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2016年の快進撃以上!? 広島東洋カープが起こした奇跡とは

2017 7/10 10:25Mimu
野球ボール,ⒸShutterstock.com
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Photo by Evgenii Matrosov/Shutterstock.com

奇跡的な流れで、2016年のセリーグを制覇した広島東洋カープだが、カープの奇跡といえば、やはり1979年の日本シリーズだろう。 この年はカープが初めての日本一を決めた年であった。その奇跡を紹介したい。

粒ぞろいだった79年のカープメンバー

1979年の広島東洋カープには、非常に素晴らしい選手たちがそろっていた。リードオフマンの高橋慶彦選手、鉄人・衣笠祥雄選手、いぶし銀・三村敏之選手、そしてミスター赤ヘル・山本浩二選手などなど。またギャレット選手や、ライトル選手といった外国人選手の活躍も光っていた。ちなみにレギュラーではなかったが、達川光男選手も所属していた。

投手陣には精密機械の異名をとる北別府学選手、7色の変化球を持つと言われていた大野豊選手、そして日本球界にクローザーという概念を身をもって広めた江夏豊選手など、後に語り継がれるほどの選手たちがたくさん所属していたのだ。

チームが勢いづいた2つの要因

開幕こそ不調だったものの、夏頃になると一気にチームが勢いづく。その1つ目の要因となったのが高橋慶彦選手。1ヶ月半もの間、出場した試合すべてでヒットを打ち続け、なんと33試合連続安打を記録したのだ。この記録はいまだに破られておらず、40年近くも日本記録として球史に刻まれている。

2つ目の要因は、衣笠祥雄選手の骨折だ。8月1日の試合で、巨人の西本聖選手から左肩にデットボールを受け、全治2週間の骨折と診断される。1122まで続いていた連続試合出場が途切れてしまうことはもちろん、主力選手の骨折なんてチームにとっては非常に痛いはずだ。

しかし、衣笠選手は次の日の試合にも代打で登場すると、さらに翌々日には先発でフル出場を果たし、その鉄人っぷりを見せつける。この姿を見て、チームメイトが燃えないはずはない。ここから一気に勢いをつけ、首位を奪うと、そのまま優勝を果たすのだ。

近鉄との日本シリーズ開幕

そしていよいよ日本シリーズが始まる。相手は創設30年目で初めて日本シリーズに進出してきた、近鉄バファローズ。巧打者・佐々木恭介選手や、この年本塁打王を獲得したチャーリー・マニエル選手、そして梨田昌孝選手・有田修三選手の捕手コンビ、エースには鈴木啓示選手などなど、広島に負けず劣らずいい選手がたくさんそろっているチームだった。

日本シリーズはいわゆる「内弁慶シリーズ」となった。大阪球場の第1戦・第2戦では近鉄が、広島市民球場の第3~5戦は広島が、そして再び大阪球場で行われた第6戦では、やはり近鉄が勝利していたのだ。ここまで3勝3敗と互角。しかし、第7戦が大阪球場で行われる以上、きっと勝つのは近鉄だと誰もが考えていた。

1点リードの9回裏 ノーアウト満塁の大ピンチ

第7戦では広島が初回・3回に1点ずつを取り、序盤から主導権を握り続ける。1度同点に追いつかれてしまうものの、その次のイニングにすぐさま2点を取って勝ち越し。その後また1点を取られるが、4-3とリードしたまま9回の裏を迎えた。そしてマウンドにはクローザーの江夏豊さんが上がる。

しかし、今ひとつピリッとしない。先頭バッターに初球をセンター前に運ばれてしまうと、盗塁に味方のエラーも絡み3塁に進まれてしまう。さらに2つの四球も重なり、あっという間にノーアウト満塁のピンチに。このままサヨナラで日本一を逃してしまうのか……。広島は絶体絶命に追い詰められる。

代打・佐々木恭介との攻防

次の打順は9番投手だったが、ここで佐々木恭介選手が代打で登場する。肉離れでスタメンを外れていた佐々木選手だが、やはり怖いバッターには違いない。1球1球を慎重に投げ込んでいくものの、その3球目、痛烈な打球が3塁線を襲う。球場内の誰もが近鉄のサヨナラで日本一かと思ったが、判定はファウル。歓声がため息に変わる。

その後はカーブ・ストレートと続け、迎えた6球目。ひざ元に食い込んでくるカーブが素晴らしいコースに決まり、空振りの三振を奪った。

見事にスクイズを見抜いた広島バッテリー

しかしまだ1アウト満塁、続くバッターは1番の石渡茂選手。その2球目だった。何とスクイズを仕掛けてきたのだ。しかし、広島バッテリーはこれを読みぬき、大きくボールを外す。そして3塁ランナーを挟殺、2アウトにこじつけるのだ。

そして3球目はファウルを打たせ、2ストライクに追い込むと、最後はやはりひざ元のカーブで空振り三振を奪い3アウト目。広島は初の日本一を達成したのだ。

このイニングに投じた球数は21球。そう、「江夏の21球」として知られ、現在まで語り継がれているピッチングだ。

まとめ

やはりカープの奇跡といえば「江夏の21球」を思い出してしまう。それほど奇跡的だったのだ。 しかし、今のカープも強い。さらなる活躍を期待できるだろう。