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2013年プロ野球開幕前に発表された電撃トレードを解説

2017 2/21 19:13
野球
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Photo by cctm/shutterstock.com

2013年キャンプインを目前に控えた1月23日、日本ハムとオリックスの間で2対3の電撃トレードが発表された。 両チームとも、トレード要員には前年に主力として活躍した選手も含まれており、衝撃が走った。 果たして、どのような思惑でこのトレードは成立するに至ったのだろうか。

投打の主軸だった日本ハムの糸井嘉男選手と八木智哉投手

2003年のドラフトで日本ハムファイターズに入団した糸井嘉男選手は、入団時は投手だったものの3年後に野手に転向、類まれなる素質で2009年に外野のレギュラーに定着すると、4年連続3割20盗塁を記録。ゴールデングラブ賞も受賞するなど、走攻守3拍子揃った選手だった。
八木智哉投手は、2005年のドラフトで入団。独特の沈み込むフォームから繰り出される多彩な変化球で打者を翻弄し、2006年のシーズンでいきなり初登板初勝利を挙げると、その後も順調に白星を積み重ね、12勝を挙げて新人王にも選ばれた。

オリックスの守りの要だった木佐貫洋選手と赤田将吾選手、大引啓次選手

一方でオリックス側の交換要員は3人だった。
木佐貫洋選手は、2003年に読売ジャイアンツに入団以来、先発投手として活躍。2010年にオリックスにトレードされてからも役割は変わらず、3年間で17勝を挙げた。
赤田将吾選手は、1999年に西武ライオンズに入団、5年目に広い外野の守備範囲とシュアな打撃で2番に定着し、2010年にオリックスへ移籍してからも守備でファンを沸かせた。
大引啓次選手は、2007年にオリックスに入団すると開幕スタメンを勝ち取り、初安打初打点を記録する活躍を果たした。遊撃手として堅実な守備を売りとし、また、強いリーダーシップでチームを引っ張った。

日本ハムが電撃トレードに踏み切った当時のチーム事情とは

日本ハムは2012年のシーズン前、それまで絶対的エースとして君臨していたダルビッシュ有投手が大リーグに移籍し、先発投手のやりくりに苦労した。さらに、2012年のオフには二塁手として俊足巧打で活躍していた田中賢介選手も大リーグへ移籍。投打の主軸を2年連続で失い、ローテーションの軸となりうる先発投手と守備の要となる選手の獲得が至上命題となっていた。
巨人時代から主に先発で、2012年シーズン終了時点で52勝を挙げていた木佐貫選手と、1、2番を任せられる俊足巧打の赤田選手、大引選手はまさにその条件に合致していたのだ。

電撃トレード、オリックス側の事情を探る

2012年のオリックスは、2ケタ勝利を挙げた投手、3割を超える打率を残した打者が皆無で、5位の千葉ロッテマリーンズに7.5ゲーム差をつけられるダントツの最下位だった。西勇輝投手がノーヒットノーランを達成するなど、若手の注目株の成長は見られたものの、特に左の先発投手不足が深刻だったのだ。
そこで、新人王獲得以降は低迷したものの、再生の余地がまだあると判断された八木智哉選手は、その格好のターゲットとなった。一方、打線の方はT-岡田選手、李大浩選手など一発の魅力がある打者はいたものの、全体的に確実性に欠ける面があったため、安定した打撃成績を残していた糸井嘉男選手の獲得は大きな成果だった。

両チームのトレード後の成績

2013年に日本ハムに移籍した木佐貫選手は、初年度から先発投手としてチームトップタイの9勝を挙げる活躍をした。大引選手も初年度から2番ショートに定着、120試合に出場して32犠打を記録するなど、つなぎの役割を果たした。57試合出場ながら2割7分3厘と一定の成績を残した赤田選手とともに、同年最下位に沈んだチームの中で気を吐いた。
一方のオリックスは、八木智哉選手は思うような成績を残せなかったものの、糸井嘉男選手は日本ハム時代と変わらぬ活躍を見せ、2年連続で3割30盗塁を記録するなど、主軸打者として3、4番に定着。2014年にはチームを6年ぶりのAクラスに導く役割を果たした。

まとめ

日本ハムとオリックス間で行われた電撃トレードは、当時世間を驚かせたが、結果的に両チームにとって補強ポイントが合致し、選手も思惑通りの活躍を見せてくれたと言えるだろう。 今後も野球ファンをワクワクさせるようなトレードが起こるのか、注意して見守っていきたい。