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菊池雄星は日本人ベスト左腕となれるか 通算最多は石井一久の39勝

2019 3/11 11:00SPAIA編集部
菊池雄星,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

日本人右腕は計790勝、左腕は計85勝

メジャーリーグの開幕が迫ってきた。今年の注目はマリナーズ入りした菊池雄星。マリナーズは3月20、21日にアスレチックスとの開幕戦を東京ドームで行う。出場が噂されるイチローとともに、2戦目の登板が決まった菊池のメジャーデビューに注目が集まる。

これまでプロ、アマ問わず日本球界からメジャーへ移籍し、出場を果たした日本人投手は、「マッシー」の愛称で親しまれた村上雅則から菊池まで計44人(3A以下は除く)。メジャーだけで123勝をマークした野茂英雄ら、実績を挙げた投手の多くは右投げだ。

実際、右腕の34人で計790勝を挙げているのに対し、左腕は9人で計85勝と少なく、左腕に限ると石井一久の計39勝が最多。菊池には日本を代表する本格派左腕として、過去のデータをぶち破る活躍が期待される。

メジャー右左表,ⒸSPAIA

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その実績は今さら説明の必要もないだろう。花巻東高時代にセンバツ準優勝、夏の選手権でも4強進出し、甲子園では154キロをマークした。この頃からメジャー志向を認めていたが、まずは日本のプロ野球入りを決意。2009年のドラフト会議では6球団競合の末、鳴り物入りで西武に入団した。

2017年には最多勝と最優秀防御率に輝き、翌18年も14勝を挙げて10年ぶりのリーグ優勝に貢献。プロ8年で通算73勝46敗1セーブと輝かしい実績を残し、昨オフにポスティングシステムでマリナーズ入団が決まった。3年4300万ドルとも伝わる金額に、球団の大きな期待がうかがえる。

久々の本格派左腕

偶然とはいえ、菊池の日本での通算成績はドジャース入りした時の石井一久(78勝46敗1セーブ)と酷似している。同じ左腕で、快速球と切れ味抜群のスライダーが武器という投球スタイルも近い。大きく違うのは、石井は日本で計10年、244試合登板していたのに対し、菊池は計8年、153試合での成績という点だ。菊池は27歳と年齢的にも脂の乗り切った時期だけに、メジャーで長く活躍する期待も持てる。

日本球界の左腕は、かつての江夏豊(元阪神など)のようにバッタバッタと三振を奪う剛球投手もいるが、星野伸之(元オリックスなど)や石川雅規(ヤクルト)に象徴されるような技巧派も少なくない。球速はないものの、多彩な変化球と巧みな投球術で通算107勝の実績を引っ提げてメジャー移籍した和田毅は、結局、計5勝に終わった。

メジャー左腕表,ⒸSPAIA

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身長184cm、体重100kgの堂々の体格からMAX158キロのストレートを投げ下ろす菊池は、メジャー挑戦した日本人投手の中でも久々の本格派左腕。メジャーの硬いマウンドや縫い目が高く手触りの違う公式球、中4日のローテーションなど慣れるまで時間はかかるだろうが、同じア・リーグ西地区のエンゼルスに所属する花巻東高の後輩・大谷翔平との対決など楽しみな部分も多い。

右腕では野茂英雄を筆頭にメジャーだけで50勝以上挙げた投手が7人もいる。巨人入りした岩隈久志が付けていた背番号18を受け継いだ菊池が、メジャー移籍したベスト左腕となるべく、新たな足跡を刻む。