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【2015~】夏の甲子園を沸かせたスターを振り返る

2017 9/13 14:03cut
高校野球,バッター
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甲子園を彩るスター達

第99回夏の甲子園が幕を閉じた。本塁打記録を期待されていた清宮幸太郎選手(早稲田実業学校)は不在。「西の横綱」とも称され清宮選手と双璧をなす安田尚憲選手(履正社高校)も出場できず、開幕前はスター不在とも言われていた。

しかし、大会が始まってみれば清宮選手、安田選手の不在を感じさせない盛り上がりをみせてくれた。そして、中村奨成選手(広陵高校)という新たなスターも誕生している。夏の甲子園では各大会ごとにスター選手が誕生し、大会を華やかなものとしてくれるのだ。

甲子園では1980年代にPL学園高校が「KKコンビ」こと清原和博選手(元・オリックス他)、桑田真澄選手(元・巨人他)のように大会前からスターとして扱われ、大会でも華々しい活躍を見せてくれる選手もいる。

また、大会前の注目度は低くても甲子園で活躍しスターとなり、評価を上げドラフト指名を手にする選手もいる。

今回は近年、夏の甲子園を沸かせたスター選手達を振り返ってみたい。大会前から注目を浴びていた選手、大会で評価を上げた選手と様々だ。

2017年夏:中村奨成選手(広陵高校)

2017年夏の甲子園は「中村奨成選手のための甲子園だった」といっても過言ではないほどのインパクトを残した。所属する広陵高校は決勝で花咲徳栄高校に敗れ優勝こそ逃したものの、中村選手はこの試合で猛打賞を達成。大会通算、打率.679(28打数19安打)、6本塁打、17打点、2盗塁を記録した。

この大会で中村選手が1位(タイ含む)となった記録は下記の通りだ。

本塁打:6本
安打:19本(1位タイ)
二塁打:6本(1位タイ)
塁打:43塁打
打点:17打点
猛打賞:5回

本塁打は1985年PL学園の清原和博選手(元・オリックス他)が記録した5本塁打を32年ぶりに更新。単独トップとなった。本人は「記録にも記憶にも残る選手になりたい」と語っていたが、まさにその通りとなった。

また、43塁打はこれまでトップだった河合完治選手(中京大中京高校)の28塁打を大きく上回っている。河合選手は2009年夏の甲子園決勝で日本文理高校と熱戦を繰り広げ最後のサードライナーを捕球した選手でもある。

このように、数々の大会記録を更新した中村選手はプロ入りを表明。プロ志望届けを提出することは確実だ。甲子園のスターがプロの世界で輝く姿が待ち遠しい。

2016年夏:今井達也選手(作新学院高校)

2016年夏の甲子園は投手に好選手が揃っていた。とくに「高校ビッグ3」と呼ばれていた寺島成輝選手(履正社高校→ヤクルト)、藤平尚真選手(横浜高校→楽天)、高橋昂也選手(花咲徳栄高校→広島)が注目選手として大きく取り上げられていた大会だ。しかし、甲子園を制したのはビッグ3ではなく今井達也選手(作新学院高校→西武)だった。

今井選手は2年夏の甲子園ではベンチ入りできず、3年春の県大会では1試合のみの登板。夏の予選でようやくエースとなった苦労人でもある。栃木県予選では4試合に登板し21.2回を投げ33奪三振をマーク。奪三振の多さから注目はされていたものの、ビッグ3ほどではなかった。

その評価を一変させたのが初戦の尽誠学園高校戦(香川県)だ。最速151キロのストレートを武器に13奪三振。相手選手に「見たことない球だった」とまで言わしめた。その後も、ほぼひとりで投げ抜き41回を投げ44奪三振、防御率1.10をマークし優勝投手に輝いた。

甲子園において才能が開花し全国的なスターとなった好例だ。

同年のドラフト会議では寺島選手、藤平選手らとともに単独1位指名を獲得し埼玉西武ライオンズに入団。今後のプロ野球を背負っていく選手として期待されている。

2015年夏:清宮幸太郎(早稲田実業学校)

2015年夏の甲子園。1年生ながら主役はこの男だった。早稲田実業学校のスラッガー清宮幸太郎選手だ。清宮選手は小学生時代から注目を浴びていたが、この年高校1年生になったばかりだった。しかし、3番・一塁でレギュラーを獲得すると初戦から安打を放ち存在感を示す。

待望の初アーチが生まれたのは3回戦の東海大甲府高校戦だった。続く加藤雅樹選手(現・早稲田大学)も続き二者連続本塁打のお膳立てをした格好だ。準々決勝の九州国際大学付属高校戦では2試合連続となる本塁打を放ち、前の試合がフロックではないことを改めて見せつけた。

準決勝で敗退してしまうが、清宮選手の存在感は大きかったと言えるだろう。各試合ともに清宮選手目当てのファンも多く訪れていた。

1年夏の甲子園に出場を果たしたことで、チームの大先輩である荒木大輔選手のように5季連続甲子園出場を期待された。しかし、夏の甲子園に出場することはできず、春のセンバツも3年時のみであった。この大会では打率.333(9打数3安打)ながら本塁打はなくチームも2戦目で敗退といい結果を残すことが出来なかった。

このことからも、清宮選手がもっとも輝いた甲子園は1年夏の甲子園と言っても過言ではないだろう。

2015年夏:オコエ瑠偉選手(関東一高)

2015年夏の甲子園は1年生のスター候補生清宮幸太郎選手(早稲田実業学校)フィーバーに沸いた大会だった。しかし、ヒーローは清宮選手だけではなかった。関東一高の俊足・オコエ瑠偉選手もヒーローとなったのだ。

オコエ選手はナイジェリア人の父と日本人の母を持つハーフ選手だ。関東一高に入学後身体能力の高さを生かし2年夏からレギュラーを獲得。しかし、2年夏、3年春と甲子園出場はならなかった。最後の夏となった2015年夏の甲子園では東東京予選から活躍。甲子園本番でも同様の活躍を期待されていたことは間違いない。

オコエ選手のデビューは衝撃だった。初戦の高岡商業高校戦。1番・中堅で出場したオコエ選手は第一打席で一塁強襲の内野安打を放ったが、なんと一塁でストップせずに二塁を陥れた。一塁強襲二塁打にしてしまったのだ。その後も1イニングに二打席連続三塁打を放つなど猛打賞でのデビュー。ハーフ選手ということもあり、知名度が全国区となった。

続く中京大中京高校戦では守備でもスーパーキャッチを見せ、準々決勝の興南高校戦では本塁打も放っている。この大会で打率.333(18打数6安打)、1本塁打、6打点をマークし日本代表にも選出された。

2015年夏の甲子園はオコエ選手の人気、評価が上昇した大会でもあった。