,292人
Twitter 655,022人
Instagram なし
LINE なし

中日ドラゴンズのTwitterのフォロワー数は比較的多い。読売ジャイアンツの19万人に比べれば65万人はかなりの数である。
Instagram、LINEのアカウントはなくFacebook、Twitterのみに絞ったSNSの活用だ。中日ドラゴンズのファンはTwitterを活発に利用していると言える。Facebook、Twitterの投稿内容はほぼ同じ内容となっており、速報的な活用はされていない。
試合放映のお知らせや、試合総括が終わった後の投稿が多い。グッズ販売や、地域の子供向けの野球教室の様子などの投稿も多い。

【東京ヤクルトスワローズ】
Facebook 76,527人
Twitter 463,194人
Instagram なし
LINE 132,065人 

東京ヤクルトスワローズは全体的に見るとLINEのともだち数が他のSNSに比べて多く、内容は試合結果などが写真とともに投稿されている。勝敗を問わずファンからのコメント投稿はスタンプを多用した明るい雰囲気で、世代を問わず愛されている様子が伝わってくる。
スワローズの人気マスコットキャラクター「つば九郎」スタンプがヤクルトファンの間ではよく使われている。

広島東洋カープは公式SNSアカウントがない

選手個人のSNSアカウントは個々に存在するが、広島東洋カープは公式のSNSアカウントを持たない唯一の球団である。公式HPにも応援メッセージや意見、要望には原則返信しないと書かれており、デジタルにおける間接的なファンとの双方向コミュニケーションを球団側は積極的には行っていない。
しかし地域交流イベントや地域貢献活動は活発に行われており、SNSによる交流がなくとも、地元ファンたちは選手や活動を身近に見る機会は多く、直接的なコミュニケーションが行われていると考えられる。

また、特筆すべきは広島東洋カープは球団商標の無償使用を許可しており、熱烈なファンであればロゴを自社製品に使用し、地域活性を含めた応援方法をとることもできる。
さらに、広島市はカープの地域貢献活動を全て文書化しており、市のHPから閲覧することもできる。地域と深く結びついた球団であることがわかる。しかし、遠方にもファンはいる。2連覇を達成し、甲子園球場を赤で埋めた熱いカープファンたちの球団とのコミュニケーションはどのように取られているのだろうか。

カープ公式としてはRCC中国放送が作る有料モバイルサイトがあり、そこでリアルタイムの情報を得たり、またレジェンドOBのコラムや芸能人カープファンのコラムなども読むことができるようになっている。
また、シャープがスマホとBluetoothで連動するウェアラブル端末(腕時計型)を発売しており、様々な情報が振動とともに即時に伝えられるようになっている。(「Funband」ソフトバンクホークス、DeNAベイスターズモデルも販売されている)
チャンスやピンチのドキドキワクワク感もディスプレーの独自の演出で盛り上げるようになっており、どこにいても、このデバイスにより、球団と共にある感覚を得られるようになっている。

球団としてInstagramは活用していないものの、SNSではないが、公式HPには広島出身のオフィシャルカメラマン・やまべくみさんによる「やまべが行く」のページが貼られており、躍動感のある、カープ愛が溢れる写真が見られるようになっている。地元密着型球団のひとつの在り方を貫いている。

パ・リーグは日本ハムが独走!?

SNSのフォロワー数は全体的に多く、全球団で見ると特にTwitterフォロワー数の上位はパ・リーグの球団が多い。Twitterは試合経過や結果など、リアルタイムの情報や速報に向いており、多くのパ・リーグのファンはTwitterを活用し即時の情報を得ていると考えられる。

【日本ハムファイターズ】
Facebook 284,023人
Twitter 734,198人
Instagram 119,000人
LINE 209,425人

日本ハムはInstagram、LINEのフォロワー数は全球団の中でもトップであり、Facebook、Twitterもフォロワー数の比較でも上位である。ファンは熱心にSNSを活用していると思われる。
LINEのコメントは女性が多く、たとえ負けても好意的な応援メッセージが寄せられる。Facebook、Twitterの投稿内容は微妙に違っており、Facebookはより詳しく、ファンによるコメントも長文で真面目なものが多い。

