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【祝2連覇】2017年ユニバーシアード競技大会野球競技まとめ

2017 10/13 10:05Mimu
野球
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初戦から打線が大爆発したロシア戦

初戦のロシア戦から振り返っていく。この試合は、打線が大爆発であった。
初回から1番・島田海吏選手(上武大)のレフト前を皮切りに無死満塁のチャンスを作ると、4番・楠本泰史選手(東北福祉大)が2点タイムリーを放ち、幸先良く先制する。2回には3年生の3番打者、中川圭太選手(東洋大)が走者一掃のタイムリーを放つなど9得点。その後も打線がよく繋がり、なんと初戦から19得点を記録した。
投げ手は青島凌也選手(東海大)、伊藤将司選手(国際武道大)、松本航選手(日体大)の3年生トリオが無失点リレーの好投を見せ、5回コールドで勝利となった。

苦しい展開からの逆転劇となったメキシコ戦

メキシコ戦では先制点こそ日本であったが、序盤から苦しい展開となった。初回から2つの四球にボークが絡み、2死1・3塁のチャンスを作ると、ここで1塁ランナーの楠本選手が盗塁。さらに送球の間に3塁ランナーの宮本丈選手(奈良学園大)がホームを陥れ、ノーヒットで得点するという幸先の良い滑り出しを見せる。
だが、メキシコの投手陣を崩しきれず、毎回のようにヒットで出塁するも、なかなかあと1本が出ない。4回までに8つの残塁、徐々に流れが変わっていく。

5回だった。先発の東克樹選手(立命館)が、自身の送球エラー2つでピンチを招いてしまうと、センター前のポテンヒットで2点を入れられてしまい1-2。ミスからの失点という、1番やってはいけないパターンで逆転を許してしまった。

この得点でメキシコの投手陣にゆるみが出たのか、その裏にすぐさま反撃のチャンスが来る。
6番・辰巳涼介選手(立命館)がヒットで出塁すると、盗塁も絡めて無死2塁。ここで途中出場の長沢吉貴選手(日本大)のタイムリーが飛び出し、あっという間に同点となった。
さらに8番・小畑尋規選手(立正大)のタイムリー2塁打も飛び出し再逆転を果たし、先程までの嫌な流れが、一気に吹き飛んでいってしまった。8回には辰巳選手のツーランも飛び出し、終わってみれば7-2で快勝している。

満塁ホームランで大逆転勝利のアメリカ戦

予選ラウンド3試合目の相手はアメリカだ。U-18の大会で非常に手ごわい相手として印象に残っている方も多いかと思うが、この試合では日本が圧倒している。
主役は3番の中川選手だ。先発の2年生投手・森下暢仁選手(明治大)が2回にスリーランを被弾し、苦しい展開でのスタートとなったが、1-3で迎えた5回の裏、中川選手が満塁ホームランをレフトへたたき込み、これで5-3と逆転。豪快な逆転劇に、チームはさらに勢いづいていく。

森下選手は残念ながら3回で降板となったが、後を受けた齋藤大将選手(明治大)、松本航選手が4回~7回までを無失点に抑え、相手の攻撃をシャットダウン。こうなるともう試合のペースは完全に日本だ。
6回にまたも中川選手などのタイムリーで追加点を奪うと、その後も打線の猛攻が止まらず、11-5で快勝した。この試合で中川選手は7打点を記録している。そしてこの試合に勝利したことで、予選ラウンド全勝通過が決定。スーパーラウンドへと向かう。

宿敵、韓国との1戦は1点を争う好ゲームに

スーパーラウンド、初戦の相手は韓国となった。アジア地区最大のライバルであり、この大会でも警戒すべき相手である。

この試合は、1点を争う好ゲームとなった。初回に先発の青島選手が連打で1点を失うものの、2回にはこの大会初先発の3年生、9番・渡辺佳明選手(明治大)のタイムリーで同点に追いつく。その後は膠着状態が続き、試合は中盤へと向かった。

