東邦に始まり、東邦に終わった平成のセンバツ
第91回選抜高校野球大会は東邦の優勝で幕を閉じた。平成元年(1989年)以来30年ぶり5度目の栄冠。平成のセンバツは東邦に始まり、東邦で終わることとなった。
平成元年の決勝は今も名勝負として語り継がれる上宮との激闘だった。大会屈指のスラッガー元木大介を擁する上宮とがっぷり四つに組んだ熱戦は1-1のまま延長に突入し、10回表に上宮が1点を勝ち越し。その裏も2死無走者となり、万事休すかと思われたが、そこから奇跡が起こった。
優勝のプレッシャーからか突然コントロールを乱した上宮のエース宮田正直を攻め、四球と内野安打で一、二塁。次打者のセンター前ヒットで二塁走者が生還して同点、さらに一塁走者が二、三塁間に挟まれると、焦った上宮の守備が乱れた。サードからセカンドへの送球が逸れ、バックアップのライトも後逸、ボールが外野を転々とする間に走者が生還して逆転サヨナラ。歓喜の東邦ナインの横で、元木はグラウンドにうずくまったまま動けないという劇的な結末だった。
時は巡り、30年が経った。あの時の東邦のコーチが森田泰弘現監督だ。決勝の翌日、4月4日が60歳の誕生日というのも運命的。初戦から全5試合に先発したエース石川昂弥が、自慢の機動力でセンバツ初優勝を狙う習志野打線を見事に封じ込んだ。打っても2ラン2発の活躍で6-0で完勝、紫紺の大旗をつかんだ。
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