Twitterはリアルタイムな情報を動画なども含め、わかりやすく得られるようになっている。Instagramは選手の何気ない表情のショットや、街の風景も含め、試合やプレーの写真よりも球団と選手やファンの日常を切り取ったショットが多く、ほのぼのとしたものが多い。
それぞれのSNSに工夫がなされており、地域、全国かかわらず、年齢層も幅広く、好みのSNSへ参加できるようになっている。


【楽天イーグルス】
Facebook 181,015人
Twitter 589,669人
Instagram 59,400人
LINE 165,092人

楽天イーグルスもTwitter以外の数は全て5位以内にランクインしており、数字だけを見ると、ファンは全SNSを満遍なく活用しているようにみえる。しかし、各SNSの投稿内容や傾向を見てみると楽天イーグルスの独自性が見えてくる。

楽天はRakuten Viberという名称でViberというアプリを使ったメディアサービスを展開しており、Tiwtterは多くのフォロワーがいるものの、その実、Viberの投稿に飛ばないとその内容を見ることができないものもある。
Facebookの記事内容もViber記事もしくは楽天イーグルスHPに飛ぶようになっているものも見られる。LINEに至っては投稿頻度が少なく、最近はあまり投稿されていない。Instagramは球場での選手の姿やファンとのショットを多く掲載している。コアファンはViberというアプリを使って即時情報を得るように促されているようだ。


【福岡ソフトバンクホークス】
Facebook 147,438人
Twitter 718,363人
Instagram 75,800人
LINE 174,511人

IT企業が母体であるためか、公式HPにはSNSのリンクが一切はられていない。しかしFacebook、Twitter、Instagram、LINE全ての公式アカウントは存在している。FacebookとLINEの投稿内容は試合経過や選手の功績、グッズやキャンペーンの告知も多く、両者は似た内容になっている。
ファンのコメントはFacebookの方は真面目な長文の応援コメントが多く、LINEはスタンプによるメッセージコメントが主流となる。Twitterは動画を含めたリアルタイムの情報も投稿されるため、ファンは試合の速報を得ることができる。


【千葉ロッテマリーンズ】
Facebook 84,910人
Twitter 623,556人
Instagram 46,400人
LINE 101,524人

ロッテマリーンズのアカウントは全般的に温かい空気がほのかに漂う。ファンのコメントもそれに呼応するようにほのぼのとしている。Facebookの試合結果報告はさらっと。その他の記事は選手たちのちょっとしたやり取りやエピソードを広報の梶原さんの温かな文章力で切り取られ、紹介されている。

広報の梶原さんはコラムを他のメディアへも寄稿されている。Twitterは練習風景の動画が多く、頑張っている姿や選手のリラックスした表情など写真の投稿数も多い。Instagramもしかり、写真全般にいえることは選手たちの一番の笑顔の瞬間を捉えた写真が多い事だ。LINEの記事内容は試合報告と写真であっさりとしている。
http://bunshun.jp/articles/4201


【西武ライオンズ】
Facebook 69,898人
Twitter 291,985人
Instagram なし (パフォーマンスチーム「ブルーレジェンズ」のインスタグラムのフォロワー数は13,700人)
LINE なし

ライオンズのFacebookは地元ファンに関連した投稿が目立つ。試合結果のあっさりとした報告の投稿に対して、ファンが落ち着いたコメントでしっかりと支えている。

Twitterは動画による投稿が多く、試合の臨場感をTwitterで得られるようになっている。またライオンズは公式HPとSNSを連動させた面白い試みを行っており、ハッシュタグを付けSNSに投稿すればその写真がHP内、LIONSMEDIAタグボードに掲載される可能性がある。
球場でカメラが自分に向くのを待たなくとも、自らライオンズ愛を表した写真を投稿すれば良いのだ。双方向のファンとのコミュニケーションとして上手く利用されている。またHP、SNSアカウントを相乗効果で活性化できている。