この試合の流れを変えたのは、森下選手である。2日前のアメリカ戦では3回で降板した森下選手であるが、この試合では6回から登板し、三者三振の完璧な内容。中1日というわずかな期間ながら、キッチリと修正してきた。
すると直後に5番・大平達樹選手(桜美林)にホームランが飛び出し、2-1とこの試合初めてリードを奪う。さらに7回も森下選手が三者三振を奪い、これで前のイニングから合わせて6者連続三振。反撃に転じたい韓国打線をあざ笑うかのように完璧に抑え込み、そのまま2-1で勝利した。

投打にわたって完璧だったチェコ戦

スーパーラウンド2戦目の相手はチェコだ。予選では韓国に勝利しており、油断できない相手だが、この試合は前の韓国戦とは対称的に序盤から打線がつながっていく。
初回に犠牲フライで1点を先制されたものの、直後に6番・小林遼選手(富士大)、7番・岩見雅紀選手(慶応大)が連続タイムリーで早くも逆転。2人ともこの大会でここまでノーヒットだったが、ここに来て当たりが出始める。さらに4回にも3本のタイムリーが飛び出し3得点、中盤までに6点をとり、投手陣を援護する。

投げては先発の伊藤将司選手が5回1失点、2番手の栗林良吏選手(名城大)が3回1安打4奪三振と、3年生コンビが好投。9回にも打線が2点を追加すると、最後は齋藤大将選手が締め、8-1で勝利した。そしてこの勝利でスーパーラウンドも全勝通過が決定し、準決勝へと進出する。

再び韓国との1戦!プレッシャーに強いあの男が好投!

準決勝からはトーナメントとなり、1つも落とせない戦いが続き、その相手は再び韓国となった。この緊張感のある試合で先発の東克樹選手が、序盤から全く相手を寄せ付けず、8回11奪三振無失点と完璧な内容を見せつける。さすが、リーグ戦で2度のノーヒットノーランを決めた男だ。
打線も2回に7番・小畑尋規選手がレフトスタンドへ飛び込む先制ソロを放つと、5回には中川圭太選手のタイムリー、6回にも熊谷敬宥選手にタイムリーが飛び出して4得点と、しっかりと東選手の好投に答えてくれた。そして9回最後は齋藤大将選手が締め、4-0で勝利し、決勝へと進出した。

最高の舞台でリベンジ達成!アメリカを下して完全優勝!

決勝戦の相手は予選ラウンドで逆転勝利を収めたアメリカとなり、この日の先発は森下選手だ。予選ではスリーランを被弾し、ノックアウトされたが、最高の舞台でリベンジの時がやってきた。

まずは打線が森下選手を援護する。初回から先頭の島田選手が四球で出塁すると、さらに盗塁と相手のミスなどで満塁のチャンスだ。ここで6番・辰巳選手がタイムリーが飛び出し、幸先よく1点を先制した。
さらに2回には小畑尋規選手のタイムリーを口火に島田選手、中川選手、大平選手、辰巳選手が続き、一挙6得点。2回終了時で7-0と、打撃でアメリカを圧倒した。

打線に負けじと、森下選手も快調なピッチングを見せる。7回まで毎回奪三振を奪う圧倒的なピッチングを見せ、7回無失点11奪三振とリベンジに成功。後を受けた齋藤大将、阪本大樹もアメリカ打線をしっかりと抑え、10-1で勝利した。予選から7戦全勝で、完全優勝を達成したのだ。

投手陣は全体的に好調!野手では中川選手の活躍が見事

ユニバーシアード大会完全優勝をはたした大学日本代表だが、やはり投手陣の奮闘が大きかった。特に印象的だったのは、準決勝・決勝で先発した東克樹選手と森下暢仁選手だろう。2人とも、ピッチングでチームに流れを引き寄せることができる選手であった。
東選手は2試合16イニング22奪三振、森下選手は3試合12イニング19奪三振という数字も素晴らしい。中継ぎも齋藤大将選手をはじめとして、全員が役割を果たしてくれていた。

野手で印象的だったのは、中川圭太選手だ。まだ3年生ながら3番に座り、この大会では打率.500(22-11)をマーク。さらに満塁ホームランを放つなど、13打点を記録した。PL学園時代は主将をつとめ、野球に集中できない時期もあっただろう。だがこの大会では、思いっきり野球を楽しんでいるところを見せてくれた。
ドラフトにかかるのは来年であるが、いまから楽しみな選手である。