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平成18年 早実―駒大苫小牧引き分け再試合【平成スポーツハイライト】

2019 1/1 07:00SPAIA編集部
野球ボールⒸShutterstock.com
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斎藤と田中の初対決は2年秋

平成を彩ったスター選手の中で、特に女性ファンが多かったのは早稲田実・斎藤佑樹だろう。ポケットからハンカチを取り出して汗を拭う姿は、泥にまみれた高校球児の中では異彩を放った。そして単なるアイドル人気だけでなく、駒大苫小牧・田中将大というライバルによって、斎藤の存在感はさらに際立った。

あまり知られていないが、斎藤と田中の初対決は2年秋だった。明治神宮大会に出場した早実は準決勝で駒大苫小牧と対戦。斎藤は10三振を奪う力投だったが、4回途中からリリーフした田中は5回2/3で13奪三振、被安打わずか2という完璧な内容だった。早実は3-5で逆転負けし、勝った駒大苫小牧は決勝でも関西(岡山)を破って優勝した。

ひと冬越して迎えた平成18年(2006年)センバツ。斎藤率いる早実は2回戦で後にプロ入りするダースのいた関西との延長15回引き分け再試合を制してベスト8に進出するが、準々決勝で横浜に敗れた。

夏は西東京大会を制して春夏連続で甲子園に出場し、2回戦の大阪桐蔭戦では、後に日本ハムでチームメイトとなる中田翔と対戦。プロ注目のスラッガーを無安打3三振に封じた。その後も福井商、日大山形、鹿児島工を連破して決勝進出。相手は前年秋の明治神宮大会で敗れた駒大苫小牧だった。

計24イニング、5時間33分の熱闘

早実は荒木大輔を擁した昭和55年(1980年)以来26年ぶりの決勝。駒大苫小牧は夏の甲子園3連覇を目指していた。

早実先発の斎藤と、駒大苫小牧の先発・菊池を3回途中からリリーフした田中が投げ合い、7回まで両校とも無得点。8回表に駒苫が三木の中越え本塁打で先制したが、その裏、早実は後藤の中犠飛で同点に追いつく。その後は両者譲らず、昭和44年夏の松山商-三沢以来、37年ぶりの決勝戦引き分け再試合となった。斎藤は15回完投し、16三振を奪う力投だった。

翌日の再試合、早実は駒苫の先発・菊池を急襲し、初回に1点を先制。すぐに田中が救援したが、2、6、7回にも1点ずつ加点し、試合を優位に進めた。4連投となった斎藤はハンカチで汗を拭いながら力投。9回に2ランを浴びて1点差に迫られたが、最後の打者・田中を空振り三振させ、早実を夏の甲子園初優勝に導いた。2日間で計24イニング、5時間33分の熱闘だった。

斎藤が投げた投球回69、投球数948は一大会における最多記録。奪三振78は、昭和33年の徳島商・板東英二の83に次いで歴代2位だった。

明暗分かれたライバルの「その後」

斎藤は卒業後、早大に進み、通算31勝をマーク。ドラフト1位で日本ハム入りしたが、1年目の6勝が最多で、2年目は5勝、3年目以降は計4勝に終わっており、最近は進退が取り沙汰されている。

逆に甲子園で苦汁をなめた田中は、高校卒業と同時に楽天に入団。平成25年に24勝0敗という驚異的な成績で日本一に貢献し、現在はヤンキースで活躍している。