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【前身2球団あり】オリックスバファローズの奇跡を振り返る

2017 7/10 10:25Mimu
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Photo by Evgenii Matrosov/Shutterstock.com

オリックス・バファローズが起こした奇跡の中から、近鉄時代のものとオリックス時代のものを1つずつ紹介する。 長い歴史を持つ両チームだけに、記憶に残るシーズンは多いが、その中でも印象的なシーズンを選んだ。

近鉄バファローズ2001年の軌跡

まずは近鉄バファローズ時代の奇跡から紹介しよう。1989年の西武との優勝決定戦も捨てがたいが、2001年のあの試合を紹介したい。

2001年の近鉄バファローズは、破壊力抜群の打線を武器に、パ・リーグを突っ走っていた。勝つときも負けるときも豪快で、4月には4連敗後に7連勝、5月にも5連敗後に7連勝と、不安定ながら貯金を重ねていき、何と10年ぶりに前半戦を首位で折り返す。

しかし、2位ダイエーとのゲーム差も1.5しかなく、決して安泰ではなかった。特に後半戦は直接対決を落としてしまうことも多く、さらに西武も首位争いに加わってきたりと、混戦は9月の中旬まで続いた。

9月に大型連勝で一気にマジック点灯

しかし、そんな状況についに終止符が打たれる。9月頭にまた5連敗をしたが、9日~12日に4連勝。14日に1つ負けを挟み16、17日にも連勝して首位を奪い返すと、さらに18日の試合で3連勝を決め、マジック6を点灯させる。そして19、23、24、25日の試合にも勝利し、圧巻の7連勝。マジックを一気に減らした。

そして奇跡が起きたのが26日のオリックス戦だった。先発のバーグマンが4失点、さらに中継ぎも失点し、9回表終了時点で2-5と劣勢な状況。しかし、9回裏、相手守護神の大久保勝信投手を攻める。先頭の吉岡雄二選手がレフト前で出塁すると、川口憲史選手も二塁打で続く。さらに益田大介選手が四球を選んで満塁。ここで梨田監督は、代打・北川博敏選手をコールした。

奇跡の代打逆転サヨナラ満塁優勝決定本塁打

北川博敏選手のこの年の代打率は.194とそれほど良くなかった。しかし、2度のサヨナラ打を打っていたことや、24日の試合で松坂大輔投手から代打ホームランを放っていたことから、監督は代打に起用する。

カウント1ボール2ストライク、マウンドの大久保投手は引っ掛けさせて併殺を取ろうと、スライダーを投じた。しかし、少し真ん中寄りに入ってしまうと、北川選手が会心の一振り。打球はバックスクリーンの左横にきれいな放物線を描いて飛びこんでいった。

6-5、おつりなしの逆転サヨナラ満塁ホームラン、そして同時に近鉄の優勝が決定!プロ野球史上初、おつりなしの「代打逆転サヨナラ満塁優勝決定本塁打」となった。狂喜乱舞の大阪ドームで梨田監督が宙を舞った。

「頑張ろうKOBE」をスローガンに奮闘

続いてオリックスの奇跡を紹介していこう。1995年、開幕前に阪神・淡路大震災が発生し、選手たちは「がんばろうKOBE」をスローガンに奮闘していた。打順が固定されていたのは1番のイチロー選手くらいで、それ以外の打順はいろいろな選手が代わる代わる務めた。

内野手だった小川博文選手は、この1年だけで2番~9番の打順をすべて経験し、8番キャッチャーが多かった中島聡選手を4番に据えるという打線を組んだこともあった。

数々の奇跡を起こした仰木マジック

1994年から就任した仰木彬監督は、イチロー選手を抜擢したり、内野手だった田口壮選手を外野へコンバートさせたり、高卒ルーキーだった平井正史投手を守護神に抜擢するなど、数々の才能を見出した。特に平井投手はルーキーながら15勝5敗27セーブという素晴らしい成績を残し、最優秀救援投手のタイトルを獲得したほどだ。

その眼力は采配でもいかんなく発揮され、常識にとらわれない選手起用で次々に勝ち星を重ねる。しかし、これらも決して直感だけでなく、綿密なデータに基づいて決めていた。

神戸の人たちを勇気づける優勝

仰木マジックが炸裂した結果、圧倒的な成績でパ・リーグを制覇。この年に積み重ねた82勝は、球団史上2位の記録だ。1位は1956年の88勝(当時阪急ブレーブス)だが、152試合制だったので、130試合で82勝という数字がいかにすごい数字が分かる。

名将の下、どんどん勝ち星を積み重ねていくその姿は、神戸の街を大いに元気づけた。野球が持っているパワーが何度も被災地の方々を勇気づけた。しかも、優勝という最高の結果につながり、やはり奇跡に近いものを感じる。

まとめ

今回は2チームの奇跡を紹介してきた。どちらの奇跡も、関西を大きく盛り上げた。オリックスバファローズになってからは、なかなか日本シリーズに縁がないが、いつか奇跡を起こしてくれることだろう。