最多出場は52回目のパナソニック
今年で89回目を迎える都市対抗野球だが、秋の日本選手権とともに社会人野球の2大大会とも呼ばれ、選手たちにとって大きな目標となっている。
昨年までの甲子園や大学野球界のスターはもちろん、今秋のドラフト会議での指名が予想され選手も数多く出場し、プロのスカウトにも注目される大会だ。そんな都市対抗野球の見どころをご紹介したい。
全国から集まった32チームを見ると、最多出場となるのはパナソニック(門真市)だ。3年連続52回目の出場となるパナソニックはこれまでに同大会での最高成績は準優勝となっており、悲願の初優勝を目指す。一方の初出場はトヨタ自動車東日本(金ヶ崎町)の1チームのみ。初出場で初勝利を挙げることができるか注目が集まる。
昨年の覇者であるNTT東日本(東京都)は推薦枠として予選が免除されている。都市対抗野球において前年度優勝チームは、主催者推薦枠として出場することができるのだ。2012年・2013年のJX-ENEOS以来となる大会連覇を目指す。
最優秀選手は橋戸賞!新人賞は若獅子賞!
多くの大会では最優秀選手、いわゆるMVPの表彰がある。都市対抗野球にももちろん同賞は制定されているが、呼び名はMVPではなく「橋戸賞」だ。都市対抗野球の創設時に中心となった橋戸信の功績を讃え、この名称となったのである。
その他にも敢闘賞にあたる久慈賞、特別賞にあたる小野賞が制定されている。また、新人賞は若獅子賞となっている。
歴代の受賞者を見ると橋戸賞にはデトロイト・タイガース傘下でプレーする田澤純一(新日本石油ENEOS)、野球殿堂入りをはたした平松政次(日本石油)らが名を連ねる。また、2年前となる2016年の若獅子賞には田中俊太(日立製作所→巨人)、菅野剛士(日立製作所→ロッテ)、藤岡裕大(トヨタ自動車→ロッテ)が選出されているが、3名とも昨年のドラフトでプロ入りをはたした。
このように各賞の受賞者から、多くのプロ野球選手が誕生しているのである。チームだけでなく個人にも目を向けていきたい。
パナソニック吉川らドラフト候補も多数出場
チームとしてはNTT東日本の大会連覇、昨秋に行われた日本選手権覇者であるトヨタ自動車の秋夏連覇に期待がかかる。一方、個人にスポットをあててみると、やはり今秋のドラフト候補が注目となるだろう。
投手陣ではパナソニックの吉川峻平とHondaの齋藤友貴哉がドラフト1位候補として注目度が高い。
吉川は185センチ・80キロとスラッとした体型から繰り出される140キロ台中盤から後半のストレートに、多彩な変化球を織り交ぜていく。そのなかでも、独特の軌道を描くシンカーは出色で、この球を軸に三振を奪う投球が持ち味だ。6月下旬に行われた侍ジャパン社会人代表の強化合宿にも参加しており、8月下旬から行われるアジア大会へ向け、都市対抗野球で弾みをつけたいところだ。
齋藤は柔らかい腕の振りから繰り出す最速153キロのストレートが最大の武器で、今すぐプロでも通用する威力を持っている。予選の南関東第1代表決定戦で先発し、日本通運相手に7回3安打9奪三振無失点と素晴らしい投球でチームを本選出場へと導いた。
その他には東京ガスで4番を務める笹川晃平、Honda鈴鹿の主軸となった松本桃太郎ら野手陣にも注目が集まる。
社会人野球の最高峰でもある都市対抗野球の開幕はすぐそこだ。