「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

人材難の「打てる捕手」候補に2人 早実・野村大樹と関東一・石橋康太のドラフト期待 

2018 7/21 08:00青木スラッガー
甲子園球場ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

2017年ドラ1の中村・村上に続く「打てる捕手」2人

2017年、ドラフトの支配下指名で高校から直接プロに進んだ選手はたった2名だった。広島の中村奨成(広陵)と、ヤクルトの村上宗隆(九州学院)。高校時代スラッガーとして活躍し、競合1位指名を勝ち取った2人である。

両者とも、ルーキー年の今シーズンは二軍で主力級として試合に出て経験を積んでいる。高校時代は中村が甲子園の大会本塁打記録を更新して脚光を浴びたが、プロ入り後は村上が前半戦終了までに10本塁打と二軍選手でトップクラスの長打力を発揮。2人はこれから一軍で「打てる捕手」になれるよう、同リーグのライバルとしてしのぎを削っていくのだろう。

今年の高校生にも、中村や村上を将来脅かす存在になりそうな、プロで「打てる捕手」となれるポテンシャルを持った素材が2人いる。野村大樹(早稲田実業)と石橋康太(関東一)だ。

高校通算68本塁打に「勝負強さ」も光る早実・野村大樹

ドラフト1位候補にも挙がる野村大樹は、野手全体で見ても世代屈指のスラッガーだ。右打者としては野村佑希(花咲徳栄)などと1、2を争う。高校最後の試合となった西東京大会4回戦・対八王子学園八王子は2打席連続2ランを放ち、通算68本塁打で高校野球生活を締めくくった。

身長172センチと小柄だが、やや腰を落とした構えからのフルスイングで、ボールの下を叩きバックスピンをかけ飛距離を伸ばす技術に長けている。引きつけてボールを捉えられるタイプで、インコースは腰の回転でしっかり引っ張り、アウトコースも右手で押し込んで右翼スタンドに放り込める。広角に打てる分、選球眼も良い。

加えて「勝負強さ」も野村の特徴である。名門で1年夏から現日本ハム・清宮幸太郎の後ろで4番を打った野村だが、1年秋の東京大会決勝・日大三戦で放ったサヨナラ本塁打や、3年春の東京大会準決勝・関東一戦の逆転2ランなど、大事な試合で勝負を決める一発が多かった。清宮とコンビを組んで常に注目を浴びる環境で、プレッシャーをはねのける気持ちの強さはスターの素質を感じさせる。

高校通算56本塁打に遠投115メートルの関東一・石橋康太

東東京・関東一の石橋康太(野村の早稲田実業は西東京)も、夏大会開幕前までに高校通算56本塁打を放っている右の大砲だ。6月に発表された「侍ジャパンU-18代表」第1次候補の捕手には、センバツで活躍した東亮汰(三重)、小泉航平(大阪桐蔭)の2名が選ばれたが、ドラフト候補としては石橋の方がよく名前が挙がっている。

石橋は捕手では高校通算本塁打数が野村に次ぐ打撃に加え、守備もピカイチの素質を持つ。遠投は115メートル。巨人・小林誠司やソフトバンク・甲斐拓也とも並ぶ数字だ。盗塁を刺すには肩の強さだけでなく、足の運びや捕ってからの速さ、コントロールなど様々な要素が求められるため、単純な遠投の距離ですべてが決まるわけではないが、将来性はプロ捕手でもトップクラス。打撃が注目を集める野村に対して、純粋な「捕手として」の評価は石橋の方が上だろう。

石橋は野村と同じように、東京の強豪校で1年夏からレギュラーを張ってきた選手だ。1年夏の甲子園初戦・対広島新庄では5番打者でスタメン出場し、ドラフト1位で日本ハム入りした堀瑞輝から2安打を放つ活躍を見せた。2年生からは4番を打ち、2年夏の東東京大会では4試合連続本塁打を記録。スラッガーとしての活躍も野村に負けてはいない。

東京で下級生のときから活躍する右打ちのスラッガー捕手として、ライバル関係にある野村と石橋。両者はプロでもライバルとしてしのぎを削っていくことになるのだろうか。プロでも人材難の「打てる捕手」。今年のドラフトでプロ入りとなれば、1学年上の中村や村上と一緒に、切磋琢磨して球界を盛り上げていってもらいたいものだ。