Instagramのアカウントについては西武ライオンズの公式のものではなく、西武ライオンズのパフォーマンスチーム、ブルーレジェンズの公式Instagramページに飛ぶようになっている。
LINEのアカウントはないがYouTube公式アカウントを充実させており、選手たちの素顔やプレーの姿などを動画で見ることができる。ライオンズは動画を多用した発信を得意としている。


【オリックスバッファローズ】
Facebook 57,445人
Twitter 265,154人
Instagram 36,400人
LINE 55,642人

バッファローズはSNSのリンクバナーの貼る並びが他球団とは違い、「LINE、Instagram、YouTube、Facebook、Twitter」の順に並んでいる。強調したいSNSの順序が違うと見てとれる。
Facebook、Twitter共に野球そのものに関連しない投稿も多い。テレビの出演告知や有名人による始球式の様子、グッズ関連、その他イベントの告知が目立つ。試合に関しては先発投手の告知はあるものの、試合のスタメンのお知らせはない。ファンのコメントは負けても前向きに評価した温かなコメントが多い。

LINE公式アカウントへの投稿には、絵文字を多用した文章による試合の告知がなされ、LINE特有の自由で個性的な投稿が発信されている。
Instagramでは選手たちのプレー中の勇姿ややキャンプ風景などを見ることができ、より身近に感じられるようになっている。
YouTubeのBsTVが充実しており、FacebookやTwitterに新しい動画がアップされたことが告知される。選手たちのインタビューなど、素顔を紹介した動画を見ることができる。

またSNSではないがバッファローズは公式iPhoneアプリ(バッファローズにょきにょき、バッファローズがちゃ、バッファローズカメラ、バッファローズアラーム等)を発表しており、無料でダウンロードができるようになっている。
試合、SNS以外でも如何にファンを楽しませられるか、創意工夫がなされている。

”いいね!”の数、”ともだち”の数

各球団のSNSのいいね!、フォロワー、ともだち数を比較し、その内容の個性を比較してみると、SNSに力を入れている球団とそうでない球団が浮き彫りになった。
流行に敏感に反応し、主流のSNSの公式アカウント全てを提供している球団、ターゲットを絞って一部のSNSのみを運営する球団など、ファンの性格や傾向がわかる。フォロワー数はファンの多さやチームの成績とは直接比例しているわけではないようだ。

また、テレビや他メディアでの露出がそもそも多いためか、読売ジャイアンツのファンは、その規模の割には、それほどSNS(特にTwitter)を活用していないこともわかった。ではメディア露出が少ない地方球団が多く活用しているかといえば、必ずしもそうではない。
広島東洋カープなどは熱いファンの存在に反して、球団側が全く公式アカウントを作っていないため、SNSからその生態を割り出すことはできない。従って地方球団とSNSという因果関係も一概ではない。
日本ハムは全てのSNSにアカウントを持ち、それを丁寧に運営している。フォロワー数もそれに比例していると考えられる。

SNSの年齢別利用と照らし合わせると、年齢層関係なく全般的に利用率が高いFacebookの、いいね!数が多い球団、速報の配信、それに対するコメントなどで、リアルタイム双方向コミュニケーションが取りやすいTwitterのフォロワー数が多い球団、年齢や性別を問わず人気の高いInstagramやLINEのフォロワー数が多い球団など、ファン層の年齢分布や活用法などがなんとなく透けてみえるようである。
SNS利用者数はこれからも伸び、ファンとの相互コミュニケーションが益々盛んになってくるだろう。球団に愛着を持ってもらうため、SNSをどのように活用していくのかが、これから重要となると考えられる。