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知ってた?野球通がドヤ顔で使う用語集

2018 3/14 09:59青木スラッガー
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通なら知っている横文字野球用語

今年2018年は大谷翔平(エンゼルス)がついに長年の夢であった大リーグ挑戦を実現させる。日本球界のスーパースターである彼がアメリカ球界に移ることで、今年は日本の野球ファンから大リーグの注目度が相当に高いシーズンとなる。大谷をきっかけに、これから大リーグ観戦にハマる野球ファンの方も増えてくるかもしれない。

そこで、今回はそんなMLB観戦初心者の方のために「MLB通なら知っている横文字野球用語」をピックアップする。マニアックなアメリカの野球用語は数え切れないほどあるが、その中から、ある程度は日本でも知られていて、かつ観戦中のトークで使いやすい「打球に関する横文字野球用語」を3つ集めてみた。

マニアック度★「テキサスヒット(Texas hit)」

まず1つ目は、ニュース記事やテレビ中継でもよく使われ、日本球界にも浸透している「テキサスヒット(Texas hit)」。フラフラと上がった打球が、内野手と外野手の間にポトリと落ちる当たりそこないのヒットを指すものだ。

いわゆる「ポテンヒット」である。由来は定かではないが、その昔「テキサスリーグ」というマイナーリーグ出身の大リーガーに、ポテンヒットばかりを打つ選手が多かったためという説が有力だ。「テキサスリーガーズ・ヒット」という呼び方もあるから、おそらくこの説は正しいだろう。

「当たりそこない」という言葉を使ったが、詰まりながらもテクニックやパワーで野手の間に狙って打球を落とすのは高度な打撃技術。日米通算4358本(2017年シーズン終了時点)もの安打を積み重ねたイチローの得意技である。由来はどうあれ、「ポテンヒット」よりも「テキサスヒット」の方がなんとなく良いヒットのような気がするし、どんどん使っていくことをおすすめしたい。

ただ注意点がひとつ。詰まったり引っかけたりして、ボテボテと転がったゴロが内野手の間を抜けていくヒットもある。これを「テキサスヒット」と呼ぶのは正しくない。「コースヒット」と呼ぶのが適切なので、この違いはおさえておこう。

マニアック度★★「ムーンショット(Moon shot)」

2つ目は「まるで月まで届いてしまうような一撃(大飛球)」という意味の「ムーンショット(Moon shot)」。高い弾道でカーンと上がり、大きな放物線を描くホームランの打球に使われる。

「ムーンショット」という言葉は、実は野球界よりもビジネス用語として世間には知られている。「困難だが実現によって大きなインパクトをもたらすプロジェクト」という意味があり、1960年代にスタートした人類を月面に着陸させる「アポロ計画」がきっかけで生まれた言葉だ。野球における「ムーンショット」にはそんなに深い意味はないので、このエピソードは覚えておかなくてもいい。

昨2017年は、MLBでかつてなくたくさんの「ムーンショット」が飛んだ。過去最高だった2000年の5693本を大きく上回る、6105本のシーズン総本塁打数を記録。データ測定技術の進化により、最もホームランが生まれやすい打球角度(30度前後)が判明したことが要因だ。

ワールドチャンピオンに輝いたアストロズをはじめ、多くの球団がこの角度を狙ってフライを打ち上げる打撃に取り組み、高い弾道のホームランが量産された。そういう今の大リーグの状況からして、高い弾道のホームランを表す「ムーンショット」はおさえておきたい旬なワードである。

マニアック度★★★「ボルティモア・チョップ(Baltimore chop)」

空に向かって打ち上げる「ムーンショット」とは正反対に、地面に叩きつける打法にも横文字の野球用語がある。高く弾んだ打球が内野手の頭を超えたり、グラブに収まるまでに時間がかかって内野安打になったりするシーンは見たことがあるだろう。あれを狙ってやる打法が、最後に紹介する「ボルティモア・チョップ(Baltimore chop)」だ。

「ボルティモア・チョップ」は、1892年から1910年までボルティモア・オリオールズ(現在ア・リーグ東地区に所属している同名の球団とは無関係)などでプレーした、ウィリー・キーラーという選手のプレースタイルから生まれた言葉だ。

キーラーは、イチローが破るまで長くメジャー記録となっていた「8年連続200安打」を達成しているアメリカ野球殿堂入りの名選手。全盛期のボルティモア時代、地面にボールを叩きつけて大きくバウンドさせ、俊足を武器に内野安打を量産したことから、この打法が「ボルティモア・チョップ」と呼ばれるようになった。

この「ボルティモア・チョップ」に関しては、テレビ中継やニュース記事に登場することがほとんどない、かなりマニアック度の高い横文字野球用語だ。使いこなせているという方は、なかなかの野球マニアだろう。

以上、「打球」にターゲットを絞ってMLB通なら知っている横文字野球用語を3つピックアップした。「アメリカではこういうバッティングは○○って言うんだよ」といった感じで、ぜひ観戦トークに活用してみてはいかがだろうか。きっと周りからMLB通と認定されるはずだ。