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攻守の積極性が魅力!横浜DeNAベイスターズの若き核弾頭・桑原将志

2017 6/30 12:56Mimu
グローブとボール
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2016年のトップバッターを務めた桑原将志

「1番 センター 桑原」 すっかりとこのアナウンスもおなじみとなった。いまや横浜DeMAベイスターズのトップバッターといえば、彼以外に考えられないだろう。桑原将志選手。
94年生まれの非常に若く、打撃でも守備でもその積極性が武器の選手だ。2016年シーズンの途中から1番センターに定着し、チームとして初のクライマックスシリーズ進出に大きく貢献した。そしておそらくこれから何年も、ベイスターズを引っ張ってくれる選手であろう。
アレックス・ラミレス監督が就任して以降、キャッチャーに戸柱恭考選手、ショートに倉本寿彦選手、そしてセンターのポジションに桑原選手が定着。センターラインがしっかりとしたことによってチームにリズムができた。筒香嘉智選手やロペスの打撃が好調だったことも大きいだろう。
特に桑原選手のように、積極性のある選手が好調だとチームにとっても起爆剤になり、今後もそういった活躍を期待したい。今回は、そんなベイスターズ期待の若きトップバッター、桑原将志選手について紹介していこう。

京都の名門からプロ入り!1年目にプロ初ヒット!

桑原選手は、京都の名門校・福知山成美高校から2011年のドラフト4位でDeNAベイスターズへと入団した。高校では1年生の春からレギュラーを獲得、甲子園の出場は叶わなかったが、その身体能力の高さや、1年生から名門でレギュラーを獲得する野球センスは、スカウトからの評価も高かったのだという。
当時は内野手として活躍しており、下級生のあいだはサード、上級生になるとショートを守っていた。プロ入り後は、内野だけではなく外野にも挑戦し、2軍のさまざまなポジションで出場することとなる。
もちろんバッティングの方でも期待されており、1年目には早くもプロ初ヒットを記録。2軍では、1年目こそ89試合で.225(298-67) 2本塁打 18打点 13盗塁だったものの、2年目には.270(278-75) 2本塁打 27打点 9盗塁とい成績を残した。なれない外野のポジションにも適応しつつ、打撃成績でもこれだけの数字。いかに非凡なものを持っているかがおわかりいただけるだろう。

持ち前のガッツが監督に高評価!

3年目の2014年からは外野手登録となり、内野を守る機会はほとんどなくなった。しかし、一軍では金城龍彦さん(現読売ジャイアンツコーチ)、荒波翔選手がそろって離脱してしまったこともあり、6月に一軍昇格とチャンスが回ってくる。6月29日に代打で登場すると(結果は四球)、7月2日には7番センターでプロ初スタメン。第1打席こそ併殺打を打ってしまうものの、第2打席でツーベースを放ち、なんとか次に繋がるような場面を作った。4日の試合でも7番センターでスタメン出場し、ヒットこそ出なかったものの、2つの四球を奪う。
このようになかなかヒットは出ず、猛アピールとまでは行かなかったが、それでも簡単に凡退せず、粘りに粘ってなんとか四球というシーンも多く見られた。派手さはないが、泥臭く相手に必死に食らいついていく。こういった姿勢を当時の中畑清監督も気に入ったのか、その後はシーズン終了までセンターのポジションで起用されることとなった。
以降は持ち前の積極性をいかんなく発揮し、8月には2本のサヨナラヒットを放つと、9月28日にはプロ初本塁打も記録した。結局53試合の出場で.258(144-37) 1本塁打 13打点 4盗塁、そして15個の四球を奪う活躍を見せ、一気に飛躍の年となったのだ。

一転して大不振だった2015年

2015年はレギュラー獲得の大チャンスであった。中畑監督の期待も非常に大きく、オープン戦では2本のホームランを放って猛アピール。見事に開幕スタメンを勝ち取ることに成功する。
しかし、シーズンに入ると一転して大不振に陥ってしまい、打率は1割台をずっとウロウロしている状態。この間に、荒波選手が3割近い打率を残してレギュラーに復帰したほか、関根大気選手、乙坂智選手といった同世代の外野手の台頭もあって、再びレギュラーは白紙という状態になってしまった。
2014年の活躍もあり、このポジションを離したくないあまり慎重になってしまったようだ。プレッシャーの中、持ち前の積極性が失われてしまい成績を落としてしまい、課題を残すシーズンとなった。

