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東京ヤクルトスワローズの球団史に残る名シーン5選、2022年はどんなドラマが待っている?

2022 9/11 06:00SPAIA編集部
ヤクルトの村上宗隆,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

セ・リーグ連覇へひた走るヤクルト

2022年のプロ野球も佳境に入り、セ・リーグではヤクルトが栄光のゴールに少しずつ近付いている。ペナント争いだけでなく、若き主砲・村上宗隆は本塁打記録をどこまで伸ばすのか、これからどんな展開が待っているのか想像もつかない。

球団の歴史を振り返ると、これまでも数々の名シーンがあった。今季の劇的ドラマが来る前に、記憶に残るシーンを当時の名実況とともに振り返ってみたい。

「……入った、ホームラン!代打満塁サヨナラホームランです!」

西武と戦った1992年日本シリーズ第1戦。ヤクルトは延長12回裏1死満塁のチャンスを作った。

代打に送られたのはベテラン杉浦亨。ヤクルトひと筋の現役生活で通算224本塁打を放った当時40歳のスラッガーだ。

マウンドは西武のストッパー・鹿取義隆。3塁側ブルペンの動きが慌ただしくなるものの、森祇晶監督は鹿取の経験に託す。2球見送った後の3球目。杉浦がバットを一閃すると、打球はヤクルトファンでぎっしり埋まったライトスタンドに吸い込まれた。

日本シリーズ史上初の代打サヨナラ満塁ホームラン。万歳しながらダイヤモンドを一周したベテランは本塁付近でチームメイトの手荒い祝福を受け、笑顔の野村克也監督に出迎えられて相好を崩した。

この年は18試合の出場にとどまり、現役引退を決意していた杉浦は急転、現役を続行。西武に敗れた雪辱を期した翌1993年は45試合に出場してリーグ連覇、さらに日本一にも貢献し、同年限りでユニフォームを脱いだ。

「均衡は4番バッターの先制ホームランで破れました!」

1993年日本シリーズ第7戦。ヤクルトにとっては、前年3勝4敗で敗れた西武への雪辱戦だった。

1回表1死一、三塁、打席に立ったのは4番の広澤克実。西武の先発・渡辺久信は気迫あふれる投球を続けたが、7球目が高めに入る。広澤が強振すると、打球は所沢の青空に描かれた飛行機雲のように真っすぐに伸び、西武球場のバックスクリーン左へ飛び込んだ。

主砲の豪快な3ランで先制したヤクルトは、4-2とリードを保ったまま9回裏の守備に就く。ベテランの角富士夫らが守備を固める中、高津臣吾-古田敦也の黄金バッテリーが石毛宏典・清原和博・鈴木健を打ち取り、見事に優勝。前年のリベンジを果たして西武の4年連続日本一を阻止し、野村克也監督が宙を舞った。

「若松野球、結実の時か……」

2001年の日本シリーズでは、初の日本一に燃える近鉄と対決することになった。第1戦は石井一久と河端龍の完封リレーで先勝。第2戦は近鉄の「いてまえ打線」が爆発して敗れた。

しかし、本拠地の神宮球場に移った第3戦は9-2、第4戦は副島孔太の決勝アーチで2-1、第5戦も4-2で制して3連勝。見事、4勝1敗で4年ぶり5度目の日本一を決めた。

監督就任3年目、現役時代には「ミスター・スワローズ」と呼ばれた若松勉監督は優勝インタビューで「ファンの皆様、本当にあの~、日本一おめでとうございます!」と発言し、選手や観客を大いに沸かせた。

「球場360度がスタンディングオベーションを送っています!」

2007年10月9日、横浜ベイスターズとのシーズン最終戦。前々日の7日に神宮球場で引退セレモニーを終えた古田敦也兼任監督は、横浜スタジアムのファンにも最後の雄姿を見せるために出場した。観客の視線は試合そっちのけで古田に注がれていた。

9回、リグズの代打として打席に立った古田に、ベイスターズファンからも古田コールが沸き起こる。吉見祐治からレフト前に放ったヒットは、古田にとって通算2097本目で、現役最後の花道を飾った。

「やはりヤクルト山田には、この神宮球場が似合います!」

2015年10月26日、ソフトバンクとの日本シリーズは、ヤクルトの2連敗で第3戦を迎えていた。

1回裏、走者を1人置いて打席に立ったのは、自身初のトリプルスリーを成し遂げたばかりの山田哲人。2ストライクと追い込まれながら、ソフトバンク先発の中田賢一から日本シリーズ第1号となる先制2ランを放った。

山田は3回裏の打席でも勝ち越しソロ、さらに5回裏には日本シリーズ初登板の千賀滉大から逆転2ランを放った。日本シリーズで3打席連発は1970年の巨人・長嶋茂雄以来45年ぶり2人目だったが、長嶋は2試合にまたがっていたため同一試合では史上初の快挙。ヤクルトに同シリーズ初勝利をもたらした。

ここで取り上げたのは長い球団史のほんの1ページに過ぎない。そして、今年また新たな1ページが刻まれようとしている。野球の神様は一体どんなシナリオを用意しているのだろうか。フィナーレはもうすぐだ。

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