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大阪桐蔭・根尾はやっぱり投手?プロ注目の選手たち

2018 5/6 12:11青木スラッガー
高校野球,投手,投球
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「ドラフト候補だらけ」の大阪桐蔭 二刀流・根尾は投手の評価上昇【章題】

2018年のセンバツ・第90回記念大会は大阪桐蔭の春連覇で幕を閉じた。今年は高校野球にとって特別な年だ。全国高校野球選手権大会はついに100回目を迎え、史上最多の56校が甲子園に集う。夏も活躍が期待される、プロ注目選手のセンバツ結果を見てみる。

まずは「ドラフト候補だらけ」ともいえる圧倒的な戦力で大会を制した、大阪桐蔭ナインの主なプレーヤーを見ていこう。

【投手】
■柿木蓮(3年)
3登板 15回 自責2 19奪三振

■横川凱(3年)
2登板 5回 自責1 5奪三振

■根尾昂(3年)
3登板 26回 自責3 26奪三振

【野手】(全5試合)
■山田健太(3年)
19打数 7安打 4打点 1本塁打 .368

■中川卓也(3年)
22打数9安打 3打点 .409

■藤原恭大(3年)
22打数 8安打 7打点 .364

■根尾昂(3年)
18打数 9安打 8打点 .500

1位指名も予想されているのは柿木、根尾、藤原。彼らを含め、ドラフト候補と扱われることが多い6名は、プロ球界へ最大のアピールの場となる甲子園で順当に結果を残した。特に今大会で輝いたのは、二刀流・根尾の投手としての面だ。

根尾は野手としては遊撃を守って打率5割を残し、投手としては決勝・智弁和歌山戦で2失点完投するなど重要なマウンドで期待に応えた。最高球速は大会最速タイの147キロ。どちらかというと「野手として」というスカウトの声が多かった印象の根尾だが、彼にとって今大会は投手としての評価を大きく上げるものになっただろう。

決勝のマウンドを根尾に譲ったエース柿木は複雑な気持ちがあったはず。悔しさをバネに夏までの成長に期待だ。今年の「高校ナンバーワン外野手」とも評される藤原は右ひざの故障に耐えて活躍し、精神的な部分の強さも見せつけた。

もうひとりの注目二刀流・大谷は初戦敗退 林などほかの上位候補選手は……

大阪桐蔭勢以外のセンバツ出場選手では、投手は市川悠太(3年・明徳義塾)、野手は林晃汰(3年・智弁和歌山)、森下翔太(3年・東海大相模)などがドラフト上位候補に挙がる。二刀流の大谷拓海(3年・中央学院)も注目度は高い。

昨秋に4番・投手としてチームを関東大会準優勝に導いた大谷は、今大会は1番・投手で初戦の明徳義塾戦に出場。8回終了まで4失点に抑えたが、9回にサヨナラスリーランを浴びて甲子園を去った。

投げては最速145キロ、打っては高校通算25本塁打。やはりもう何試合か甲子園で見てみたい選手だ。中央学院が属する千葉県は、今年の選手権大会で出場枠が1つ増えるとあって、夏のリベンジに期待である。

中央学院を下した明徳義塾の市川は、球威抜群の速球とスライダーが武器のサイドハンド。今大会は根尾らに次ぐ最速146キロを計測して順調な仕上がりを見せている。中央学院戦は5失点完投。2戦目の日本航空石川戦は9回にサヨナラスリーランを打たれたが、8回までは無失点の快投だった。

準決勝で対戦した左打者の林、右打者の森下は、センバツ出場選手で打撃がトップ評価の長距離砲。今大会でスラッガーとしてインパクトを残したのは、高校通算33本塁打で甲子園に乗り込んだ林の方だろうか。準々決勝・創成館戦で逆方向に高校通算34本目の本塁打を放ち、広角に打てる器用さと非凡なパワーを大舞台で見せつけた。

森下は林を超える高校通算46本塁打(センバツ終了時点)。今大会でアーチはなかったものの、やはり単打でも打球のスピードには高校生離れしたものがあった。盗塁もひとつ記録したが、中堅手の守備と走塁面も評価が高い。

彦根東・増居はあわやノーヒッター。野手はセンバツ未出場校にも注目選手多数

今センバツは乱打戦も少なくなかったものの、上記選手のほかでは投手の方に逸材を多く感じさせる大会だった。

細川拓哉(3年・明秀日立)、定本拓真(3年・三重)、扇谷莉(3年・東邦)、土居豪人(3年・松山聖陵)、井上広輝(2年・日大三)、川原陸(3年・創成館)、増居翔太(3年・彦根東)、奥川恭伸(2年・星稜)などがプロ注目選手に数えられる。

特にインパクトを残したのは、まず右腕では定本。背番号10をつけながら準決勝・大阪桐蔭戦で先発のマウンド託された。下級生の頃からプロ注目選手に挙がるも、昨秋に結果を残せずエースナンバーをはく奪。今大会は復調を見せ、大阪桐蔭戦では12回2死にサヨナラを許すまで強力打線を3失点に封じ込めた。

左腕では増居が花巻東戦で9回までノーヒットピッチングを披露。打線が援護できず、延長10回に初安打と失点を許してサヨナラ負けとなったが、あわや大記録達成のところであった。今大会の投手の中でベストピッチングといえるだろう。

野手に関しては、今年の高校野球はセンバツ出場を果たせなかったチームにも野村大樹(3年・早稲田実業)、万波中正(3年・横浜)、野村佑希(3年・花咲徳栄)など強打者が多くいる。夏はこういった選手が甲子園までたどり着けるかにも注目だ。