激しい競争が行われた2016年

そして勝負の2016年シーズン。開幕スタメンを務めたのは荒波選手であった。桑原選手は代打や代走・守備固めでの出場が中心となる。しかし、梶谷隆幸選手や筒香選手のケガ、ジェイミー・ロマックの極度の不振などもあり、2週間ほどすると桑原選手にもスタメンの機会が回ってきた。同時に乙坂選手や関根選手らにも出番が与えられ、競争は激しさを増していく。
時にはセンター桑原選手、レフト乙坂選手、ライト荒波選手という、ライバルたちが同時に起用されるような試合もあった。筒香選手・梶谷選手はほぼ固定。この競争でレギュラーの座を獲得できるのは、たった1人なのである。

レギュラー争いは乙坂智選手との一騎打ちに

梶谷選手が復帰した5月上旬、まず脱落したのは荒波選手であった。打率が2割ほどしかなく、5月以降はほとんど出番がなくなってしまった。さらに筒香選手が復帰後は、関根選手も脱落。起用され始めた頃こそ好調だったが、3試合で12打席連続ノーヒットと不調に陥ってしまい、その後は代走・守備固めとしての起用が中心となった。残るは桑原選手と乙坂選手。両者とも3割近い打率を残しており、ほぼ互角のようにも見えていた。
決め手となったのは、やはり6月24日の巨人戦だろう。交流戦が明け、リーグ再開後の初戦となったこの試合、相手先発はエースの菅野智之選手。ここまで5勝3敗 防御率0.88と驚異的な成績を残しており、誰もが認める球界を代表する投手であった。しかも、ベイスターズは交流戦を6連敗で終え、あまり流れがよくない中での試合だったこともあり、この試合も苦しい展開になると予想されていた。

球界を代表するエースからみごとな見事なグランドスラム

試合は、桑原選手を中心に動いていく。1番・センターでスタメン出場すると第1打席にセンター前ヒットを放ち、その後は梶谷選手のタイムリーで先制のホームを踏む。さらに満塁のチャンスで回ってきた第2打席では2点タイムリーヒット。そして第3打席、これが桑原選手の2016年シーズンを象徴する一打となった。
再び満塁のチ
ャンスで回ってくると、持ち前の積極性で初球をフルスイング。打った瞬間にそれとわかる完璧な打球は、なんとレフトスタンド上段まで届いてしまった。球界を代表する投手から見事なグランドスラムをこの試合3安打6打点という大活躍。そしてこれ以降、シーズン終了まで1番・センターのポジションに固定されることとなったのだ。
初の規定打席到達に、初の2桁本塁打も記録。最終的な成績は133試合 .284(462-131) 11本塁打 49打点 19盗塁。38個の四球に、リーグ2位となる14個の死球ももぎ取り.356という出塁率も見事な数字だろう。ガッツあふれる打席で、文字通り核弾頭としての役割を果たした。

今後のベイスターズを担う若き核弾頭

2015年は不振に陥ってしまったので、2016年は思い切って視点を変えて、相手投手の目線になって考え試合の流れを読むようにしたことが好影響を与えたようだ。その結果、試合状況やカウントごとでの狙い球が絞りやすくなり、もともとの持ち味である思い切りの良さがさらに生かされることとなった。
打撃面では初球から思い切り振っていき、守備面でも積極的なプレーでチームをもり立てる。もともとの明るい性格と相まって、理想の1番センターといえるだろう。174cmと小柄ながら、2桁本塁打を記録するパンチ力もある。外野手としての経験は浅いが、俊足を生かした広い守備範囲は外野手の名手たちと比べても遜色はない。今後の彼の活躍は、チーム強化にも大きく影響するだろう。