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2017春の選抜高校野球出場校レビュー~中国・四国~

2017 2/14 09:57cut
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宇部鴻城高校(山口県/2年ぶり3回目)

秋季中国大会を制した宇部鴻城高校(山口県)が2年ぶり3回目の選抜切符を手に入れました。秋季山口県大会では5試合中3試合で二桁得点を挙げるなど合計42得点。ツボにはまれば大量得点を奪うことができる攻撃力が持ち味です。中国大会でも4試合中2試合で二桁得点。市呉高校(広島県)との決勝では13-2と圧倒し明治神宮大会への出場権を獲得しました。

明治神宮大会では札幌第一高校(北海道)との初戦で先制点を挙げ、一時は4点のリードを奪うも追いつかれ9回裏にサヨナラ負けを喫しています。試合の中で追加点を奪っていく戦い方が課題となりそうです。

宇部鴻城の注目選手は主将であり4番遊撃手を務める嶋谷将平選手です。嶋谷選手は秋の公式戦10試合で打率.472、13打点の成績を残しチームを引っ張ります。フルスイングで本塁打を狙う打撃ではなく、ライナー制の当たりを多く放つ中距離ヒッターの嶋谷選手はドラフト候補としても注目が集まっており今春の選抜で飛躍が期待されています。プロの世界を目指す嶋谷選手は要注目です。

市呉高校(広島県/初出場)

春夏を通じて初めて市呉高校(広島県)が甲子園出場を果たしました。チームを率いる中村信彦監督は尾道商業高校(広島県)の監督時代に3度選抜甲子園に出場、2度ベスト8に導いている名将です。市呉に赴任した2007年から10年かけて初めての甲子園出場を勝ち取りました。

秋季広島県大会では準々決勝で強豪の広陵高校に3-2で競り勝ち準決勝に進出。準決勝の相手は2016年のドラフトで日本ハムから1位指名された堀瑞輝選手の母校である広島新庄高校です。この試合で勝利できれば初めての秋季中国大会出場となる大事な一戦で3-15の大敗。3位決定戦に回りました。呉港高校との3位決定戦では9-2と危なげなく勝利を収め広島3位として中国大会出場を決めています。

中国大会、準々決勝では広島県大会で大敗を喫した広島新庄との再戦になりました。前回大敗した市呉ですがリードを一度も奪われることなく5-3で勝利。決勝戦へと駒を進めます。決勝では宇部鴻城高校(山口県)に2-13と大敗を喫しますが中国2位を確保。この冬で投手力アップを図り甲子園で初勝利を目指します。
市呉の注目選手は近藤大亮選手です。近藤選手は秋の公式戦11試合で打率.417にチームトップとなる9打点をマーク。3番打者としてポイントゲッターの役割を果たす近藤選手の打撃に注目です。

創志学園高校(岡山県/2年連続3回目)

創志学園高校(岡山県)が2年連続3回目となる甲子園出場を果たしました。チームを率いる長澤宏行監督はアトランタオリンピックでソフトボール日本代表のコーチを務めるなど世界を知っており、神村学園高校(鹿児島県)では春の選抜で準優勝を成し遂げている名将です。

秋季岡山県大会3位で中国大会に出場。益田東高校(島根県)、関西高校(岡山県)を下し準決勝で宇部鴻城高校(山口県)と対戦します。初回に1点を先制するも5回に3点を奪われ逆転を許しそのまま試合は終盤へ。9回裏に1点を返しますがあと一歩及ばず2-3で敗退してしまいます。しかし、中国王者となる宇部鴻城相手に1点差の惜敗と総合力は高く春の選抜では期待が持てそうです。

創志学園の注目選手は難波侑平選手です。昨年、巨人にドラフト5位で指名された高田萌生選手からエースを受け継いだのが難波選手なのです。
エースで4番を任されており、投手としては秋の公式戦では11試合中7試合で関東。防御率1.26と安定。野手としては打率.341、1本塁打、9打点の成績を残し投打に渡りチームを引っ張っています。秋の時点で最速143キロのストレートにスライダー、カーブなどを操る難波選手。冬の筋力増加で球速アップが期待されます。

明徳義塾高校(高知県/2年連続17回目)

四国王者の明徳義塾高校(高知県)が2年連続17回目の選抜出場を決めました。秋季高知県大会では決勝で中村高校(高知県)に0-2で完封負け。明徳義塾が無得点だったのは新チーム結成後、練習試合含め初めてのことでした。しかし、高知県2位で臨んだ四国大会では強力打線が爆発。4試合で3度の二桁得点を挙げるなど合計36得点をマークしました。帝京五校(愛媛県)との決勝戦でも初回に6得点を奪うと終始圧倒。11-2で大勝します。

この勢いを持って乗り込んだ明治神宮大会では初戦で作新学院高校(栃木県)と対戦。旧チームが昨夏の甲子園で対戦し敗れていることもありチームはリベンジマッチに燃えました。4回裏に5点先制すると追加点もしっかり奪い7-2で快勝。夏の王者を倒し2回戦進出を決めたのです。2回戦では九州王者の福岡大大濠高校(福岡県)と対戦。今秋のドラフト会議でも注目を浴びている好投手三浦銀二選手の前に打線が沈降。0-2で完封負けとなってしまいます。

甲子園の常連となった明徳義塾の注目選手は西浦颯大選手です。2年生時からメンバー入りを果たし昨夏の甲子園では打率.429、1本塁打の活躍。新チームでは4番を任されておりその打撃力でチームを勝利に導きます。

帝京五高(愛媛県/48年ぶり2回目)

帝京五高(愛媛県)は48年ぶり2回めとなる選抜出場を決めました。約半世紀の間に夏の選手権出場もなく甲子園の地へ正真正銘48年ぶりに戻ってくるのです。2016年4月から指揮をとる小林明則監督はロッテでプレー経験もあり引退後は、グループ校である帝京高校(東京都)でコーチとして6回の甲子園出場を果たしています。その経験を帝京五に注入。監督就任からわずか1年で甲子園出場を勝ち取りました。

秋季愛媛県大会では決勝戦で宇和島東高校に2-3で敗れたものの、愛媛2位として四国大会に出場。初戦の岡豊高校(高知県)、続く高松商業(香川県)相手に連続完封勝利。準決勝の英明高校(香川県)相手には5-1から9回表に2点を奪われヒヤッとさせられますが5-3で勝利。念願の決勝進出を果たしました。決勝では明徳義塾高校(高知県)にいきなり6失点を喫し終始ペースを握られたまま敗北。甲子園での雪辱に期待がかかります。

帝京五の注目選手は篠崎康選手です。4番捕手としてチームを引っ張る篠崎選手は秋の公式戦で打率.542、10打点と勝負強さを発揮。甲子園でもその打撃に注目です。