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史上初めてCS進出を逃した巨人の2017年シーズンまとめ

2017 11/10 12:24cut
東京ドーム
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2017年の読売ジャイアンツ

高橋由伸監督2年目となった2017年シーズン。昨シーズンは2位になったものの、クライマックスシリーズはファーストステージで敗退してしまった。
その後に渡辺恒雄氏が「これはフロントの責任。補強してねぇもん」と高橋監督を擁護すると、球団も30億円と呼ばれる資金をつぎ込み陽岱鋼選手、山口俊選手、森福允彦選手、マギー選手、カミネロ選手と次々に補強を行った。巨大戦力となり、広島東洋カープ追撃の筆頭候補となったのだ。

しかし、マギー選手、カミネロ選手は結果を残したものの、陽選手、山口選手は出遅れた。森福選手は年間を通じて活躍することができず、投手陣が好投しても打線の援護がなく敗退するケースも目立ち、球団史上初めてクライマックスシリーズを逃してしまった。

一方、シーズン途中にチームの編成責任者であるGMが堤辰佳氏から鹿取義隆氏に変わり、チーム強化の色が見えてきた。
シーズン終了後には主砲の一人である村田修一選手を自由契約とし、二塁手には山本泰寛選手、吉川尚輝選手といった若手を起用すると明言。育成を重視していく方針を打ち出した。来シーズン以降の変化に期待がかかる。

【2017年シーズン成績】

順位:4位
勝敗:72勝68敗3分
勝率:.514
打率:.2492(3位)
本塁打数:113本(3位タイ)
得点数:536点(4位)
盗塁数:56盗塁(4位)
防御率:3.31(2位)

3本柱で44勝17敗もBクラスに

今シーズン4位となってしまった巨人ではあるが、投手陣は奮闘した。なかでも菅野智之選手、マイコラス選手、田口麗斗選手の先発3本柱はそれぞれが結果を残している。

なかでも菅野選手はキャリア最高となる17勝(5敗)、防御率1.59をマークし貯金を12個作った。2年連続3度目となる最優秀防御率に加え、始めて最多勝のタイトルも獲得。沢村賞の最有力候補となっている。
2年契約2年目となったマイコラス選手も年間を通じて安定した投球を見せ、キャリア最高の14勝(8敗)をあげ最多奪三振のタイトルを獲得している。

また、左腕エースの座を手に入れた田口選手は二年連続となる2桁勝利を達成。3本柱と呼ばれるまでに成長している。その他にもドラフト2位ルーキーの畠世周選手が後半戦に6勝(4敗)をマークし4本目の柱となった。

このように先発投手陣が安定していたように見えたが、投打がかみ合わずAクラス進出を逃してしまうところが野球の面白さでもあり、怖さでもある。

【主な投手成績】

菅野智之選手
25試合/17勝5敗/防御率1.59

マイコラス選手
27試合/14勝8敗/防御率2.25

田口麗斗選手
26試合/13勝4敗/防御率3.01

1年中チグハグだった打撃陣

投手陣が好調だったものの、野手陣は得点力不足に悩まされた。オフシーズンに、2013年東北楽天ゴールデンイーグルス日本一の立役者でもあるマギー選手を獲得。
しかし、昨シーズンにベストナイン、ゴールデングラブ賞をダブル受賞した村田修一選手が控えとなってしまう。また、FAで獲得した陽岱鋼選手も戦力となったのは6月からだった。

シーズン中盤からマギー選手を二塁手で起用し、村田選手を三塁に固定。全体的な得点力は向上したものの、坂本選手が不調に陥ってしまう。
1年間を通じてチグハグな形となってしまった。比較的本塁打の出やすい東京ドームを本拠地に持ちながら得点数はリーグ4位、20本塁打以上の選手も不在という中、村田選手を自由契約とした巨人。今シーズンオフ以降のチーム改革に注目が集まる。

【主な野手成績】

坂本勇人選手
142試合/打率.291/15本/61打点

阿部慎之助選手
129試合/打率.262/15本/76打点

マギー選手
139試合/打率.315/18本/77打点

期待される若手のホープ

長らく期待の若手として取り上げられていた大田泰示選手が、昨シーズンオフに北海道日本ハムファイターズへトレードされた。
今シーズンは故障により開幕から出遅れたものの、初めて規定打席に到達しキャリアハイの成績を残している。交流戦では打率.700(10打数7安打)、2本塁打、2打点と強烈な恩返しを受けた。

このように巨人では若手を育成できないと揶揄されることも多い。近年では坂本勇人選手を除いて高卒から育成された野手はいない。
しかし、来シーズン以降は期待できそうな選手が揃っている。大卒ではあるが二塁手のレギュラー候補である山本泰寛選手、吉川尚輝選手。そして大砲候補の岡本和真選手にプチブレイクを果たした宇佐見真吾選手だ。

村田修一選手を戦力外としたことで内野に空きができ岡本選手、山本選手、吉川選手らは競争によってレギュラー争いを繰り広げることになりそうだ。マギー選手が残留しなかった場合は、3選手のうち2人がレギュラーとなるかもしれない。

また、宇佐見選手は「打てる捕手」として期待が高まっている。リード、ブロックなどの守備面では小林誠司選手に敵わない。しかし、打撃面ではすでに小林選手を超えており、レギュラー争いを行うことが期待される。

このように、来シーズンから近年ではあまり見られなかった若手の活躍がみられるかもしれない。

2018年シーズンに向けて鍵を握る外国人選手たち

屈辱のシーズンとなった巨人だが、来シーズンはさらに厳しい戦いとなるかも知れない。3本柱の一人であるマイコラス選手、セットアッパーで長らく巨人を支えたマシソン選手、強打の内野手であるマギー選手、守護神カミネロ選手と外国人選手が軒並み契約終了となるのだ。球団は残留交渉を行うものの、去就は不透明となっている。

自由契約となった村田選手に加えマギー選手が不在となれば、今シーズン以上の貧打が予想される。もちろん、若手を使えるというメリットはあるが、結果を残せるかは未知数だ。常に勝利を求められる巨人という球団で思い切った采配ができるのか注目が集まる。

また、投手陣もマイコラス選手、マシソン選手、カミネロ選手が退団となれば先発、セットアッパー、守護神に新たな人材が必要となる。ドラフト、新外国人、若手の台頭でどの程度まで底上げができるのか楽しみだ。

逆に、外国人選手の残留交渉が成功し残留となれば戦力としてのメドが立ち、上位進出を目指すことはできそうだ。巨人にとって、来シーズンに向けた最大の補強は外国人選手の残留かもしれない。鹿取GMの手腕に注目したい。